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静時の流れ - 潮騒の誓約  作者: Minateru
始まり – 試練を越える

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45/88

ずれた二音

そよ…そよ…

木陰がだんだん向きを変えてゆく

陽の光が西の方へ傾いてゆく

木の枝葉があちこちで軽く揺れて

食べ物の匂いが、あちこちにふわっと漂ってる

もぐもぐ…

周りの人だかりが小さなグループに分かれて

みんな視線を皿の上の料理に注いで

すぐ横に置かれた缶ジュースとか

まだ手つかずのテーブルに

……

とん…とん…

「ただいまー!」シラカワさんが手を高く上げて振ってる

「俺がいない間に何かあった?」

「別に大したことないよ」俺は視線を遠くのテーブルに向けて、手を指す

「ただ、俺たちの昼飯がもう運ばれてきてただけ」

うわ…

「今日の飯、なんでこんなに残ってるんだよ?」シラカワさんが後ずさりして目を見開く

「普段ならこんなに残ることなんてないだろ」

「…」俺は周りを見回して、唇を軽く動かす

「まあ…原因は…」

「……今日って…誰も管理してないから…」

「なんであいつらハンゴから出てこれたんだ?」シラカワさんが頰に手を当てる

「本来なら止められてるはずだろ?」

「俺もわかんねぇよ」アヤノさんが周りを見回す

「でもさ…」

「……こっちの方が気になるんだけど…」

「シラカワさん」アヤノさんの目が細くなる

「さっき投げたあれ、何だったの?」

「ちゃんとやり方教えたよね?」

「あれは…」シラカワさんが後ずさって周りを見回す

「だって…その時めっちゃ急いでて…」

「時間…もうほとんど残ってなかったし…」

……

ぎゃあぎゃあ…

小さな会話がぴたっと止まる

みんなの視線が練習場の方へ向く

あちこちに響き渡る音に

「あの二人ってほんと…」シラカワさんが目に手を当てて首を振る

「どこ行っても一緒だな…」

「大丈夫かなぁ…」

「あの二人…」アヤノさんが目を丸くして俺たちを見る

「昔から知り合いなの?」

「実は…まあ知り合いっちゃ知り合いだけど…」俺は顔を背けて目を細める

「でも…どう言えばいいか…まあ見りゃわかるだろ…」

………………………………………………………………………………………………

人ごみの間、武器を握った手

両側から注がれる視線

まぶたを閉じていく顔たち

そしてただ一組に向かって

「黙れよ!」ネネが腰に手を当てて

「なんで私がお前の計画なんか聞かなきゃいけないの?」

「無茶で実現不可能じゃん」

「はぁ!?」レンが首を傾けて顔を近づける

「それが難しいってか?」

「じゃあお前の計画はどうなんだよ?」

「ガチガチで型にはまりすぎ…」

「どのグループもそんな感じでやってたじゃん?」

……

「静かにしろ!」ハガネハラが目を吊り上げて両手を後ろに

「何やってんだお前ら!」

「他人の時間無駄にしてんのわかってんのか?」

「こいつのせいだろ!」レンがネネを指差す

「こいつのせいだよ!」ネネが指を差してハガネハラを見る

「そんなの知るか!」ハガネハラが両手で腰に当てて

「協力するか…」

「それとも落ちるか…」

「わかったな?」

ふんっ!

「…」レンとネネが背中合わせになる

……

「全員準備はいいな…」ハガネハラが周りを見回す

「開始!」

………………………………………………………………………………………………………………

たったっ…たったっ…

影が一斉に前へ飛び出す

目を見開いて互いを見据える

握りしめた武器

額にびっしり滲む汗

タタタタッ…タタタタッ…

赤く光る人形たち

爪を長く伸ばして前へ

足跡の後に舞う土埃

……

ダダダダダッ…

弾の薬莢が芝生に落ち続ける

金色の光が人々の間を照らす

厚い煙が人形たちを包む

ドゴォン!!

