表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
静時の流れ - 潮騒の誓約  作者: Minateru
始まり – 試練を越える

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

78/88

二つの道(二)

ザァァ…ザァァ…

濃い色の砂浜に、波が打ち寄せる中

白い泡の層がまだ至る所に残っている

いくつかの貝殻が波の方向に転がり

いくつかの貝殻が砂に埋もれている

俺の目の前には、小さな体と短い濡れた髪

全身が海水に覆われ

うつ伏せに砂浜に倒れている

体は微動だにしない

……

「ん~」俺は目を丸くし、首を軽く傾げて見つめる

ツン…ツン…

俺の指が、少年の頭を軽く突き続ける

むくっ…

少年の体が小さく震える

周囲の砂が徐々に動く

「ん?」俺は顔を近づける

ガバッ!

水滴が空中に浮かぶ

濃い色の砂が全身に付着し

明るい笑顔が顔を上げた瞬間に現れる

ぷっ…

あはははっ!

俺の視線が少年から離れられない

体をかがめ、両手でお腹を抱え

笑いが止まらない

ムッ…

「急に何笑ってるの!?」少年が頰を膨らませ、俺に向かって手を伸ばす

「大人のくせに!」

...

ちょい…ちょい…

「顔…顔が…」俺は唇を閉じようとし、目を細め、少年の顔を指差す

「そんな顔…誰だって…」

あはははっ!

パッパッ…パッパッ…

少年がくるくる回り、手を体中に振り回す

あはははっ!

俺は目を固く閉じ、少年に背を向ける

「ふざけすぎ!」少年は目を固く閉じ、手を強く地面に叩きつける

「何も面白くないのに笑うなんて!」

すっ…

「ごめんごめん!」俺は指で目元を拭い、少年の方に向き直る

「久しぶりにこんな光景見たからつい…」

ぷいっ…

「変な人!」少年は腕を組み、俺に背を向ける

「もうお兄さんと遊ばない!」

「わかったから、怒るなよ」俺は体をまっすぐ起こし、笑みをゆっくり消す

「もう笑わない、いいだろ?」

「だから、今回だけ許してくれ?」

「な?」

むくっ…

「絶対に守ってよね!」少年は頰を膨らませ、俺を横目で見る

「守らなかったら…ずっと怒ってるから!」

「分かったよ!」俺は後頭部に手を当て、頭を軽く下げる

「もう笑わない!」

「でも…」

「君…ここで何してるんだ?」

「お父さんとお母さんは?」

...

ビクッ!

「い…いや…」少年の体がびくりと震え、目が固まる

「違う…違う…」

「お父さんとお母さんが遊びに連れてきてくれた…だから…」

じーっ…

「本当か?」俺は目を細め、顔を近づける

「お兄さん…信じてくれないの…」少年の体が固まり、視線を別の方向へ逸らす

「お母さんが…僕たちを…ここで遊ばせて…」

「だから…」

タタタタッ…タタタタッ…

遠くから、もう一つの小さな影が俺たちに向かって走ってくる

長い青い髪が風に舞い

肌には奇妙な鱗のような模様

「待って…待ってよ…」

「待って…」

どてっ!

少女の体が砂浜に勢いよく倒れ込む

「えっ?」俺のまぶたが小さく震え、体が固まる

「この光景…どこかで見たような…?」

...

ひょこっ!

少女の顔が俺たちを真正面から見上げる

目を丸くし、黄金の砂が全身に付着している

わああん!

少女の手が砂浜を強く叩く

目を固く閉じ、顔を歪め

目尻に小さな水滴が浮かぶ

てててっ…てててっ…

少年が少女に向かって駆け寄る

両手で黄金の砂を払い落とし

少しずつ、少女を立たせようとする

視線が少女から離れない

「もう泣かないで!」

「僕がいるよ!」

「もう誰も君をいじめないよ!」

ひっく…ひっく…

「でも…でも…」少女が少年を見上げる

「まだ…見つかってない…」

「もし…なくしちゃったら…」

「そしたら…そしたら…」

わあああん!!

