表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/26

炎陣魔法

「どうせ2人とも復習だ何とか言って、俺にも練習させる気だろ?」

「まぁな。でも学校の復習するのは本当だぜ。なぁウィザ?」

「そうよ。私たちはピスと違って苦手分野があるんだからそれをすこしでも直さないと」

「だから、おれたちのをみてどこがダメなのか指摘してくれよ」

2人のこの意気込みにピスは毎度毎度たじろいでいる。本当はピスもであるのだが、ソドとウィザは研究熱心というか……剣術オタクと魔術オタクであるような節がある。だから撰術学校に行くという選択肢も魔剣術の最新研究を見られるということで2人には大変魅力的だったが、それ以上に各地の大会に出場する実力者の技術を見に行くというのは、2人が熱望していることでもあった。今回もその熱意に押され、しょうがないとばかりに返事をする。

「……わかったよ、でも見るだけだからな」

ピスがそういうとソドとウィザの2人は満面の笑みでうなずいた。

「よし、じゃあまずは俺の苦手な「魔術」からだな」

3人ともさっきささっと自分の部屋に戻って自分たちの愛用している武器を持ちだしていた。ソドの獲物は双剣だ。彼の性格を反映して華やかな武器だ。「とにかく手数が多くて派手だから」というのは本人の談だ。ちなみにこの双剣を製作したのはソドの両親。ついでにピスとウィザの「剣」も両親が作った。武器としてドワーフである父が打ち込み、魔力を通しやすくするために最後の仕上げをするのがエルフである母の役目。彼らは「剣」の鍛冶職人としてルツボ村で生計を立てていた。

 この世界では剣と呼ばれるものは多数ある。そもそも「剣」は概念としての言葉なので長方形に見えるものであれば、なんでもいい。ウィザの「剣」は短槍、ピスの「剣」は棍となっている。そして「剣」は魔法を使用する際の「杖」としても用いる。世の中にはナイフや本、はては棺桶を用いている人もいるとのうわさがある。

ソドの場合は2つの剣を胸の前で合わせ刃を1つに重ねることが魔法を行使する姿勢となっている。

「ウィザ、今日の「魔術」の授業ってなんだったっけ?」

「それも忘れちゃったの、ピス? あなた、「魔術」の授業はちゃんといたじゃない。炎陣魔法よ。」

「あ、思い出した」

ウィザは呆れてため息をつく。言われてようやく思い出した。こちらの方はまだ「苦手意識」が少なく見学はちゃんとしていたっけ。クラスメイトのスライムの女の子、ピチョンが術に失敗して体が干からびそうになってちょっとした騒ぎになった。ただ、さすがに術練学校に3年も在籍しているので、仲間内ですぐに対処されて事なきを得ていたのだった。

ソドの方へ向き直った。その間にもソドは集中して魔力を体内にためている。目を閉じ足を肩幅くらいに開いてリラックスしている状態になっている。もちろん実践ではこんな集中できる環境を作ることなどできないが、今日はまずコツをつかむための練習だ。体内の魔力を外のマナにつなげより大きな力を発揮する。そのコツがつかめるのであれば何でもいいのである。

だんだん体全体が光り始めた。やがて色が白から燃えるような赤に色を変えた。輝きも体全体から双剣の方へと集まりだし一段と輝きを増す。ダメ押しとばかりに魔力を増強させるために呪文を唱えた。

次の瞬間ソドが目を見開いて双剣に集まった魔力を一気に放出する。するとソドの周りに円を描くように火柱が出来上がった。

 ……出来上がったはいいが、3人が予想をしていたよりも炎陣の大きさは小さく 火柱はソドの膝にも届いていなかった。できた炎がこころなしか哀しげに揺れている。

 そう、ソドは剣術は上手くても魔術が苦手なのだった。

「あぁ! やっぱできねぇ!」

「うーん、魔法を発動するまでは比較的順調にいってたのにねぇ」

「そうだな、問題は魔力をうまく外に放出できてないからか……」

「それとも、あれじゃない? うまく外のマナにつなぐことができなかったとか」

ピスとウィザが熱心に語り始める。ウィザはともかくピスもなんだかんだ魔剣術は好きなのだ、あの癖さえなければ。

 なんだか蚊帳の外に置かれた気がして寂しくなったソドは慌てて炎を消し、2人の間に割って入った。

 長い議論の末、3人が出した結論は最初にピスが言ったように、体の魔力を剣に集めた後魔力を放出するタイミングをもっと溜めて遅らせるということだった。

「んじゃぁ、ウィザがお手本見せてくれよ」

これはソドがへそを曲げたわけではなく、純粋にウィザの動きを見ればコツがつかめるかもしれないと思ったから言ったのである。

「わかったわ。じゃあやるね」

するとウィザは座ったまま槍を地面につき立てた。一瞬体が光ったかと思うと赤く輝いたと視認するよりも先に体から巨大な魔力が放出されるのを肌で感じた。次の瞬間ウィザの5mほど先に巨大な火柱が上がる。ソドのものとは比較にならないほど巨大で周りの木々よりもはるかに高くメラメラと燃えた。しかもよく見ると炎陣は丸という単純な形ではなく、五芒星を描いていた。呪文もなくただ魔力を放っただけなのにこの威力である。

「すげぇ……」

ソドが思わず出てしまったという感じ感嘆の声を出した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