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静時の流れ - 潮騒の誓約  作者: Minateru
始まり – 試練を越える

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43/98

煙の中へ

さらさら…さらさら…

陽の光が金色に芝生を照らしつける

木の枝が風に揺れる

黄金の葉が空中に浮かんでいる

…

ぎゅっ

四方から集まる視線の中で

額に汗が長く伝う

一人ひとりの目が、人形から離れない

そして握りしめた手が、武器を強く締め付ける

………

「ねえ、春…」蓮が訓練中のグループを指差す

「見てよ、綾野さんが誰の隣にいるか。」

…

「ツメ子さん!?」俺が目をカッと見開き、肩を引く

「あの二人…ペアなんだ?」

…

「山崎さんの性格じゃ…」蓮がにやりと笑う

「綾野さん、ついていけるのかな?」

………………………..

「開始!」遠くのテーブルから声が響く

…………..

たっ…たっ…

人形たちが受験生に向かって進み始める

赤く染まった目、ナイフのような指

そして銃口がまっすぐ向けられる

…

ダダダダダ…

金色の光が訓練場全体に広がる

人形ごとに火花が飛び

土埃が空高くに舞い上がる

…………

ガキン!

「見てなさい!」ツメ子が足を高く振り上げ、人形に向かって蹴り込む

「女だからってナメないで!」

…

ガン!ガン!ガン!

拳が連続で繰り出され

足が次々と蹴りを放つ

水滴が空中に浮かび

ツメ子の顔に満面の笑みが広がる

…….

「あの娘…」軍服の女性がペンを指す

「かなり有望ね?」

「誰かの助けを待たずに、自分から突っ込んでいく…」

「後方への負担を劇的に減らせる動きだわ。」

…

「そうとも限らない。」鋼原さんが軽く首を振る

「戦場でただ突っ込むだけが賢いわけじゃない。」

…

「どういう意味ですか、中佐?」女性が首を傾げ、目を丸くする

「私には彼女が人形たちをかなり押さえ込んでるように見えるけど。」

…

すっ…

「よく見ててください。」鋼原さんがツメ子たちのグループを指差す

「人間には誰にでも限界がある。」

「たとえ彼女が後方に時間を稼いでも…」

「後方がそれを活かせなければ…」

……

ゴン…ゴン…

ツメ子の体が急に前進を止める

肩が徐々に下がり、手が遠くまで届かなくなる

足がゆっくり後退し始める

…

たっ…たっ…

人形たちが徐々に前へ進む

手が爪を伸ばしてグループに向かう

……

ヒュッ…

「山崎さん!」綾野さんが石を人形に向かって投げる

「早く下がって!」

…

ガキン!

石が一人の人形の頭に当たる

ツメ子の目が周囲をぐるっと見回す

上空で青く光るドローン

…

バン!

