表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
静時の流れ - 潮騒の誓約  作者: Minateru
始まり – 試練を越える

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

57/64

いつも通りの一日…?

ぐっ…うっ…

目の前に広がるのは、闇に覆われた空間

両手が痺れて、動かすことすらできない

汗の一滴一滴が、体中を伝い落ちる

耳がぼんやりして、喉が詰まったように苦しい

こつん

突然、遠くから小さな音が響く

小さな波紋が、俺の視界に浮かぶ

おい…

「ハル。」背後から声がする

「ハル。」

「ハル!」

………

んん…

目がゆっくり開き、体を起こしていく

ぼさぼさの髪が視界を覆う

「ねえ、ハル。」後ろから聞き慣れた声がする

「ハル!」

「起きたなら返事しなよ!」

うぅ…

両手でゆっくり髪をかき上げる

目が半開きのまま、体を後ろへ向ける

唇が小さく動く

「レン…なのか?」

「結局…何が…起きたんだ?」

「は?」レンの影がぼんやり浮かぶ

「まだ夢見てんのかよ?」

「たった数分前だぞ!」

「数…分…」俺は軽く首を回して周りを見回す

「何が…起きたんだ…」

「みんなは…どこに行った…」

「どうしたんだよ?」レンの影がだんだんはっきりしてくる

「みんな今めちゃくちゃ大変なんだぞ!」

「みんなの救世主が急に寝てんじゃねえよ!」

「そうだ…思い出した…」俺は片手を額に当て、目を細める

「俺たち…訓練中だったよな…」

「そしたら突然…あの野郎が…」

「まあ、そう言っても間違いじゃねえな。」レンの影が視線を逸らす

「たぶんクロハさんの影響だろ。」

「まあいいや。」

「さっさと目を覚ましてくれ。」

こつん

俺は手探りで周りを探る

小さな物が当たる感触と共に、軽い音がする

妙に馴染みのある感覚

「どこだ…」手があちこちを這う

ぱさっ

「さっきからどうしたんだよ?」レンの影が白い紙の後ろから現れる

「まさか答え全部忘れたとか言うんじゃねえよな!」

「え?」俺の目が大きく見開かれ、体が凍りつく

「どうした?」レンが首を傾げて俺を見る

「そんなにおかしいか?」

…...

ガタッ!

教室の真ん中、みんなが顔を伏せている

黒い文字がびっしり書かれた答案用紙が机に並ぶ

俺は椅子から跳ね起きた

視線をキョロキョロさせ、手が制服に触れる

見たこともない制服。

でも、妙に馴染みがある

「トガミさん。」教室中に声が響く

「わざわざ全クラスに報告しなくてもいいですよ。」

「…」俺はゆっくり振り返り、目を見開く

黒い机が置かれた教壇の隅

白いチョークで「テスト」と書かれている

見覚えのある影が、片手で顎を支え

もう片方の手でページをめくっている

「終わったなら他の生徒にもやらせてください。」ハヤマ先生が俺をチラリと見る

……………………………………………………………………………..

「リーン♪」

陽光が隅々まで差し込む中

チャイムの音が空間に響き渡る

本が綺麗にしまわれ

長い列が教室から続いて出ていく

……

ぐーっ~

「助かったー!」レンが両手を組んで思いっきり伸びをする

「今日はもう終わりかと思ったわ!」

「また飯おごってもらうな!」

コツ…コツ…

俺は廊下を歩いていく

人ごみをすり抜けながら、視線を絶えず動かす

「ねえ、レン。」

「結局…何が起きたんだ?」

「みんなどこに行った?」

「あの野郎…結局…あいつ…」

「は?」レンが目を丸くして俺を見る

「まだ寝ぼけてんのか?」

「それともまだ中二病全開か?」

うっ…

「…」俺は顔を背け、手を額に当てて顔を歪める

ぽんっ

「ほら、早く覚醒しろよ」レンが俺の背中を叩く

「このままじゃ…」

「学食の行列に勝てねえだろ!」

「まあ…そうだな…」俺は前を見て、手をゆっくり下ろす

………………………………………………………………………………….

がやがや…がやがや…

周囲は人で溢れかえっている

各カウンターに行列ができ

机は座る人で埋まっている

「今日は急に人が多いな。」レンが後頭部に手を当てて周りを見回す

「どこも満席じゃん。」

「別にいいよ」俺は微笑んでレンの方を見る

「なんか買えたし。」

「どこで食べても同じだろ。」

フフフ…

「どこでも…いいのか…?」レンが唇を歪めて俺を横目で見る

「えと…それは…」俺の顔が青ざめ、体が縮こまる

………………………………………….

ドン!ドン!

真っ白な服を着た人影だらけの部屋

サンドバッグがあちこちで揺れている

汗の滴が床中に飛び散っている

……………

「これ…」俺の唇がピクッと動く、指がその部屋を指す

「マジかよ?」

「だって、お前がどこでもいいって言ったじゃん。」レンが首を傾げて目を丸くする

「でも…せめて…」俺の顔が強張り、部屋をチラ見する

「せめて…選ぶべきじゃ…」

「いいじゃん!」レンが手をブンブン振って、目を細めて笑う

「どうせ通り道だろ?」

……

たたたっ...

遠くから足音が聞こえてくる

…….

「通り道?」俺はレンを見て、顔が強張る

ぽん…

「ほら、もう隠すなよ!」レンが明るく笑って俺の肩に手を置く

「みんな知ってるって。」

……

ぱたぱた…

足音がどんどん近づいてくる

……

「知っ…知ってるって何を?」俺の肩が固まる

はぁ…

「まだとぼけてんのかよ!」レンが肩を落として顔を伏せる

「いいか。」

「武道大会の後から気づいてたぞ。」レンが背中を丸めて俺を見上げる

「その後も何回かあの野郎が来てただろ。」

「体育祭の時も。」

「文化祭の時も。」

「結局…お前は何を…言ってるんだ…」俺の体が縮こまり、目を逸らせない

「つまり…」レンが目を細めて眉を下げながら

「お前と…」

「…ヤマザキさんのことだよ。」

……………………………………….

ぎゅむっ!

一つの体が俺をがっしり抱きしめる

白い服が視界を埋め尽くす

赤い髪の束が目の前を過ぎる

「ハルくん!」頰が相手の体に密着する

「どれだけ待たせたと思ってんの?」

「めっちゃ怒ってるんだからね?」

俺は必死に目を見開き

体をよじって相手を見ようとする

「ツメコ…さん…?」

ぎゅーっ…

「もう…」ツメコさんがさらに強く抱きつく

「またそうやって呼ぶの?」

「そんな呼び方やめてよ!」

「約束した通り呼んでよね。」

「なあ…お前ら…」レンがゆっくり手を上げて目を細める

「悪いけど邪魔してるけど…」

「周りをちょっと気にしてくれないか?」

………

ツメコさんの体がゆっくり俺を離す

顔を耳元に近づけて

「後で続きね♪」

「…」俺の顔が真っ赤になり、頭が熱くなる

プシュー

口が勝手に開いたまま

白い煙が体中に薄く広がる

周囲の空間が、急に暗くなっていく

緑色のラインがあちこちに浮かび上がる

そして一つの声が、俺の意識を横切る

「気絶した者たちを全員、早くここから連れ出せ!」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