次の皿が来る前に
ドゴォン!!!
周囲の空間、四方八方、木の根がびっしり覆い尽くす
光る人形どもがギチギチに挟まって動けねえ
青々とした芝生、今は煙と砂塵に埋もれてる
でっかい砲口もろとも、地面に叩きつけられる
……
ミシ…ミシ…
遠くの機械の目、点滅する光
体が震えて、関節が無理やり動こうとする
巨大な機械の体から、錆びた黄色い破片がパラパラ落ちる
一緒に、関節の隙間から水滴がポタポタ落ちる
…
ガチャガチャ…ガチャガチャ…
コックピットの中、機械の内部
汗がダラダラ、顔中びしょ濡れ
両手がめちゃくちゃにボタン叩いて、レバー引きまくり
レンの顔が歪んで、唇をギュッと噛み締める
目が一瞬も離れねえ、前のスクリーンから
……
ギチッ.
戦線の向こう側、赤い鎧のヤツがガッチリ構えてる
両手で三日月型の鎌を握り締め
体を傾けて、赤い光を遠くの機械に向ける
…………
ギギギ…
「どうしたんだ、若い戦士?」赤い鎧が両手をゆっくり下げて、レンに向き直る
「そんなに勝ちたくないのか?」
「それとも…」
「ただの隠れて撃つだけのヘタレか?」
…
ブルブル…ブルブル…
「…」機械の目が激しく点滅、装甲が層ごとガタガタ揺れる
…
「ん?」赤い鎧が体を起こして、首を傾げてレンを見る
……
ガチャン…ガチャン…
「クソッ!」レンの両手が止まらず動き回り、目がキョロキョロ
「なんで動かねえんだよ?!」
「このままじゃ…」
……
ドン… ドン…
「…」赤い鎧がゆっくりレンに近づく、両方の鎌を背中に収める
…
ガチャガチャガチャ!!
「頼むから動けよ!」レンがレバーを乱暴にガチャガチャ、ボタン全部連打
「何か一つでも動く部分残ってんだろ?!」
…
「やめろ。」赤い鎧が金褐色の機械の腕に近づく
「このまま続けても…」
「お前が得るものなんて、何もいいことねえぞ?」
…
「だから何だよ?!」レンがコントロールパネルのスクリーンに目をやり、マイクを引き寄せる
「それでもお前なんかに…」
…
「仲間を傷つけるのか?」赤い鎧が機械を見上げて言う
「奪うのか? お前のものだったものを?」
「それとも、お前の全部の努力を…」
「無意味にするのか?」
…
「…」レンの目がギュッと細まり、体がピタッと止まる
…
そっ…
「安心しろ。」赤い鎧がそっと金褐色の機械の腕に触れる
…
「お前…何する気だ?!」レンがガラスに向かって体を投げ出す
…
スルスル…スルスル…
「言っただろ…」赤い鎧の腕からワイヤーが飛び出し、金褐色の機械の腕に潜り込む
「俺はただ、公平な勝負がしたいだけだ。」
「少なくとも、相手がこの古い相棒ならな。」
……….
ゴォォ…ジジジジ!!
金褐色の機械の腕全体に光が広がる
稲妻が空間中にビリビリ走る
点滅してたランプが、急に眩しく輝き出す
…
ガバッ!!
赤い鎧の手がゆっくり離れる
レンの両手がギュッと握り締め、体がシートに沈む
周囲が眩い光に包まれ、金褐色の機械が地面を蹴って跳ね上がる
…………………………………………………………………………….
リン…
「なんでそんなことすんの?」女が顎を手に乗せて、地面に寝転がったまま
「そのまま勝っちゃえばいいじゃん、楽でしょ?」
「わざわざ敵を助ける意味あんの?」
…
フッ…
「やっぱりお前ら、分かってねえな」ハル(?)が唇を歪めて笑う
「黒い岩の間で長く生きすぎて、感覚が鈍ったか?」
…
「それとも…」ハル(?)が女をチラッと見る
「お前だけ…まだ新鮮なのか?」
…
バッ!!
