休戦の提案
「お前たち……何の話をしてるんだ?」
これは奇妙だ。いや、疑わしい点が多すぎる!
人魚の方が先に人間に宣戦布告したんじゃないのか?
奴らは道中で罪のない人間たちを平気で攻撃してきたはずだ。
なのに……なぜ……
急に……今になって……
降伏を提案してくるんだ?!
…
ガチャッ.
そして奇妙なことに、都市を攻撃した連中と同じ黒い鎧を着ているのに、
この者たちは異常なほど落ち着いている。
「この提案が多くの不自然な点を含んでいることは理解しています……」
「ですが、何か決断を下される前に、」
「どうかまず我々の言葉を聞いてください。」
「あなたが損をすることは絶対にありません!」
…
「……わかった。」
「では……どうぞ……」
手はまだ武器を強く握ったまま、体も黒い鎧の連中と十分な距離を保っている。
だが正直なところ、奴らはあの機械から俺を間一髪で助けてくれたのも事実だ。
とりあえず警戒を解かず、奴らの言うことを聞いてみることにする。
…
カチャッ.
三人の黒い鎧は俺とは正反対で、武器を抜くどころか、
むしろ背筋を伸ばし、こちらに向かって手のひらを差し出す。
「我々はネレウス様の名において、」
「トガミ・ハル個人に対し、休戦を提案いたします。」
「我々および同じ陣営の者は、今後あなたとあなたの大切な人々に武器を向けないことを約束します。」
「可能な限りあなたを助け、必要な情報は可能な限り共有する準備があります。」
「同時に、いかなる理由があろうとシノミ嬢に関与したり攻撃したりすることは絶対にありません。」
「そして最後に、一定の海域内では、あなたの船舶の安全を保障いたします。」
「何かご質問はありますか?」
…
カランッ.
待て待て待て!
聞き間違えたのか?
この提案は何だ?
誰が聞いてもすぐに同意するだろう。
奴らは本気で言っているのか?
それなら戦う必要などないじゃないか?
そんな考えが頭の中をぐるぐると巡り、
手に持っていた小さな鎌さえ、いつの間にか落としてしまっていた。
…
カチャッ…
俺はできるだけ顔を硬く保ち、鎌を拾い上げる。
落ち着け、トガミ・ハル。
こんな提案には必ず何かの条件がついているはずだ。
奴らが簡単に俺を野放しにするわけがない!
今は慌てる時じゃない。
むしろこれは機会かもしれない。逃すわけにはいかない!
「代わりに、俺は何をすればいいんだ?」
…
カランカランッ…
三人の黒い鎧は突然、持っていた槍をすべて地面に放り投げ、それらは俺の足元近くにまで転がってきた。
「お尋ねいただき、誠に嬉しく思います。」
「ネレウス様があなたに求めることはすべて、以下の通りです。」
「第一に、我々の陣営に決して武器を向けないでください。」
「第二に、あの日伯爵様に対してなさったように、我々の同胞を救出してください。」
「そして第三に、あなたの一族が保持しているもの……」
「それを読まず、あなた以外の誰かが発見する前に破壊してください。」
「ご覧の通り、あなたがそれをするだけで、我々は……」
…
今は絶対に動揺してはいけない。余計なことを考えても無駄だ。
奴らは俺の知らない何かを知っている。
周囲の人間も曖昧にしか話さない。
今度こそこの機会を利用しなければ!
普段の表情を保ったまま、真っ直ぐ奴らを見る。
「ちょっと待て。」
「まずいくつか質問したい……」
「いいか?」
…
「もちろんです。どうぞ。」
…
「まず聞きたいのは……」
「ネレウス様とは誰だ?」
「それに『我々の陣営』とは一体何なんだ?」
とりあえず、奴らは陣営と奇妙な名前について少し触れた。
まず背後にいる者の正体をはっきりさせなければ。
…
三人の黒い鎧は微動だにせず、真っ直ぐ俺を見つめている。
「人間と同様に、人魚の我々も階層社会です。」
「階層社会である以上、意見が完全に一つにまとまることはありません。」
「我々の中にも戦争を渇望する者がいれば、これ以上無意味に血が流れるのを望まない者もいます。」
「ネレウス様は我々の指導者であり、これらの攻撃に最初に反対した方です。」
「当初はすべてが無意味に見えましたが、対立する側のタルリック様が連続して敗北した後、」
「ネレウス様は徐々に地位を取り戻し、長い観察期間を経て、」
「あなたこそ、我々の陣営が交渉できる最も有望な相手だと判断したのです。」
…
「待てよ。」
「俺が何をしたから最も有望な対象だと見なされたんだ?」
「そもそもそんなことは聞いていない。」
「それに、もしお前たちの言うことが本当なら、」
「それはつまり、人魚の中の一部のグループだけが我々と平和になるということだ。」
「残りの大多数は依然として陸地に武器を向けている、そうだろ?」
だいたいのところは理解できたが、最後の部分はどういう意味だ?
…
「その件については、直接ネレウス様にお会いになった方が、詳しくお話しできるかと思います。」
「我々はただ伝言しているだけですので、ご容赦ください。」
…
これ以上聞いても追加の情報は得られそうにない。
それなら、
「わかった。」
「では教えてくれ……」
「なぜあの提案には俺の近くにいる人々まで含まれているんだ?」
「それに、お前たちが言っている秘密とは一体何だ?」
「なぜ俺はそれを読んではいけない? なぜ誰かが読む前に破壊しなければいけないんだ?」
…
「……」三人の黒い鎧はそのまま俺を見つめ、微動だにせず、一言も発しない。
…
なぜ何も言わない?
この提案を出したのは奴らだろう?
なぜもっと明確に説明しないんだ?
それとも、これらはすべて奴らにとって不利なことだから……
…
――カシャンッ。
三人の黒い鎧が突然俺の前で頭を下げる。
「どうかお許しください!」
「あなたがお尋ねになっていることはいずれも不合理ではありませんが、」
「いくつかの理由により、我々は絶対に話すことができません。」
「今言えることはただ一つ、」
「トガミ様、この世界には救世主など必要ありません。」
…
へっ? 救世主?
今どう反応すればいいのかわからない。
黒い鎧の連中が取るに足らないことで急に頭を下げて謝罪したことなのか、
それとも、
今聞いた言葉のことなのか。
救世主……一体どういう意味だ?
「……わかった。」
「とりあえず、検討する。」
…
「ありがとうございます。」
…
「では、最後の質問に答えてくれ……」
そうだ。ずっと気になっていたただ一つのこと。
都市が破壊されてから、あの怪獣との戦い、
避難所の都市が襲撃された夜、そして訓練キャンプでの出来事まで。
「結局、シノミとは何なんだ?」
「なぜあんなに多くの者が彼女を狙うんだ?」
「彼女はただの普通の少女じゃないか。」
「もし俺がお前たちの言う秘密を握っている者なら、」
「なぜ……」
「シノミが狙われるんだ?」
「彼女が何か間違ったことをしたのか?」
…
…
「人生とは奇妙な縁の連続です、トガミ様。」
「彼女のことは、いつか彼女自身があなたに話してくれると信じています。」
「今はただ一つだけ知っておいてください……」
「あなたが始まりへの鍵であるなら……」
「シノミ嬢こそが、終わりをもたらす者なのです。」




