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徹夜による修行の成果

 アナトと翡翠がサザンカ団を解散させた、アパラよりもさらに北。ウッタラをさらに北上した辺りで、瑠璃は邪教徒と交戦中であった。



「個体識別ナンバー3-68。コードネーム、クリヤ。戦闘プログラム、起動」



 クリヤが呟くと、彼女の体はプレーマの傍らから一瞬で消える。



(くる! どっち!?)



 瑠璃は、クリヤがわずかに残す軌道から、彼女が次に現れる場所を予測する。



「こっちか!」



 右側へ手の平を向け、魔力光線を放とうとするが、クリヤは思った以上に近い位置に現れた。瑠璃の右腕の下で身を屈め、そこから凄まじい速さのアッパーを繰り出す。瑠璃は何とか後ろに飛び去ってやり過ごし、着地よりも先に攻撃を放つ。



「シャルヴァ!」



 瑠璃の手の平にある宝玉から放たれる青い魔力光線。だが、それはクリヤの残像を捉えるのみだ。



「死ね、ストーカー女!!」



 そして、着地した瑠璃の真横にクリヤが現れ、拳を叩き込んできた。魔力で腕を保護しながらガードしたが、高性能アンドロイドのパンチ力は凄まじいものがある。瑠璃は吹き飛ばされ、あと少しで崖から落ちるところで、何とか踏ん張ってみせた。



「だ、誰がストーカーだ!!」



 叫びながら反撃の魔力光線を放つが、結果は同じ。クリヤのスピードの前では、瑠璃の攻撃は意味のない魔力放出でしかなかった。今度は正面に現れたクリヤ。幸運なことに、正面に山を張っていた瑠璃は、身を反らしてクリヤの拳を躱しつつ、同時に至近距離から魔力光線の発射を試みた。



「いたっ!!」



 しかし、それは失敗に終わる。クリヤは拳を出した方とは別の手で、瑠璃の腕を叩き落したため、魔力光線は地面を破壊するだけだったのだ。



「でも!」



 瑠璃の攻撃は終わらない。膝に魔力を込め、クリヤの腹部に向けて突き出した。ドンッ、と確かな手応えの後、クリヤが後方へ飛び去る。やっと攻撃がヒットした……と思われたが、クリヤは止まった虫を払うように、腹部に軽く触れて見せるのだった。瑠璃は考える。



(やっぱり、正面からの真っ向勝負は分が悪い。翡翠に教わった例の技で決めるしかない!)



 ゆっくりと呼吸を繰り返しながら、成功のイメージを固め、瑠璃は右手を突き出した。



ゴーラカム(球体)!!」



 そこから放たれたのは、いつもの魔力光線ではない。青い球体が発射されたかと思うと、それは瑠璃の前で停止した。失敗だろうか、と思われたが、瑠璃は球体に向かって、手の平を突き出し続けていた。



「シャルヴァ!」



 そして、球体に向けて魔力光線が放たれたかと思うと、瑠璃はさらに叫ぶ。



プラキールナナム(拡散)!」



 瑠璃の前で制止していた球体は、魔力光線が貫く。いや、同時に青いエネルギーが広範囲に飛び散った。そして、押し寄せる波のようにクリヤへ迫る。


 これまで線だった瑠璃の攻撃が、面となってクリヤを捕らえようとしているのだ。いかに圧倒的なスピードを誇るクリヤでも、これは回避は困難であろう。そう思われたが……。



「その程度か、一条瑠璃!!」



 その声は頭上から。どうやら、クリヤはアンドロイドの凄まじい跳躍力によって、瑠璃の放った魔力の波を飛び越えていたらしい。新技を軽々と躱され、徹夜で修行した瑠璃の努力は無駄に終わった……。


 しかし、瑠璃は高々と空を舞うクリヤを見て笑っていた。まるで、勝ちを確信したかのように。



「引っかかったわね、ちびっ子アンドロイド!!」



 そして、上方に手の平を向ける。



「上に逃げてくれて助かったわ! ありったけの一発、受けなさい!!」



 瑠璃の狙いは、魔力の波でクリヤが跳躍することだった。彼女が空中に逃げてくれれば、圧倒的なスピードによる回避力も活かせない。そうなれば、瑠璃にとってクリヤは宙を浮く的と変わらなかった。



「シャルヴァ!!」



 瑠璃は今の自分が放てる全力の魔力光線を発射する。もし、クリヤがバリアを張ったとしても、そのまま飲み込んでやるつもりだった。それだけの威力は出せるはず。瑠璃は自分を信じた一撃を放ったつもりだったが……。



「誰がちびっ子アンドロイドですか。ちょっと私より女らしいボディだからって、調子に乗らないでください」



 クリヤは空中で移動した。瑠璃は見てしまった。彼女の背中から、小さなお椀状の物体が現れ、わずかな火を吹きながら、空中を移動するクリヤの姿を。



「小型の推進装置が付いているなんて……くそぉっ!!」



 瑠璃は降下するクリヤを撃ち落とさんと、何度も魔力光線を放つが、どれも無駄であった。クリヤは背中から小型の推進装置を出すと、勢いよく放たれるエネルギーによって、空中の移動を自在としたのである。そして、着地したクリヤは挑発的に笑うのだった。



「さぁ、一条瑠璃。二度と先輩に近付けない体にしてやりましょう。そうですね、手足の長さを私と同じくらいまでカットする、というのはいかがでしょうか?」

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