↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
静時の流れ - 潮騒の誓約  作者: Minateru
始まり – 試練を越える

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

83/99

外見の裏側

太陽が真上から照りつける、広大な中庭の中

木々の葉は揺れることもなくり、足元に小さな木陰だけが落ちている

…

ザッ、ザッ、ザッ…

広い中庭では、人々が列を成し

積み重ねられた大きな籠の横に座っている一団の方へ揃って歩いていく

紐で結ばれた箸とスプーンを持ち

その後方では、全員が三つの異なる列に分かれている

…

同時刻、その集団に向かって伸びる建物の並びで

シラカワとアヤノが四つのリュックを手に

一歩一歩、小さな手帳を持った青年の方へ近づいていく

…

…

サラサラ…

「これで手続きは完了です。」青年が小さく微笑み、手帳にさらさらと書き込みながら

「おめでとう。正式にチーム8への加入が決まりました。」

...

すっ…

「あの……」アヤノが手に持った箸とスプーンを軽く差し出す

「聞いたんですけど……」

「トガミさんとコバヤシさんが間に合わなかった場合……」

「僕たちが代わりに、規定通り箸とスプーンを返納できるって本当ですか?」

…

ペラッ…

「ちょっと待って……」青年がページを素早くめくる

「確認させてくれ。」

…

スッ…

「この二人のことか……?」青年が手帳の二行の名前を指差す

「……トガミ・ハルさんとコバヤシ・レンさん。」

…

「はい。」アヤノが小さく頷く

…

「なら問題ない。」青年が小さく微笑む

「二人も君たちと同じ扱いだ。」

「箸とスプーンを回収して確認すれば終わりだよ。」

…

カチャ…

「はい、これです!」アヤノが両手で二組の箸とスプーンを青年に差し出す

…

「少し待ってくれ。」青年が軽く受け取り、後ろの籠の方へ背を向ける

…

…

コトン

「すべて問題なし。」青年が微笑み、手帳をテーブルの上で開く

「じゃあ確認のサインをもらえるかな。」

…

サラサラ…

「はい。」アヤノが手帳の小さな欄に書き込む

…

すたっ…

「すみません。」シラカワが青年に近づく

「ずっと気になっていたことがあって……」

「答えてもらえますか?」

…

「もちろん。」青年が目を細め、唇に笑みを浮かべる

「ただし……許可された範囲内でな。」

…

「実は、ずっと疑問だったんです……」シラカワの視線が箸とスプーンの籠の方へ向く

「最初に配られた箸とスプーンを回収すること自体は普通ですよね。」

「でも、なぜ箸とスプーンを分けずに、紐で一組ずつ結ぶんですか?」

…

ははっ…

「大したことじゃないよ!」青年が軽く手を振り、籠の方へ体を向ける

「ちょっとした行政手続きみたいなもんだ。」

…

カチャ…カチャ…

「ほら。」青年が紐で結ばれた一組の箸とスプーンを二人に差し出す

「実際に見てもらった方がわかりやすい。」

…

「紐に……名前が書いてある……?」アヤノが軽く首を傾げ、目を見開く

「それに……小さな色の糸も……」

…

「そうだ!」青年が指を箸に沿わせる

「実はこの規定は昔からあるんだ。」

「新兵が修了間近になるたびに」

「俺たちは分担して一人ひとりの箸とスプーンを回収して……」

「名前を書いて、確認して……さらに一本一本選んで結ぶ。」

…

「でも、なぜそんなことをするんですか?」シラカワが目を丸くする

「ただの規定なら、そこまで手間をかける必要はないのでは?」

…

スッ…

「本当は新兵には知らせない話なんだが……」青年が口を手で覆い、体を近づける

「君たちはすでに直接選抜されたから、小声で教えてやる。」

...

「実は、この糸なんだが……」青年の目が徐々に細くなる

「上の連中は、これを使って奴らを分類するんだ。」

...

「分類?」二人同時に声を揃える

…

「そうだ。」青年が体を低くする

「毎年、俺たちは新兵の箸とスプーンを全部確認する。」

「そこから読み取れる特徴を基に、適した糸を選んで……」

「その新兵の箸とスプーンに結び、分類担当に渡して振り分ける。」

…

「外の中庭でも見たろ?」青年が窓の方へ目を向ける

「三つの列が、それぞれ違う方向に向かっている。」

…

「結局、どうやって分類してるんですか?」シラカワの目が細くなる

…

トントン…

「後ろの籠も見たろ?」青年が後ろへ指を向ける

「元々、箸とスプーンを三つの区分に分けている。」

「基準を満たしたグループは緑の糸で、同じ色の箱に入れる。」

「後方支援や予備部隊となるグループは青の箱へ。」

「基準に達しなかったグループは赤い糸を結んで、同じ色の箱へ。」

「簡単だろ?」

…

ポリポリ…

「それは……わかります……」アヤノが何度も頭を掻く

「でも……箸とスプーンだけで振り分けるなんて……あまりに……」

…

「不公平だろ?」青年が微笑み、前を指差す

…

「……」二人が目を丸くして青年を見る

…

うんうん…

「わかるよ。」青年が腕を組み、何度も頷く

「最初にこの仕事をやらされた時は……」

「上の連中が何を考えているのか、俺もさっぱりわからなかった。」

「でも今は……少し違う。」

...