人形が顔を覆う

体中に凹みが走る

列を貫いて

……

銃声が徐々に止まる

薬莢が消える

芝生の上に人影はもうない

残ってるのはただ一つの光景

緑の芝生に散らばる銃

あちこちに倒れた体

空を見上げたまま開いた目

動かなくなった体

その上に浮かぶ金属の骨組み

…………………………………

ドンッ!

「くそっ!」レンが歯を食いしばって周りを見る

「なんで殴っても殴っても終わんねぇんだよ?」

ゴンッ!

「だから私の言うこと聞けって言ったでしょ!」ネネが拳を振り上げて睨む

「敵が強いってわかっててまだ偉そうに」

トンッ…

「じゃあお前の戦術がどれだけ役に立ったってんだよ!」レンが顔を近づける

「役に立たないって何?」ネネが体を寄せる

「明らかにいい計画だったじゃん」

「お前考えたことあんのか?」レンが体を回して前を指す

「どっちも銃なんか持ってねぇだろ?」

「せいぜいグローブと小さいナイフだけじゃん!」

ずかっ…ずかっ…

「何か文句あんのか?」ネネが顔を寄せる

「もちろん…」レンの目が開いて両手をネネに向ける

ガッ!

「思いついた!」レンの両手がネネを弾き飛ばす

「この野郎…」ネネが頭に手を当ててレンを睨む

「いきなり何すんの…」

「……何…」

……………

ガキィン!!

ネネの目の前に人形

鉄の牙が真っ直ぐ彼女に向かって

レンの拳が人形の頭に叩き込まれる

はぁ…はぁ…

「お前がそんなんじゃ…」レンが口元に手を当てて少し前屈み

「……誰が…聞いてくれんだよ…」

………

バサッ!

ネネの体がレンに向かって飛び出す

片手で襟を掴み、もう片方でナイフを握りしめて

ザシュッ!

火花が空間に散る

人形の動きが止まる

「お前だって同じじゃん…人のこと言えるかよ…」ネネの体が低くなる

「私の言うこと聞きたいなら…私を越えてみろよ…」

ガッ!

「あいつは俺が取っとくって言ってんだろ!」レンが拳を握りしめて高く上げる

「誰がお前が俺の獲物を横取りすんだよ」ネネが体を起こす

……………

あちこちに響く音

周りを包む煙

ザンッ!!

光る体が二人を横切る

赤い目がネネを直視

爪がどんどん伸びる

ズザァァッ!

茶色の土が芝生に長く伸びる

歪んだ顔が前を見る

汗まみれの手

……

ガンッ!

食事のテーブルが激しく揺れる

皿が跳ねる

コトン…

小さな箱が地面に落ちる

皿が次々と続く

……

ガガガガガッ!!

爪が連続で襲う

手足を掴もうと伸びる

ネネの顔が歪み、目を見開く

体が激しくもがく

手があちこちに伸びる

…………

カンッ!カンッ!

「この変態人形!」ネネが皿を叩き続ける

「真っ昼間から何やってんの…」

「早く離せよ?」

……

ギィッ…

人形の目が点滅し始める

頭がガクガク揺れて

関節がゆっくり止まる

カサッ…

ネネが芝生を這う

手が小さな箱に触れる

「これって…」ネネが箱を見て唇を動かす

「デンタルフロス?」

シュッ!

「あるもんは使う!」ネネが糸を引き抜く

……

ギュウッ!!

糸が人形の頭に巻き付く

電気がバチバチ飛び散る

爪があちこちを引っ掻く

ギリギリ…

「早く…大人しくしろよ…」ネネの唇が強く噛み合わさる

ピタッ…

手が糸を離す

傷跡があちこちに残る

人形の光が消える

はっ…はっ…

「ほんと…頑丈なヤツ…」ネネが額を拭う

……

ウィィィン!!

