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静時の流れ - 潮騒の誓約  作者: Minateru
始まり – 試練を越える

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45/100

ずれた二音

そよ…そよ…

木陰がだんだん向きを変えてゆく

陽の光が西の方へ傾いてゆく

木の枝葉があちこちで軽く揺れて

食べ物の匂いが、あちこちにふわっと漂ってる

…

もぐもぐ…

周りの人だかりが小さなグループに分かれて

みんな視線を皿の上の料理に注いで

すぐ横に置かれた缶ジュースとか

まだ手つかずのテーブルに

……

とん…とん…

「ただいまー!」シラカワさんが手を高く上げて振ってる

「俺がいない間に何かあった?」

…

「別に大したことないよ」俺は視線を遠くのテーブルに向けて、手を指す

「ただ、俺たちの昼飯がもう運ばれてきてただけ」

…

うわ…

「今日の飯、なんでこんなに残ってるんだよ?」シラカワさんが後ずさりして目を見開く

「普段ならこんなに残ることなんてないだろ」

…

「…」俺は周りを見回して、唇を軽く動かす

「まあ…原因は…」

「……今日って…誰も管理してないから…」

…

「なんであいつらハンゴから出てこれたんだ?」シラカワさんが頰に手を当てる

「本来なら止められてるはずだろ?」

…

「俺もわかんねぇよ」アヤノさんが周りを見回す

「でもさ…」

「……こっちの方が気になるんだけど…」

…

「シラカワさん」アヤノさんの目が細くなる

「さっき投げたあれ、何だったの?」

「ちゃんとやり方教えたよね?」

…

「あれは…」シラカワさんが後ずさって周りを見回す

「だって…その時めっちゃ急いでて…」

「時間…もうほとんど残ってなかったし…」

……

ぎゃあぎゃあ…

小さな会話がぴたっと止まる

みんなの視線が練習場の方へ向く

あちこちに響き渡る音に

…

「あの二人ってほんと…」シラカワさんが目に手を当てて首を振る

「どこ行っても一緒だな…」

「大丈夫かなぁ…」

…

「あの二人…」アヤノさんが目を丸くして俺たちを見る

「昔から知り合いなの?」

…

「実は…まあ知り合いっちゃ知り合いだけど…」俺は顔を背けて目を細める

「でも…どう言えばいいか…まあ見りゃわかるだろ…」

………………………………………………………………………………………………

人ごみの間、武器を握った手

両側から注がれる視線

まぶたを閉じていく顔たち

そしてただ一組に向かって

…

「黙れよ!」ネネが腰に手を当てて

「なんで私がお前の計画なんか聞かなきゃいけないの?」

「無茶で実現不可能じゃん」

…

「はぁ!?」レンが首を傾けて顔を近づける

「それが難しいってか?」

「じゃあお前の計画はどうなんだよ?」

「ガチガチで型にはまりすぎ…」

「どのグループもそんな感じでやってたじゃん?」

……

「静かにしろ!」ハガネハラが目を吊り上げて両手を後ろに

「何やってんだお前ら!」

「他人の時間無駄にしてんのわかってんのか?」

…

「こいつのせいだろ!」レンがネネを指差す

「こいつのせいだよ!」ネネが指を差してハガネハラを見る

…

「そんなの知るか!」ハガネハラが両手で腰に当てて

「協力するか…」

「それとも落ちるか…」

「わかったな?」

…

ふんっ!

「…」レンとネネが背中合わせになる

……

「全員準備はいいな…」ハガネハラが周りを見回す

「開始!」

………………………………………………………………………………………………………………

たったっ…たったっ…

影が一斉に前へ飛び出す

目を見開いて互いを見据える

握りしめた武器

額にびっしり滲む汗

…

タタタタッ…タタタタッ…

赤く光る人形たち

爪を長く伸ばして前へ

足跡の後に舞う土埃

……

ダダダダダッ…

弾の薬莢が芝生に落ち続ける

金色の光が人々の間を照らす

厚い煙が人形たちを包む

…

ドゴォン!!

