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静時の流れ - 潮騒の誓約  作者: Minateru
始まり – 試練を越える

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95/99

表向きは、ただの怪獣との戦い

ドドドドッ…ドドドドッ…

待ち時間も、無駄な一歩もなかった。

黒鉄隊長の後ろを追う小部隊は、来た道をそのまま逆走し始めた。

目の前の大小の岩を隠す濃い霧など構わず、

足音が周囲に響き渡るのも無視して、

真っ直ぐ進む。

そして……

…

ゴォォォォ……

大きな砂埃が目に吹きつけ、どこからともなく土の破片を引き連れてくる。

壁は今や小さな塊しか残っておらず、家屋はほとんど形を留めていない。

部隊は急いで高い岩の陰に身を潜め、体を地面に密着させる。

何人かは隙を見て、岩が飛んできた方角を振り返ろうとした。

…

だが返ってきたのは、街のほとんどを飲み込んだ巨大な泥の面だけだった。

奇妙な風に波紋が次々と流され、

そして遠く、自分たちが立っている地点の向かい側に、

白い霧の中に奇妙な黒い煙の柱が立ち、その後ろに黄色い波紋が絶えず横切っている。

まるで巨大な木が真っ黒に燃え尽き、上部は完全に黒い煙だけなのに、下へ行くほど赤と黄色の炎が激しく燃え続けているかのようだった。

…

ドォォォォン!!

数分後、その音が直接耳に叩きつけられる。

天才でなくとも、戦場経験がなくとも、目の前で何が起きているかわかる。

全員がそのまま直立し、巨大な煙の柱を見つめ続ける。

何かが、起きている。

何かが、向こう側で起きている。

…

この時、黒鉄は大きな岩の陰に身を隠し、

煙の柱から目を離さないだけでなく、その周辺も注意深く観察していた。

「ハルのやつが狙われたか。」

「最悪だな。」

…

他の者とは違い、煙の柱ではなく周囲を絶えず警戒していたハガネハラが声をかける。

「隊長。」

「あの方向は、もし間違っていなければ……」

…

黒鉄の視線は依然として大きな煙の柱から離れない。

「安心しろ。」

「この可能性はすでに織り込み済みだ。」

「もしそうなら、少なくともハルくんの命はそう簡単には失われない。」

「コウカとハヤサキがいる。少なくともあいつを脱出させるくらいはできる。」

…

ザッ.

黒鉄は迷わず立ち上がり、当初の目的地の方を見る。

「だが、これで一つ明らかになった。」

「敵はハルくんもシノミも狙っている。」

「当面の優先事項は、合流してあの娘の安全を確保することだ。」

「絶対に奴らの思い通りにはさせない。」

…

今度はハガネハラの態度が数分前とは明らかに変わっていた。

武器を強く握り、隊長の背中を真っ直ぐ見つめ、

足は微動だにしない。

「隊長!」

「説明してください!」

「なぜあそこまで二人を優先するんですか?」

「この状況は極めて危険ではないですか?」

「それより何より、なぜ二人が主目標だと断言できるんですか?」

…

だが応える黒鉄は、一歩も動かず、

一言も発しなかった。

…

「黒鉄さん!」

「はっきり言ってください!」

「あの子たちが訓練施設に入った時から、あなたは私に彼らを特に注意するよう命じました。」

「何かあればすぐに報告しろと。」

「模擬戦闘訓練のペアも、すべてあなたが事前に組んでいた。」

「今回の任務ですら、新兵は全員基地で待機して、命令を待つはずです。」

「なぜあなたは新兵たちをこんな戦場に平気で送り出すんですか?」

「結局、あの二人の何が、そこまであなたの関心を引いているんですか!?」

…

「サンジョ。」

…

「はっきり言ってください、隊長!」

「自分が何のために動いているのかもわからないまま、命令に従うわけにはいきません!」

…

…

「サンジョ。」

「お前……この人生で、大切に思っている誰かがいるだろう?」

「お前は……一度でも……彼らを連れ戻したいと願ったことはないか?」

…

ハガネハラの体全体が硬直し、目を見開いて隊長を見つめる。

唇が震え、手は根の箒を強く握りしめる。

「あなたは……何を言っているんですか……」

…

「すまない。」

「今はまだ、すべてをはっきり言うことはできない。」

「今言えることはただ……」

「もしどちらかの陣営が、あの二人のどちらかを手に入れれば……」

「不死の軍……あるいは大量破壊兵器……」

「そんなものは……誰にも渡してはならない……」

ごくっ…

ハガネハラの頭はほとんど空白になり、瞬きすらできない。

指からも徐々に力が抜け、箒を握る手が緩んでいく。

そして思考が頭の中をぐるぐると回り始める。

そんなもの……ほとんど不可能じゃないか?