........

………

ザッ…ザッ…

「ほら…もう泣かないで…」俺は両耳を塞ぎ、二人の子供に近づく

「何かあったらゆっくり話せよ」

「俺に手伝えることがあれば教えてくれ」

ぱちぱち…ぱちぱち…

二人の子供が突然止まり、丸い目で俺を真正面から見つめる

ぎゅっ…

少女が突然少年の後ろに隠れ、肩をぎゅっと握る

唇を少年の耳元に寄せる

「早く行こう…」

「お母さんが…知らない人と話さないようにって…」

「知らない人…危ないって…」

こそこそ…

「別に大丈夫じゃない?」少年が少女の方を向く

「この人は他の人みたいに変なこと言わないし…」

「それに顔も…」

「…」二人の子供が俺をじっと見つめる

「?」俺も目を丸くして見返す

「もう行こうよ!」少年は顔を手で覆い、少女の方へ体を傾ける

「こんな人、お母さんがいつも言ってるような…」

「おい!」俺は目を細め、少し顔を歪める

「急に何言ってんだ?」

さっ!

少女が突然少年の背中に顔を埋める

「シノミをいじめないで!」少年は腕を大きく広げる

「シノミ?」俺は体を傾げ、手で軽く指差し

「この名前…どこかで聞いたような…」

「でもどうしてそんな…?」

トントン…トントン…

「もう行こう…」少女が少年の背中を何度も叩く

「早くしないと…お母さんにバレたら…」

「おばあちゃんの大切なもの…僕のせいでなくしちゃったら…」

「ハル…お仕置きされて…」

「誰も…僕と遊んでくれなくなる…」

「ハル?」俺の体が固まり、目が険しくなる

「ふざけてんのか?」

ぎゅっ!

「じゃあもう行こう!」少年は少女の手を強く握る

「僕も部屋に閉じ込められるのは嫌だ!」

「うんっ!」少女が大きく頷き、唇に明るい笑みを浮かべる

...

ぱっ!

「ちょっと待て!」俺は両手を二人の子供に向かって大きく振る

「さっきからお前ら何言ってるんだ?」

「お前ら、何かなくしたのか?」

「よかったら俺も探すの手伝うぞ!」

「一人いる方がいいだろ?」

ぴっ!

「…」二人の子供が目を丸くして俺を見、手をゆっくりと俺に向かって指差す

「僕たちのもの…」

「兄さんの首についてるやつより大きい」

...

「首の…上?」俺はゆっくりと頭を下げる

...

ぱちっ…ぱちっ…

「うわ?」俺の目が何度も瞬く

「さっきの首飾り…どこ行った…」

「お前ら二人も…」俺は頭を巡らせて周りを見る

…………………………………………………………………………………………

ガシガシ…ガシガシ…

「結局今まで何が起きてんだよ!?」俺は頭を激しく掻き、顔を歪める

「次から次へと…」

「全部通り過ぎるだけで、頭も尻尾もねえ!」

ザッ!!ザッ!!ザッ!!

「結局いつになったらこの話は終わるんだよ!?」俺は砂浜を何度も強く踏みつける

ガンッ!

「へ?」俺の足が止まり、体全体が一瞬固まる

...

パッパッ…パッパッ…

「お前…まさか…」俺は砂を払い落としながら

「さっきの球体にそっくりだ」

ひょい!

「意味わかんねえ!」俺は球体を高く持ち上げ、くるくる回す

「お前は何が特別なんだ…」

「みんなが必死で探す理由は?」

すっ…

俺はゆっくりと球体を下ろす

今、俺の目の前には…

ザァァ…

全てが二つに分かれる

片側では、槍を持った少年が緑の服の列の間を歩いている

もう片側では、二人の小さな子供が大小様々な球体の間で

「…」俺は軽く頭を下げ、球体を真正面からじっと見つめる

「よし、決めた!」俺は分かれ道の方に顔を上げる

ザッ!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