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静時の流れ - 潮騒の誓約  作者: Minateru
始まり – 試練を越える

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82/99

不本意な同行者

[三日前]

ザブーン……ザブーン……

青空の下、沖の方から次々と風が吹きつける

停泊している船々から離れ、黄色い砂浜の向こう側

黒い岩礁のそば、白い波しぶきが覆い尽くす場所に

ぽつりと、小さな人影がいくつか

…

ガンッ!

「お前たち、まだわからないのか?」ハヤサキが槍を強く地面に突き立てる

「もう時間がない!」

「すぐに嬢様をこの地から出せ!」

「でなければ、さっさとここに連れてこい!」

…

カチャッ…

「……」一人また一人、武器がハヤサキに向けられる

…

シュッ!

「部下に言っても無駄だ!」ハヤサキが槍を集団に向ける

「最初からこうしていれば早かっただろう?」

…

コツ…コツ…

「もういい、ここで止めろ!」ハヤマが両者の間に進み出る

「今ここで戦っても何の得にもならない。」

「君たちはすぐに集結地点へ戻れ!」

「ここは俺一人で何とかする。」

…

「でも……ハヤマさん……彼女は……」緑の服の兵士が目を細めてハヤサキを見る

…

「わかってる。」ハヤマが部隊の方へ振り返る

「だからこそ、ここで戦う意味がない。」

「すぐに撤退しろ!」

…

「了解!」小さな部隊が武器を収め、岩礁から離れていく

ザザッ... ザザッ...

...............

「で、お前はどうする?」ハヤマが目を細めてハヤサキを見る

「急に上陸してきたのは、景色を見に来たわけじゃないだろう?」

…

フッ

「どうやら話のわかる奴もいるらしい。」ハヤサキが武器を収め、唇をわずかに緩める

「よく聞け。」

「もう時間がない!」

「できるだけ早く嬢様をこの地から出せ!」

「それが無理なら、今すぐ私のもとへ連れて来い!」

…

「それは無理だ。」ハヤマが軽く首を振る

…

チッ…

「なぜ無理なんだ?」ハヤサキが体を引き、顔をしかめる

「状況が切迫しているのがわからないのか?」

「嬢様をここに置いておけば、必ず巻き込まれる!」

...

スッ…

「我々にも我々の規則があるからだ。」ハヤマが軽く指を一本ずつ立てる

「勝手に人を引き渡すわけにはいかない。」

「正当な理由もなしに動かせば、疑われる可能性もある。」

「そもそも、今言っている嬢様が誰なのか、俺も知らない。」

…

「そして何より……」ハヤマの視線がハヤサキを射る

「お前が何を言っているのか、全く理解できない。」

「危険? 今のところ我々は何の危険も検知していない。」

「ただの言葉だけで行動はできない。」

「特に、見知らぬ情報源からではな。」

…

「……」ハヤサキが徐々に固まり、唇をわずかに曲げる

「お前にはわからない……こんなことは……」

「早く嬢様をここから……」

…

コツ…コツ…

「そんな言葉だけなら……」ハヤマが背を向けて歩き出す

「助けてやることはできない。」

「さっさと自分のところへ帰れ!」

「我々は無差別に殺戮する趣味はない。」

…

バシャァァン!!

白い波しぶきが黒い岩の周りに激しく打ち寄せる

…

ギュッ……

「待て。」ハヤサキが槍を強く握りしめる

…

コツ…コツ…

「……」ハヤマは足を止めず進み続ける

…

ガンッ!!!

「得体の知れない何かが近づいている!」ハヤサキが槍を強く突き立て、ハヤマの方へ体を伸ばす

...

コツ…

「……」ハヤマの足が止まり、頭をわずかにハヤサキの方へ向ける

…

「何が起きているのか、私にはわからない。」ハヤサキの目が細くなる

「だが、どういうわけか……」

「両王子が、この周辺海域から全軍を撤退させるよう命じている。」

「どんな理由であれ、地上への進軍を禁じている。」

「そして全ての資源を製造工場に集中させている。」

...