スッ…

「こう考えてみろ。」青年が指を一本高く上げる

「もし手元に極めて重要な武器があったとして……」

「でもきちんと整備しなかったら……」

「あるいは、大事にしすぎて使わなかったら……」

「その武器はどうなる?」

…

「壊れるか、故障しやすくなる……ですよね?」シラカワが軽く顎に手を当てる

…

ポンッ

「よく覚えてるな!」青年が勢いよく手を叩く

「基本的にはそういうことだ。」

…

「今、フォロックス製の武器はあまり残っていない。」青年が軽く目を閉じる

「採掘場にもほとんど近づけない。」

「一方で、戦闘機体を一台作るコストも安くはない。」

「そんな貴重なものを、日常の私物すらきちんと管理できない人間に渡すのは……」

...

「あまりに無駄じゃないか?」青年の目が突然鋭くなる

...

「……」二人が突然固まる

…

…

「もちろん、能力の基準も見る。」青年が小さく微笑み、頭を少し傾げる

「訓練中の他のメンバーへの接し方や」

「その他の潜在的な側面も。」

「それで初めて、どの糸を結ぶか決めるんだ。」

…

パタン!

「もう時間だ。」青年が手帳を閉じる

「チーム8の集合場所に急げ!」

「遅れたら罰則があるぞ!」

…

そろり…そろり…

「は……はい……」二人は少しずつ扉の方へ向かう

「失礼します……」

…………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………

建物の高層階では、至る所にスクリーンが並び

部屋の中央に九つの椅子が置かれている

五人の影が、それぞれのスクリーンに指を向けている

緑の服の人々が人体模型に武器を向ける映像が映っている

…

コツ…コツ…

「今年の新兵はこれだけか?」トウジョウが椅子の方へ近づく

…

はぁ……

「仕方ないだろう?」六番の帽子をかぶった女性が軽くうつむく

「一番優秀な新兵は全部リクオの奴に攫われちまった。」

「一緒に抗議して、何人か取り戻さないか!」

...

ははは...

「カンザキ隊長は相変わらず冗談が上手いな。」トウジョウの目が軽く細くなる

「我々全員がすでにその決定に同意したはずだろ?」

「とにかくチーム8が今回一番大きな損害を被った。」

「少し譲ってやってもいいじゃないか。」

「それとも、まだ何か意見があるのか?」

…

ギリッ…

「それはわかっています、トウジョウ隊長。」カンザキが軽く唇を噛む

「でも……あのリクオの奴が……」

…

ブンブン…ブンブン…

「どうしても優秀な人材を全部独り占めしなきゃならないのか?」カンザキが何度も腕を振る

「せめて一人か二人は残しておくべきだ。」

「しかも厳重に隠して、私に会わせもしない!」

「挨拶さえ許さない。」

「あの筋肉脳はもう少し自制しろ!」

…

「奇妙だな?」トウジョウが目を丸くし、顎に手を当てる

「なぜあいつはそんなことをするんだ?」

「次に会った時に、代わりに言っておこう。」

…

にこっ…

「さすがトウジョウ隊長!」カンザキの唇が小さく微笑む

「いつも頼りになります。」

…

「だが……」トウジョウが部屋の中を見回す

「今日は君と俺だけが直接来たのか?」

「他のチームはいつものように部下を出しているのか?」

…

「違います。」カンザキが軽く首を振る

「リクオはもう言うまでもなく……」

「他の連中はなぜか全員、大阪に戻れという命令を受けたそうです。」

「マツバキの奴は突然どこかへ消えましたし。」

…

ん……

「少し奇妙だな?」トウジョウが部屋を見回す

「普段あいつはこういう日が大好きなのに。」

「頭の中でまた何を考えているんだろうな?」

...

「知りません。」カンザキが軽く首を振り、手を横に振る

「あの商人どもの考えなど……」

「我々の誰も完全には理解できない。」

…

ギュッ

「やはり気になるな。」トウジョウが椅子を強く握る

「俺が行って……」

…

…

ウーーーーーー!!

突然大きな音が辺りに響き渡る

全てのスクリーンが一斉に鐘の映像に変わり

赤い光が部屋を覆う

…

ダダダダッ!

「緊急事態です!」緑の服の女性が部屋に駆け込む

「推定全高約80メートルの怪獣が沼津市内に進入しました。」

「現在、地域部隊が足止めを試みています。」

「地域の民間人は避難中です。」

...

「この怪獣の分類は確認できましたか?」カンザキが女性の方へ目を向ける

「そしてレベルも。」

…

「その……少々……」女性が視線を逸らす

「現在……魚類の特徴を持つことが確認されています……」

「鱗に覆われた皮膚……鉤爪のある足……ひれ……そして遠距離攻撃能力があります。」

…

「ならば爬虫類型の怪獣ということか。」カンザキが小さく微笑む

「我々はすでにレビィアサンで海蛇を狩った経験がある。」

「変異種を数匹追加で狩るくらい、何の問題もない。」

…

ピッ

赤い光が徐々に収まる

全てのスクリーンが同じ映像を映し出す

「実は……ご覧の通り……」女性がうつむき、手をスクリーンに向ける

「今回の怪獣は……魚です。」

…

「この……まさか……」トウジョウの顔が強張る

「これは……」

…

「は?」カンザキの体が凍りついたように固まる

…

…

至る所のスクリーンに、崩れたビルと地面一面の泥の中で

巨大な背びれが鱗だらけの体に沿って伸び

コンクリートに爪痕を残しながら一歩一歩進む

頭の上では、巨大な飛び出した目が辺りを見回している

...

「ご覧の通り……」女性の顔が深くうつむき、唇が歪んでいく

「これは……ムツゴロウです。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。