昼食を
まさか妖精族と契約ができるなんて……。
優しい気質の持ち主のようで戦闘能力はなかったみたいだが、今後、魔物の魔石を食べることによって能力を得ることができるらしい。
今後、さまざまな魔物の魔石を食べることによって、まーちゃん、自信を強化できそうだ。
そんなわけで、まーちゃんに与えたことにより、コロカジールの魔石は残り四つ。
鑑定魔法で調べてみよう。鑑定魔法が付与された腕輪を装着した手を、コロカジールの魔石にかざしてみる。すると、鑑定魔法が自動発動した。
アイテム名:コロカジールの魔石
属性:水
ランク:★★★
説明:コロカジールの核から生まれた高品質の魔石。水に関連した用途に利用できる。
コロカジールは水棲の魔物だからか水属性らしい。
まーちゃんの食料以外にも、使い道がいろいろありそうだ。
ここでハルトヴィヒ様があることに気付く。
「アウレリア、ここに皮とか牙みたいな素材があるけれど」
「まあ、本当ですね」
こちらも鑑定魔法で調べてみると、コロカジールの物であることが明らかとなる。
「魔石化に必要なのは魔物の体内にある核だけで、それ以外の物はこのように素材化するみたいですね」
「へえ、便利だ」
これまで魔石になりそうな品ばかりを素材にしていたので、このように別のアイテムを得ることができるのだと驚いてしまう。
魔物から得られる素材は高値で売れる上に、魔技巧品や武器の素材になる。
ありがたくいただこう。
気を取り直して、食事の時間にする。
敷物を広げ、その上に料理が入ったバスケットを広げた。
「わあ、おいしそうだ」
「朝から料理人に作ってもらったんです」
卵、キュウリ、ハムの三種のサンドイッチに魚のフリッター、炙りチキンに茹で卵――野外で食べやすいメニューを頼んでいたのだ。
「あー、お腹いっぱい」
「もうよろしいのですか?」
「うん、ありがとう」
少し余りそうだ。おそらく料理人は三人分くらいの料理を用意してくれたのだろう。
食後の紅茶を淹れる。昼食のときに使おうと、魔石ポットを持ってきていたのだ。
湖の水を汲んで入れると、浄化魔法が発動した。ここから自動で沸騰し、あっという間に湯となる。
「それも魔技巧品か」
「ええ、そうなんです」
「水の浄化から沸騰までできるなんて、すごく便利だ」
「本当に」
茶葉も魔石ポットに直接入れ、しばし蒸らす。
三分後――紅茶の完成だ。
「うわ、すごくおいしいお茶だ!」
腕前なんて関係ない。魔石ポットの功績である。
紅茶を飲むと、ホッと一息吐くことができた。
まーちゃんがバスケットの中身を不思議そうに見えていた。
『これ、なあに?』
「魚のフリッターですよ。食べてみますか?」
『いいの!?』
「ええ、どうぞ」
フリッターを一つ摘まんで差しだすと、まーちゃんは嬉しそうに受け取った。
慎重な様子でくんくん匂いをかいだあと、意を決したようにぱくりと頬張る。
『うっわー、何コレ、おいしい!!』
どうやらお気に召したらしい。瞳をキラキラ輝かせながら、フリッターを完食した。
他にも残っていたので、まーちゃんに食べてもらおう。
『わあ、おいしい! これも! これもおいしい!』
あっという間に食べきってくれた。
『あー、おいしかった!』
サンドイッチや炙りチキンも、まーちゃんは食べてくれた。
好き嫌いはないようだ。
普段は木の実や樹皮を食べていたという。魚は普段から口にしていなかったようだが、水面に跳ねる魚を見て捕まえようと飛び込んでしまったらしい。
『こんなにおいしいもの、食べたの初めて』
「よかったですね」
『うん!』
私と契約してからはお腹が空くわけではなく、食事は必要ないらしい。あくまで嗜好品として楽しむようだ。
しばらく休憩してから、移動を再開させる。
問題はまーちゃんをどう運ぶか、である。
「えーっと、ワイバーンに吊す?」
「それは可哀想かと……」
「だよねえ」
『大丈夫だよ!』
まーちゃんはそう言って、太い尻尾で地面を叩く。
すると、私の手の甲に刻まれていた魔法陣が展開させた。
まーちゃんはそこをめがけて跳び上がってダイブする。すると、まーちゃんは魔法陣の中に入ってしまった。
「なるほど、まーちゃんは魔法陣の中に収容できるんだ」
「みたいですね」
名前を呼んだら、すぐに召喚できるらしい。
ひとまずまーちゃんの運搬問題は解決できた。
再度ワイバーンに跨がり、大空へと飛び立つ。
それからというもの、なんのトラブルもなくリンブルフ辺境伯領に到着したのだった。