大量破壊兵器……すでに核兵器があるだろう?

それを超えるものなど一体何がある?

死……不死……これは……

その境界を越えるというのか……だがどうやって……

結局……あの二人の新兵は……

トガミ・ハル、タナカ・シノミ、

一体、何者なんだ?

…

…

「わかりました。」

「隊長、あなたはかなり前から知っていたようですね……」

「それなら、なぜ今まで私に話さなかったのか……」

「軍内部には一切の記録が残っていない。」

「つまり、この内部に……」

…

だが突然、黒鉄はただ振り返り、唇に笑みを浮かべ、腕を組む。

「考えすぎだ、サンジョ。」

「そんな話があるわけないだろ!」

「ただ雰囲気を少し軽くするための戯言だよ!」

「この状況でさらに緊張しすぎると寿命が縮むぞ!」

…

「でも隊長、さっき……」

…

とっ…とっ…

黒鉄はそのままハガネハラに近づき、両手を軽く振る。

「まさか本当に信じたのか?」

「そんな戯言、子供相手でも信じないぞ!」

…

ぽん.

「真面目なのはいい!」

「だが時には少し力を抜くことも必要だ。」

「状況はすでに十分緊張している。自分でさらにプレッシャーをかけるな!」

黒鉄の手が軽くハガネハラの肩を叩き、両目を閉じる。

だが、

…

その瞬間、わずかな囁きが聞こえる。

「公開データで探すな。」

「お前の安全のためにも、やめろ。」

「真実は、おとぎ話の中で眠っている。」

…

「隊長、今……何と言ったんですか?」

…

とん、とん…

「もうこの戯言はやめだ!」

「とりあえず全員を集めろ。」

「まず合流して、次の計画を考えなければ!」

「それに、回収したサンプルを分析に回す必要もある!」

明るい笑みを浮かべ、瓶を抱えた二人の新兵を指差す。

だが黒鉄の目は時折、

そこに立っている者たちをそっと見回していた。

…

ハガネハラは服を整え、背筋を伸ばして黒鉄を真っ直ぐ見る。

根の箒を肩に寄せ、唇に小さな笑みを浮かべる。

「了解しました!」

「ご助言ありがとうございます!」

「次は気をつけます!」

…

はぁ……

黒鉄は今や少し眉を寄せ、顔を軽く伏せる。

「まぁ、」

「無理しすぎなければいい。」

ピッ……ザッ……ピピッ……ザザッ……

そしてその瞬間、小部隊の全員のレーダーが一斉に激しく点滅し始め、

誰も聞いたことのない奇妙な声が響く。

「全軍……命令を受信せよ……」

「未来のために……人類のために……国家のために……」

「我々自身のために……」

「あの平和を壊す者に……発砲せよ……」

…

――バギィィィンッ!!

本能のままに、ハガネハラは即座に根の箒を地面に突き立てる。

無数の黒い枝が地面から飛び出し、レーダーへ一直線に襲いかかる。

一つ残らず。

「これは……まずい……」


ヒュゴォォォッ!! ヒュゴォォォッ!! ヒュゴォォォッ!!

事態はそこで止まらなかった。

直後、無数の砲弾とミサイルが、

無数の黄色い弾道が、巨大な泥の水たまりへ次々と飛んでいく。

泥の下に何もないにもかかわらず、

同じ一点を、止まらず、方向を変えず、リズムを崩さず撃ち続ける。

…

ズズズズズ……

そしてそれは、おそらく始まりに過ぎなかった。

今、泥の下から巨大な塊が膨れ上がり始め、

高くそびえる背びれが小部隊の全員の目の前に現れる。

だがそれより重要なのは、

あいつが、弾の飛んできた方向を辿り、

その軌道を逆に追うように、徐々に奥へ進んでいることだった。

…

迷わず、黒鉄はシラカワとアヤノをハガネハラの隣へ引き寄せ、

中央、怪獣が少しずつ近づいてくる方向を指差す。

「遠足の時間は終わりだ!」

「三人ですぐに戻って状況を抑えろ!」

…

ドドドドッ…

直後、黒鉄は中央とは逆の方向へ走り出す。

「残りは俺に続け!」

「武器を準備しろ!」

「三人の時間を稼ぐぞ!」


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