人形が顔を覆う

体中に凹みが走る

列を貫いて

……

銃声が徐々に止まる

薬莢が消える

芝生の上に人影はもうない

残ってるのはただ一つの光景

…

緑の芝生に散らばる銃

あちこちに倒れた体

空を見上げたまま開いた目

動かなくなった体

その上に浮かぶ金属の骨組み

…………………………………

ドンッ!

「くそっ!」レンが歯を食いしばって周りを見る

「なんで殴っても殴っても終わんねぇんだよ?」

…

ゴンッ!

「だから私の言うこと聞けって言ったでしょ!」ネネが拳を振り上げて睨む

「敵が強いってわかっててまだ偉そうに」

…

トンッ…

「じゃあお前の戦術がどれだけ役に立ったってんだよ!」レンが顔を近づける

…

「役に立たないって何?」ネネが体を寄せる

「明らかにいい計画だったじゃん」

…

「お前考えたことあんのか?」レンが体を回して前を指す

「どっちも銃なんか持ってねぇだろ?」

「せいぜいグローブと小さいナイフだけじゃん!」

…

ずかっ…ずかっ…

「何か文句あんのか?」ネネが顔を寄せる

…

「もちろん…」レンの目が開いて両手をネネに向ける

…

ガッ!

「思いついた!」レンの両手がネネを弾き飛ばす

…

「この野郎…」ネネが頭に手を当ててレンを睨む

「いきなり何すんの…」

「……何…」

……………

ガキィン!!

ネネの目の前に人形

鉄の牙が真っ直ぐ彼女に向かって

レンの拳が人形の頭に叩き込まれる

…

はぁ…はぁ…

「お前がそんなんじゃ…」レンが口元に手を当てて少し前屈み

「……誰が…聞いてくれんだよ…」

………

バサッ!

ネネの体がレンに向かって飛び出す

片手で襟を掴み、もう片方でナイフを握りしめて

…

ザシュッ!

火花が空間に散る

人形の動きが止まる

…

「お前だって同じじゃん…人のこと言えるかよ…」ネネの体が低くなる

「私の言うこと聞きたいなら…私を越えてみろよ…」

…

ガッ!

「あいつは俺が取っとくって言ってんだろ!」レンが拳を握りしめて高く上げる

「誰がお前が俺の獲物を横取りすんだよ」ネネが体を起こす

……………

あちこちに響く音

周りを包む煙

…

ザンッ!!

光る体が二人を横切る

赤い目がネネを直視

爪がどんどん伸びる

…

…

ズザァァッ!

茶色の土が芝生に長く伸びる

歪んだ顔が前を見る

汗まみれの手

……

ガンッ!

食事のテーブルが激しく揺れる

皿が跳ねる

…

コトン…

小さな箱が地面に落ちる

皿が次々と続く

……

ガガガガガッ!!

爪が連続で襲う

手足を掴もうと伸びる

…

ネネの顔が歪み、目を見開く

体が激しくもがく

手があちこちに伸びる

…………

カンッ!カンッ!

「この変態人形!」ネネが皿を叩き続ける

「真っ昼間から何やってんの…」

「早く離せよ?」

……

ギィッ…

人形の目が点滅し始める

頭がガクガク揺れて

関節がゆっくり止まる

…

カサッ…

ネネが芝生を這う

手が小さな箱に触れる

「これって…」ネネが箱を見て唇を動かす

「デンタルフロス?」

…

シュッ!

「あるもんは使う!」ネネが糸を引き抜く

……

ギュウッ!!

糸が人形の頭に巻き付く

電気がバチバチ飛び散る

爪があちこちを引っ掻く

…

ギリギリ…

「早く…大人しくしろよ…」ネネの唇が強く噛み合わさる

…

…

ピタッ…

手が糸を離す

傷跡があちこちに残る

人形の光が消える

…

はっ…はっ…

「ほんと…頑丈なヤツ…」ネネが額を拭う

……

ウィィィン!!

ネネの目が見開き、体が固まる

白銀の光があちこちに

赤い光線が真っ直ぐ前へ

爪が迫る

…

「させるかよ!」遠くの煙から声が響く

…

ズザァァッ!!