青い光の柱が石に向かって真っ直ぐ落ちる

黒い煙が一気に広がり

金色の火が空気中にちらつく

…

ズザァァァッ…

地面に二本の長い線が引かれる

土と石と草が四方に飛び散る

ツメ子の目が固く閉じられ、腕が胸の前で交差する

……

「ふむ…」鋼原さんが顎に手を当て、唇を軽く尖らせる

「悪くない…でも今失った時間をどう取り戻すつもりだ?」

……

ぽん…

「山崎さん。」綾野さんがツメ子の肩に手を置く

「このままじゃダメだよ。」

…

「何言ってるの?」ツメ子が目を細めて見る

「これっぽっちで耐えられないなら、何ができるっていうの?」

…

「周り見てよ…みんな…」ツメ子の唇が少し震える

「ねねちゃんも…しのみちゃんも…小林さんも…」

「春くんまで…また…どんどん遠くに行っちゃう…」

…

「そんなこと思ってるわけないよ!」綾野さんが目を大きく見開く

「誰も見捨てたりしないって!」

…

「見てよ!」綾野さんが俺たちの方を指差す

「みんなここにいて、見守ってるじゃない!」

「僕みたいなのだって…一緒にいてくれて…外したりしない…」

…

「だからこそ…」綾野さんが人形たちを指差す

「最高の演技を見せてあげなきゃ!」

「がっかりさせちゃダメだよ!」

……

たっ…たっ…

黒い煙が徐々に薄れ…

足音が再び響き出す

反射する光が周囲を照らす

…

ぐしゃっ…

「ちくしょう!」綾野さんが頭をかく

「これで十分だと思ってたのに!」

……………

「ねえ…」ツメ子が人形たちを振り返る

「さっきのあれ…もう一回できる?」

…

カラカラ…

「あと三個しかない…」綾野さんがポケットから石を取り出す

「時間なくて、これしか作れなかったの。」

…

ガチャ…

「これで十分だよ。」ツメ子が武器を人形に向ける

「わかった。」綾野さんが頷く

…

「でもこれも必要でしょ!」綾野さんがマスクを差し出し、にっこり笑う

「この煙、結構きついんだから。」

…

「君…じゃなくて、綾野さん…」ツメ子が振り返り、目を細めて笑う

「ありがとね!」

………

タタタッ…

両腕を後ろに伸ばし

ツメ子の全身が前へ飛び出す

ドローンが周りをぐるぐる回る

…

ヒュッ…

黒い石が人形に向かって飛ぶ

ドローンが徐々に青く変わる

…

ドォン!ドォン!ドォン!

青い光の柱が空から落ちる

黒煙がすべてを覆い

人形たちがぴたりと止まる

そしてツメ子が煙の中に突っ込む

…

……

ゴール地点、金色の光が広がる場所

誰も踏み入れていない空間

黒煙がゆっくり広がっていく

…

シュッ…

煙を切り裂き、手で顔を覆い

鮮やかな赤い髪と、細められた目

止まらない足

…

ギュィン…

煙の中から手が伸びる

白い爪が少女に向かって飛ぶ

陽光があちこちで反射する

…

「ふざけないでよ!」ツメ子が振り返る

「そこで大人しくしてなさいよ?」

…

ガンッ!

ドローンが腕に突っ込む

人形に直撃し

煙の中に押し返す

…

「早く!」綾野さんが両手を口に当てて叫ぶ

「できるよ、絶対!」

…

ガシャーン!

金色の光が一瞬で消える

周りの人々が一斉に立ち上がる

ガラスの破片が四方に飛び散る

………

コツ…コツ…

「あっちの二人…」鋼原さんがツメ子たちのグループを指す

「さっさとこっち来い!」

…

「…」ツメ子と綾野さんが顔を見合わせる

…

「まだ何待ってるんだ?」鋼原さんが目を細める

「一日中時間があるわけじゃないぞ!」

「早く来て名前言え!」

「次のグループが待ってる!」

…

パンッ!

「できたね?」ツメ子が手を差し出し、にっこり笑う

「うん!」綾野さんが笑って手を合わせる

………………………………………………………………………………………………………………..

ざわざわ…ざわざわ…

周りの群衆が互いに顔を見合わせる

囁き声が空気に混じる

視線が徐々に、弾薬だらけのテーブルへ向かう

…

「まさかあんなやり方で通るなんて?」

「ちょっと卑怯じゃない…?」

「なんで俺らもっと早くやらなかったんだ?」

「あっちまだ爆薬残ってるぞ、急げ。」

………

「まさかあんな手を使うとはね?」蓮が笑って綾野さんたちのグループを見る

「俺は全部倒さないとダメかと思ってたのに。」

…

「課題にそんなこと書いてなかっただろ。」俺が周りを見回し、にやりと笑う

「一番いい方法を選んだだけさ。」

…

「誰かに悪影響与えられたわけじゃないよな?」蓮が別の方向を向く

「いつも近道選ぶくせに…普通にやらないんだから…」

…

「悪影響って何だよ?」俺が目を細める

「知らねーよ!」蓮が背を向ける

……

ぽん!

「小林さん!」白川さんが蓮の肩を叩く

「ちょっとナイフ貸して!」

…

「いいけど…」蓮が目を丸くしてナイフを渡す

「でも…何に使うんだよ…」

…

「すぐ分かるよ。」白川さんが微笑む

…………

シャッ…シャッ…

汗が顔を伝う

白川さんの目が猟弾を凝視する

耳が周りの音を拾い続ける

…

カチャ…カチャ…

銃が部品ごとに分解される

並べて置かれ、列をなす

爆弾はもう何も残っていない

部品が二つの山に分けられる

…

コト…コト…

弾が二つに割られる

並べて置かれ、列をなす

中身は空っぽ

小さなビー玉が袋に収まる

黒い粉が布の上に山盛り

......................................................................