「ちがうちがうちがう!!!」女が跳ね起きて、空を仰ぐ
「私まであいつらみたいだったら…」
「どうやってここまで来れたってのよ?!」
…
「それにさ、考えてみてよお客様…」女が手をバタバタ振る
「私まであいつらと同じだったら…」
「今こんなに上手くいってる状況、あり得た?」
…
「…」ハル(?)が目を細めて女を見る
…
…
「ま、いいさ」ハル(?)がレンの方へ顔を向ける
「お前がどうなろうが俺には関係ねえ。」
「邪魔さえしなけりゃな。」
…
パン!
「はーい! もちろんです!」女が頬をパチンと叩いて、にっこり笑う
「せっかくのお客様の食事、邪魔するわけないじゃないですか!」
「でもね…」
…
リン…
「自分の料理をこんな風に放置して…」女が目を細めて、そっとレンを見る
「本当に…お客様全員、満足できるのかな?」
…
ドンッ!!
「余計だ!」ハル(?)が鎌を地面に叩きつける
「俺たちがそんな弱っちいもん必要かよ?」
「ただの無駄な労力だ。」
…
「了解しました!」女が両手を腹に当てて、軽くお辞儀
「お客様がそういうお味がお好きなら…」
「そのままにしておきますね。」
……
ビリ…ビリ…
手に持った石の鎌が、急に激しく震え出す
ハル(?)の目が離せなくなる
唇が微かに動く
…
「面白いじゃねえか。」ハル(?)の唇が小さく動いて、鎌から目を離さない
「そこまでやる気なら…」
「その資格、俺から奪ってみろよ。」
…………………………………………………………………………………………………..
カチッ…カチッ…
光がもうチカチカしなくなった
体が、滑らかに動き始める
関節が一切引っかからずスムーズに動く
…
「どうだ?」赤い鎧が機械を見上げる
「もう問題ねえか?」
…
「ない…全然…」レンの唇が震えて、コックピットの中をぐるぐる見回す
「全く問題ない…」
「でも…どうやって…」
…
…
「最初に言っただろ?」赤い鎧が両手を下ろして、首を傾げる
「俺はただ…」
「公平に戦いたいだけだ。」
…
…
「すげえ!」レンの目がキラキラ光って、手がゆっくり緩む
「さっきまでボロボロだったのに…」
「数分で直しちまうなんて!」
…
ふふっ…
「当たり前だろ。」赤い鎧が腰に手を当てて、目を輝かせる
「俺が誰だと思ってんだ?」
「あいつらだって面倒見てやれる…」
「こんな古い機体くらい、朝飯前だ!」
…
「そうか」レンがスクリーンから目を離さず、両手を胸の前で組む
「だからあんなに速く直せたんだ!」
「今まで何台直してきたんだ?」
…
ふふっ…
「そんなに多くねえよ。」赤い鎧の体が小さく震えて、ハル(?)の方をチラ見
「ただ単に…」
「面倒くせえヤツが11人もいるだけだ。」
「いつまで経っても自分で面倒見れねえ連中がな。」
………
「でも…それは後でいい。」赤い鎧がレンを見上げる
「もう大丈夫になったか?」
…
ウィン…ウィン…
「最高すぎる!」金褐色の機械がグルグル回る
「新品みたいだよ!」
…
「そうか?」赤い鎧が目を細めて、体を少し縮める
「良かったな。」
「じゃあ…」
…
シュンッ!!
「始めるか?」赤い鎧がレンに向かって突っ込む
………………………………………………………………………………………………………………
[フェンスの外側]
ガラガラッ…ガラガラッ…
「早く!」青い服の影たちがバタバタ走り回る
「まだこの辺にたくさん残ってるぞ。」
「もっと酷くなる前に。」
…
「おーい!」遠くから青い服のヤツが手を振る
「こっち来いよ!」
「ここ結構人数いるぞ!」
……
地面に転がってる人たちの間
弾の殻がコロコロ転がる
コンピューターの画面が数字を狂ったように跳ね回る
…
ん…
空間の真ん中で、小さな音が響く
何人かの顔が、急に歪む