爪の跡が練習場に伸びる

土が次々掘り返される

人形が煙の中に溶ける

…

「何が…起きてんだよ…」ネネが首を傾けて目を丸くする

…

…

練習場に人形の影はもうない

爪の跡も出ない

赤い光も消える

煙の中から一つの影が現れる

…

「ってことは…お前が俺に一つ借りだな…」レンが顎に手を当てて笑う

「ちゃんと…返せよ…」

…

こつ…こつ…

「…」ネネが唇を曲げて煙に向かう

「じゃあ私が試験で何回助けてやった分はどうすんの?」

「全部忘れたふりかよ、レン?」

…

「それはそれこれはこれだろ!」レンが両手で腰に当てる

「ごっちゃにするなよ!」

……………………………

ふふふ…

「意外と面白いヤツいるじゃん!」女が笑う

「ねえ、中尉?」

…

はぁ…

「何がだよ!」ハガネハラが鼻筋に手を当てる

「こんなヤツらが小隊にいたら大混乱だろ」

…

「でも…」女がペンを練習場に向ける

「二人を分けたら…」

「ああいうことできるのかな?」

…

「アンタさ…」ハガネハラが目を細めて振り返る

「からかうのやめろよ?」

…

「知らないもん」女が顔を背ける

「中…尉…ちゃん…」

…

はぁ…

「この中隊どうかしちゃったのか?」ハガネハラが首を振って下を向く

「もういいから最後のグループ呼べよ」

……………………………………………………………..............................................................................

「あの二人ってあんな感じで…」アヤノさんがレンの方へ手を向ける

「それで大丈夫なの?」

…

かりかり…

「なんて言うか…別に驚かないかな…」シラカワさんが頭を掻く

「だって…アイツら昔、ハルに試験で勝ったことあるし…」

…

「へ?」アヤノさんが固まって俺を見る

「レン…レンってあれ?」

「でも…だって…」

…

「…」俺は笑って軽く頷く

「あの時は俺が油断してただけだよ」

…

「お前まだここにいるのかよ?」シラカワさんが目を丸くして俺を見る

「もうお前の番だろ?」

…

ゴリッ…

「そっか」俺は体を起こして石の鎌に手を伸ばす

「俺だけ置いてかれても困るしな」

…

「戸上さん」シラカワさんが顔をしかめて俺に手を向ける

「よかったら…俺の使ってもいいよ…」

…

「私のも…使ってもいいよ…」アヤノさんが目を丸くして俺を見る

…

ぐぐぐ…

「何言ってんだか…わかんねぇよ…」俺は背を曲げて鎌を必死に持ち上げる

「俺…もう持ってるし…」

…

「あ、いや…ただ…」二人が顔を背ける

…

「…なんでも…ない…」俺は唇を噛む

「全部…いつも通りだから…」

……………………………………………………………………..

「ほぉ…」ハガネハラが顎に手を当てる

「選ぶセンスはあるじゃん!」

「でも…」

「……お前、あれ使えるのか?」

………

ざわざわ…ざわざわ…

並んだ人々の間

響き渡るざわめき

視線が人形に向かう

…

青い髪が一人で立ってる

手に青い弓

そして背を曲げて一歩ずつ進む男

石の鎌を地面に引きずって

…

えへへ…

「なんでそんな苦しそうな顔してるの、ハル?」シノミが口元に手を当てて笑う

「何でもいいのに、なんであれ選んだの?」

…

「俺もよくわかんねぇ」俺は首を傾けて笑う

「まあ…その場で対応するしかないよな、シノミ?」

……

「おい!」後ろからイラついた声

「お前何やってんだよ?」

「いつまで待たせる気だ、このトロい男?」

……

「やあ、美少女!」シノミの後ろに影が現れて額に手を当てる

「運命が俺たちを引き合わせたんだ」

「安心しろ、全部俺に任せろ!」

「君はここにいてくれればいい!」

「そして俺の腕の中で楽しめ!」


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