タッタッ…タッタッ…

次のグループが前へ進む

武器を握りしめ、腰に爆弾を満載

唇に笑みを浮かべ、目を細めて人形を見る

……

「開始!」テーブルの方向から声が響く

……

バシュッ!

爆弾が空中に浮かぶ

白い光が四方に広がる

…

シューーー

白煙が次々と立ち上る

人形たちを覆い尽くす

…

ザッ…ザッ…

マスクが顔を覆う

列が前へ突進する

武器を煙に向ける

…

…

ドガッ!ブワッ!

白煙が徐々に晴れていく

光が穏やかになる

人々があちこちに倒れている

人形たちは背筋を伸ばして立つ

最後の標的がまだ輝いている

………

「甘すぎる!」鋼原さんが腕を組み、目を細めて列を見る

「ただ真似するだけじゃ、何もできないぞ。」

…

「どういう意味ですか、中佐?」女性が顔を上げる

「同じものを使っているのに…」

「あの子たちはなぜ失敗したんですか?」

…

ククッ…

「戦場に出たことがないから分からないんだろう…」鋼原さんが笑う

「敵は常に変化し、学ぶ。」

「人形たちはそれを忠実に再現してるだけだ。」

…

ゴトッ…

「それに…」鋼原さんがマスクを女性に投げる

「あの二人は…かなり準備してた…」

「石まで追加で作っちゃうんだからな!」

…

「これって…」女性が目を大きく見開き、マスクのレンズを見る

「信号発信装置?」

……………………………………………………………………………………………………………

タッタッタッ…

青髪の影が俺たちの方へ近づく

唇に笑みを浮かべ、手を振る

…

「ただいまー!」綾野さんが俺たちを見て目を丸くする

「見た…? 今の…」

…

「もちろん見たよ!」蓮がにっこり笑う

「二人ともすごい小細工だったな!」

…

「でも、綾野さん…」俺がテーブルを振り返る

「さっき使った石…一体どこから…」

…

「自分で作ったんだよ!」綾野さんが首を傾げ、テーブルを指差す

「火薬ちょっとと、あそこの部品で作れるんだ!」

「お父さんが教えてくれたの!」

…

「家って…一体何の家なんだよ…」蓮が目を細め、後ずさる

…

はは…

「普通だよ…」綾野さんが唇を曲げる

…

「それより、十神さん…」綾野さんが俺を見る

「聞きたいことがあるんだけど…」

…

「君…」綾野さんが目を細め、肩を落とす

「今まで…何人の女の子口説いたの…?」

…

「口説いてないって!」俺が首を振る

「俺は一人だけだよ!」

…

「そうなの?」綾野さんが女子たちの方を見る

「学校の時、結構モテてたって噂聞いたけど…」

「今も続いてるみたいだし…」

…

くいっ…

「それじゃ足りないよ!」蓮が綾野さんを引き寄せ、俺に背を向ける

「こいつ…また新しく一人増やしたばっかだぞ…」

…

「本当…? 十神さん…」二人が目を細め、顔を青ざめさせて俺を見る

「自分じゃ持て余さない?」

…

「だから違うって!」俺が両手を大きく振る

…

「今気づいた…」綾野さんが周りを見回す

「白川さんどこ行った?」

…

すっ…

「クラス委員?」蓮が訓練グループを指す

「もうあいつの番だよ!」

………………………………………………………………………………………………………………

コツ…コツ…

ペア同士で話し込む中

茶髪の少年が静かに横を通り過ぎ、全身に装備を満載

…

目の前に、見覚えのある顔

黒髪の美しい少女、手にラップトップ

…

「いつもこうしてペアになるよね?」黒髪の少女が微笑む

「どこに行っても。」

…

はぁ…

「君が言うな、黒美。」白川さんが頭に手を当て、微笑む

「でも知らない人と組むよりマシだろ?」

…

「うん、そうだね。」朝霧さんが手を口に当てる

「他の人と組んでたら、今頃どうしようもなかったかも。」

……

「でも、黒美…」白川さんがラップトップを指す

「本当にあれを使うつもり?」

…

えへへ…

「大丈夫だよ!」朝霧さんが首を傾げて笑い、周りを見る

「私、ああいうの向いてないし…」

「それに…」

…

ぎゅっ…

「なつめがいるんだもん! 心配ないよ!」朝霧さんがラップトップを抱きしめる


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