ネネの目が見開き、体が固まる

白銀の光があちこちに

赤い光線が真っ直ぐ前へ

爪が迫る

「させるかよ!」遠くの煙から声が響く

ズザァァッ!!

爪の跡が練習場に伸びる

土が次々掘り返される

人形が煙の中に溶ける

「何が…起きてんだよ…」ネネが首を傾けて目を丸くする

練習場に人形の影はもうない

爪の跡も出ない

赤い光も消える

煙の中から一つの影が現れる

「ってことは…お前が俺に一つ借りだな…」レンが顎に手を当てて笑う

「ちゃんと…返せよ…」

こつ…こつ…

「…」ネネが唇を曲げて煙に向かう

「じゃあ私が試験で何回助けてやった分はどうすんの?」

「全部忘れたふりかよ、レン?」

「それはそれこれはこれだろ!」レンが両手で腰に当てる

「ごっちゃにするなよ!」

……………………………

ふふふ…

「意外と面白いヤツいるじゃん!」女が笑う

「ねえ、中尉?」

はぁ…

「何がだよ!」ハガネハラが鼻筋に手を当てる

「こんなヤツらが小隊にいたら大混乱だろ」

「でも…」女がペンを練習場に向ける

「二人を分けたら…」

「ああいうことできるのかな?」

「アンタさ…」ハガネハラが目を細めて振り返る

「からかうのやめろよ?」

「知らないもん」女が顔を背ける

「中…尉…ちゃん…」

はぁ…

「この中隊どうかしちゃったのか?」ハガネハラが首を振って下を向く

「もういいから最後のグループ呼べよ」

……………………………………………………………..............................................................................

「あの二人ってあんな感じで…」アヤノさんがレンの方へ手を向ける

「それで大丈夫なの?」

かりかり…

「なんて言うか…別に驚かないかな…」シラカワさんが頭を掻く

「だって…アイツら昔、ハルに試験で勝ったことあるし…」

「へ?」アヤノさんが固まって俺を見る

「レン…レンってあれ?」

「でも…だって…」

「…」俺は笑って軽く頷く

「あの時は俺が油断してただけだよ」

「お前まだここにいるのかよ?」シラカワさんが目を丸くして俺を見る

「もうお前の番だろ?」

ゴリッ…

「そっか」俺は体を起こして石の鎌に手を伸ばす

「俺だけ置いてかれても困るしな」

「戸上さん」シラカワさんが顔をしかめて俺に手を向ける

「よかったら…俺の使ってもいいよ…」

「私のも…使ってもいいよ…」アヤノさんが目を丸くして俺を見る

ぐぐぐ…

「何言ってんだか…わかんねぇよ…」俺は背を曲げて鎌を必死に持ち上げる

「俺…もう持ってるし…」

「あ、いや…ただ…」二人が顔を背ける

「…なんでも…ない…」俺は唇を噛む

「全部…いつも通りだから…」

……………………………………………………………………..

「ほぉ…」ハガネハラが顎に手を当てる

「選ぶセンスはあるじゃん!」

「でも…」

「……お前、あれ使えるのか?」

………

ざわざわ…ざわざわ…

並んだ人々の間

響き渡るざわめき

視線が人形に向かう

青い髪が一人で立ってる

手に青い弓

そして背を曲げて一歩ずつ進む男

石の鎌を地面に引きずって

えへへ…

「なんでそんな苦しそうな顔してるの、ハル?」シノミが口元に手を当てて笑う

「何でもいいのに、なんであれ選んだの?」

「俺もよくわかんねぇ」俺は首を傾けて笑う

「まあ…その場で対応するしかないよな、シノミ?」

……

「おい!」後ろからイラついた声

「お前何やってんだよ?」

「いつまで待たせる気だ、このトロい男?」

……

「やあ、美少女!」シノミの後ろに影が現れて額に手を当てる

「運命が俺たちを引き合わせたんだ」

「安心しろ、全部俺に任せろ!」

「君はここにいてくれればいい!」

「そして俺の腕の中で楽しめ!」


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