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魔力ノ在ル者ト無キ者9
「縄を連想して!」
「はい!」
スクーターは条治が運転する。
自動的に、縛るのは総平の役割になった。
生徒達は、二人を追いかける。
条治は臣に言われた通り、ゆっくり走った。
長い縄をつくり、数人をまとめて縛る。
練習自体は田中康雄を使ってやっているので要領はわかっている。
生徒と自分達の間に縄を出現。直進で追いかけて来る彼らを纏めて縛り、結ぶ。
だが、生徒の数は物凄く多い。
出鱈目に逃げ回りながら縛るが、正直キリがなかった。
「あっ、翔!」
一年校舎二階を、彼は歩いていた。
こちらに気付くと、翔はしゃがんで見えなくなる。
「怪しいな」
条治が呟くと、臣はその言葉に反応する。
「ん、何が?」
「結城だ、今居た」
「どうすればいいかな?」
総平は臣に問う。
臣は、すぐに答えた。
「勿論、樹に連絡だよ」
その答えを聞くと、総平は今の現状を樹に伝えた。
そして樹は指示をする。
それは、翔を追うというものだった。