リボン交流会
あれくらいの年頃の子はどんな物を喜ぶのか。
わからなかったが、リボンにレース、手袋を用意して待ってみた。
やってきたルカエルとミカエルは、暖炉前で眠るまーちゃんを見て怯える様子を見せていたが、リボンを巻いているのに気付いて「かわいい」と呟いていた。
「どうぞこちらへ。いろいろありますので、見てみてください」
私が用意した品物を見るなり、瞳をキラキラ輝かせる。
「何これ、かわいい!!」
「すごい!! おしゃれ!!」
リボンは何かに使えるかもしれないと思って、たくさん買っておいたのだ。
まさか、彼らと仲よくなれそうなきっかけになるとは、夢にも思っていなかった。
「こちらがサテンで、これはオーガンジー、レース・ジャガードに、ベルベット――」
「触ってみてもいい?」
「髪に合わせてみたくて」
「ええ、どうぞ」
二人で楽しそうに、ああではない、こうではないと言いながらリボンを選んでいた。
妹がいたら、こんな感じなのかな……なんて考えたものの、カーリンがいたんだったと思い出す。
カーリンとは姉妹らしいことは一度もしなかったな、と遠い目をしてしまった。
ルカエルとミカエルは時間をかけてリボンを選び、最終的に同じレース・ジャガードのリボンにしたようだ。
「はい、どうぞ」
「え、一巻きごとくれるの!?」
「少し分けてくれるんじゃないの!?」
「二人で分けるので、たくさんあったほうがいいでしょう?」
「そうだけれど」
「でしたら、二人で仲よく分けてくださいね」
「あ、ありがとう」
「大事にするから」
「はい!」
あと、王都で買っていたお土産も渡す。
「こちら、王都で購入した品物でして、お二人にお土産をと思いまして」
「え、嘘!?」
「お土産!?」
箱に詰められた化粧品を見るやいなや、驚いた顔でこちらを見る。
「これ、いいの……?」
「すごく素敵な品だわ……!?」
「はい。お二人が喜んでくれると思って、買ってきました」
喜んでくれたようでホッと胸を撫で下ろした。
「そういえば、レニのリボンもかわいかったわ」
「あれはどこのなの?」
「レニさんへのリボンはわたくしが使っていた品で、個人の工房で作られたリボンだったような気がします」
同じようなリボンが欲しいと言われたものの、新品はあいにくない。
「わたくしが使っていたリボンならありますが、あれが使用人に下げ渡す物ですので」
「アウレリアにお仕えしたら、リボン貰えるの?」
「そうなの?」
「え、ええ、使用人に私物を下げ渡すことはありますが」
「そうなんだ」
「へえ」
二人は顔を見合わせ、何やらヒソヒソ話をしているようだった。
「アウレリア、今日はありがとう」
「リボンと化粧品、大切にするわ」
ルカエルとミカエルは上機嫌な様子で帰って行った。
ひとまず少しだけ打ち解けたような気がして、安堵したのだった。
◇◇◇
翌朝――思いがけない展開となる。
私を起こしにきたレニに続き、メイド姿のルカエルとミカエルがやってきたのだ。
「えーっと、ルカさんとミカさん、その格好はどうしたのですか?」
「アウレリア様に今日からお仕えするようにしたの!」
「お母様やお父様もいいって!」
いったいどういうことなのか。レニを見ても、困った顔を見せるばかりだった。
「お母様に、行儀見習いをしなさいって言われていたのよ」
「アウレリア様にお仕えしたら、いいと思って」
「そ、そうなのですね」
なんでも今日から二人は、私のメイドとして仕えることにしたらしい。
いきなりの展開に、起きたばかりの頭がついていかない。
「頑張るから!」
「よろしくね!」
「は、はあ……」
戸惑う気持ちが大きかったものの敵対されるよりはいいか、とひとまず思うことにした。