「推測だが……」ハヤマがハヤサキの方へ体を向ける

「前回の戦いで想定外の損害が出たからだろう。」

「両王子は上陸戦ではなく、砲撃で攻撃するつもりなんだ。」

…

フルフル…

「普通ならそうかもしれない。」ハヤサキが何度も首を振る

「だが今回は違う。」

…

「どういう意味だ?」ハヤマが軽く首を傾げ、唇をわずかに緩める

「魚人族が砲兵隊で威嚇して平和交渉するつもりか?」

「お前たちの流儀には似つかわしくないな。」

…

「自分が全ての中心だと思うな!」ハヤサキが目を細め、背中をわずかに丸める

…

ギリッ……

「ここ最近、」

「得体の知れないものが現れた。」ハヤサキが歯を強く食いしばり、顔をしかめていく

「全ての魚が突然、いつもの生息地から姿を消した。」

「巨大な泥の層があらゆる場所を覆い尽くしている。」

「そして珊瑚礁の周りに、巨大な足跡が残されている。」

…

「そして何より……」ハヤサキが海の方へ顔を向ける

「巨大な黒い影のようなものと、その周囲を漂う泥の層が……」

…

ギリッ…

「どんな生き物も、小さな魚であろうと魚人であろうと……」ハヤサキが徐々に顔を下げる

「一度あの泥に落ちたら、二度と姿を見せない。」

「音一つ聞こえない。」

…

コツ…コツ…

「理解できないな。」ハヤマがハヤサキの方へ近づく

「それが海の問題なら……」

「なぜ地上にいる我々が警戒しなければならない?」

「仮に怪獣だとしても、我々には我々の対処法がある。」

...

ギュッ…

「だからこそ私はここに来たんだ!」ハヤサキが顔を上げてまっすぐ見つめ、目を見開く

「あのものが、まっすぐこちらへ迫ってきている。」

「お前たちが嬢様を死地に送り込むのを、黙って見てはいられない!」

…

…

はぁ…

「先ほども言ったが……」ハヤマが軽く眉を寄せる

「その嬢様が誰なのか知らないし、命令を破ることもできない。」

「ましてや、お前の言葉を信じられるかどうかも……」

…

スッ…

「だが、そこまで言い張るなら……」ハヤマが軽く手のひらを差し出す

「なぜ自分でその嬢様のところへ行き……」

「その槍で直接守らないんだ?」

…

…

パシッ!

「私にはお前たちへの義務はない!」ハヤサキがハヤマの手を払いのける

「お前たちの命令に頭を下げることもない。」

「私が命を預ける相手は、一人しかいない。」

…

ポリポリ…

「はいはい。」ハヤマが頭を掻く

「これで話は終わりだ。」

「じゃあカワサキに頼んで、その嬢様のところへ連れて行ってもらうよ。」

…

「待て。」ハヤサキが背筋を伸ばし、目を細める

「私にも聞きたいことがある。」

…

「質問次第だが……」ハヤマが腕を徐々に下ろす

「今の時点で最も適切な答えを返す。」

「それくらいはわかるだろう?」

…

「もちろん、何を言っても構わない。」ハヤサキが軽く頷く

「だが教えてくれ……」

「嬢様がいつも側に置いているペットの名は……」

「なぜ白い服の連中があれに注目しているんだ?」

...

おや…

「どうやってあんなに早く気づいたんだ?」ハヤマの唇がわずかに曲がり、顔が徐々に下がる

「早急に知らせる必要があるな。」

「最悪の事態にも備えを進めておく必要がある。」

…

…

「せめて何か言ってくれ!」ハヤサキが体を傾けて周りを見る

「まさか、あんなありふれた名前まで隠すのか?」

…

フッ…

「そこまで興味があるなら……」ハヤマが小さく微笑み、指をハヤサキに向ける

「自分で確かめてみたらどうだ?」

「その手にあるものでな。」

…

……………………………………………………………………………..

[現在に戻る]

「なぜ私は、イカリス様の槍をただの平民に渡さなきゃならんのだ?」ハヤサキの唇がわずかに曲がる

…

「ハヤサキ?」シノミが顔を近づけてくる

「何かあったの?」

「体調が悪いの?」

…

ビクッ!

「もちろん何もありません、お嬢様!」ハヤサキが後ろへ飛び退く

「どんなことでもすぐにやります!」

...

「そう?」シノミが軽く首を傾げる

「無理しすぎないで!」

「ここは海の下とはずいぶん違うから。」

「何かあったらすぐに言ってね!」

…

クシャッ…

「実際、それほどでもありません。」ハヤサキが自分の髪を軽くなでる

「髪が少し色褪せて絡まりやすいのと」

「肌が時々少し乾燥するくらいで。」

「それ以外はすべて問題ありません。」

…

フフッ…

「それなら安心したわ。」シノミが小さく微笑み、手のひらを軽く差し出す

「じゃあ早く行きましょう!」

「みんなに紹介したいの!」

…

「それ、本当に必要なんでしょうか、お嬢様?」ハヤサキの目が徐々に伏せられる

「私は人を守るために来ただけです。」

「地上の猿どもなんて……」

…

グイッ…

「ダメ!」シノミがハヤサキの手を引っ張る

「どうせ長い間一緒にいることになるんだから……」

「こんなに距離を取っていたら困るわ!」

…

…

「わかりました!」ハヤサキがシノミに引かれるままついていった。


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