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妹が「ずるい!」と言うので、二度目の人生は大公と結婚するのを諦めて辺境伯に嫁ぎます  作者: 江本マシメサ
第三章 リンブルフ辺境伯領へ

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水道を作ろう! と、その前に……

 保湿クリームを塗ってすっかり機嫌が直ったルカエルとミカエルが、今日の予定について聞いてくる。


「このあと何をするの?」

「お屋敷見学? それとも刺繍?」

「もしやお茶会? まさかお散歩とか?」

「今日は、〝水道〟を引くことができるか、試してみようと思います」


 私の予定を聞いたルカエルとミカエルは、同じ方向に首を傾げ「スイドウ?」と声を揃えて聞き返した。


「スイドウって何?」

「初めて聞いたわ」

「水道とは、水が通る道です。水道さえあれば、いちいち井戸に水を汲みに行かずとも、いつでも好きなタイミングで使うことができるんです」


 私の説明を、二人は目を丸くして聞いていた。


「そんなの、魔法みたいだわ」

「奇跡よ」


 そう、私が今からやろうとしているのは、奇跡みたいな魔法なのだ。

 正直、上手くいくかわからない。

 けれども今、私にはコロカジールの核から作られた水属性の魔石がある。

 試してみる価値はあるだろう。


「まず、ハルトヴィヒ様に許可を――と言いたいところですが、いらっしゃらないので、アンドリュースさんに話をしにいきましょう」

「どうして?」

「アウレリア様はお屋敷の女主人なのに、許可なんて必要なの?」

「ここはわたくしが築き上げた場所ではない上に、何かあったときの責任を取るために、先に言っておく必要があるのですよ」


 こういうのをなんと言えばいいのか。

 なんて考えていたら、これまで黙って会話を聞いていたまーちゃんが物申す。


『それって、落とし前を付ける、ってやつう?』

「いえ、その、まーちゃんは、どこでそういう言葉を覚えてきたのでしょう?」

『うーん、わかんない!』


 とにかく勝手にすることはできないので、アンドリュースさんに話しに行くことにした。


 ルカエルとミカエルを引き連れ、執務室にやってきた私達を見て、アンドリュースさんは驚いていた。

 それは私が突然やってきたからというよりも、ルカエルとミカエルが従順な様子であとに続いてきたからだと思われる。


「お前達、本当に真面目にメイドをしているのだな」

「どういう意味?」

「最初から真面目なんだけど!」


 二人の反応に笑ってしまいそうになる。

 ゲホンゲホンと咳払いをし、本題へ移った。


「こうしてやってきたのは、ある許可をいただきたいと思いまして」

「アウレリアさん、あなたはここの女主人だ。私なんぞに許可を取る必要はない」


 アンドリュースさんの言葉を聞くや否や、ルカエルとミカエルは「やっぱり!」「そうじゃん!」なんて言い始める。

 そんな二人を、アンドリュースさんは「こら、お前達!」と注意していた。 


「して、いったい何をされたいので?」


 反対することはないが、とアンドリュースさんは言葉を続ける。


「このお屋敷に、水の通り道を作ろうと思いまして」

「水道って言うんだよ」

「魔法なんだって」


 私の申し出に、アンドリュースさんは目を丸くしていた。


「具体的に水をどうやって屋敷へ通すというのですか?」

「水源を見つけてそこから水を引き、魔法で導くと言えばいいのでしょうか?」

「は、はあ」


 ルカエルとミカエルが「あの顔、よくわかってない」「本当だよ」なんて言うので、再度笑いそうになってしまった。

 ゲホンゲホンと咳払いし、誤魔化しつつ話を続ける。


「魔法で小さな川のようなものを作って、屋敷へ水を運ぶと言えば、わかりやすいでしょうか?」

「ああ、それならば想像できそうだ」


 危険はないのかと聞かれ、しばし考える。


「あるとしたら、水源から水が噴き出ることでしょうか」

「いや、それは心配いらない。この土地は雨が少なく、水源にそこまで勢いはないだろうから」

「さようでございましたか」


 新たな水源が見つけられるかも、わからないという。


「水に関しては、魔石で補うことも可能かと思いますので」


 重要なのは、地中に水の流れが存在すること。

 そう答えると、アンドリュースさんは「それを聞いて安心した」などと言ってくれた。

 ひとまず、問題ないということなので、このまま作業に移ろう。


「アウレリアさん、他に人手は必要だろうか?」

「いいえ、わたくしには頼りになるメイド達が二名もおりますから」


 振り返ってルカエルとミカエルを見ると、二人は任せろ! と言わんばかりの笑みを返してくれた。

 そんなわけで、水道作りに挑むこととなった。

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