未来を決める一歩〈一〉
ザッ ザッ…ザッ ザッ…
陽射しがまっすぐ地面を照らしつける
木の枝が四方八方に広がってる
落ち葉一枚ない道
そしてきっちり剪定された小さな並木
…
一人ひとり、視線をきょろきょろさせ
小さな会話が空気に混じる
目がカッと見開かれ、キラキラ輝きだす
女子寮の建物が、だんだんはっきり見えてきた頃
……
ザッ ザッ…ザッ ザッ…
広い空き地に入る。緑の芝が一面に広がってる
両側に、機械が二列にずらっと並んでる
長いテーブルが二つ、シートで完全に覆われ
銃の列が真ん中の広場を向いてる
あちこちに散らばった人形たち
…
俺たちの正面に、もう一列の長い列
肩まで伸びた長い髪
そして見覚えのある顔が、目の前に現れる
………………
「全員、注目!」鋼原さんが高く手を上げる
「気をつけ!」
…
ピタッ!
全員の足が止まる
全員の視線が前へ
背筋をピンと伸ばした背中
…
「全員、よく聞け!」鋼原さんが手を背中に回し、視線をぐるっと周りに走らせる
「戦場で、俺たちにとって一番大事なのは仲間だ。」
「自分がミスったとしても、仲間が必ずそこにいて支えてくれる。」
「状況が予想外になっても、仲間さえいれば、まだ勝てる。」
「戦場でたくさんの人間と連携するのが、勝ちへの鍵だ。」
…
コツ…コツ…
「この一ヶ月、お前らはもうお互いに慣れたはずだ…」鋼原さんが歩きながら、一列ずつ見渡す
「一緒に暮らして、一緒に飯食って、一緒に掃除して…」
…
「だがな…」鋼原さんの目がカッと見開く
「戦場は決してお前ら男だけで戦う場所じゃねえ。」
「常に支援する奴、衛生兵、装甲部隊がいる…」
…
「たった一瞬のズレが…」鋼原さんが目を細める
「一つの衝動的な判断、一つの自分勝手な欲望が…」
「そこにいる全員の命を全部吹き飛ばす代償になるかもしれない。」
…
ドス…ドス…
「だからこそ…」鋼原さんがシートのかかったテーブルへ歩み寄る
「今日は軍区の女子小隊と、実戦形式の連携訓練だ。」
「今日の結果が、これからお前らに何が起きるかを決める。」
……
シャッ…
シートが一気に引き剥がされる
下から大量の銃がずらっと並んでるのが露わに
それぞれの武器が、きっちり種類ごとに並んでる
…
「さあ、早く来い!」鋼原さんが目をギラつかせて見る
「戦場で自分が使う武器を選べ…」
「近接でも遠距離でも制限はねえ。」
「ただ、お前らがそれを本当に使いこなせるようにしろ。」
………
ガチャガチャ…ガチャガチャ…
一列ずつ、人間がテーブルに殺到する
奪い合い、銃に手を伸ばす
押し合いへし合い、カタナを掴む
…
「お前ら、まだ何待ってんだ?」鋼原さんがこっちを振り返る
「早く動かねえと良いもんはなくなっちまうぞ。」
…
「は、はい…」綾野さんが両手をぎゅっと絡ませる
「こんなに混んでて、誰が入れるって言うんですか!」蓮が笑って腰に手を当てる
「ただの剣のためにあんなに奪い合って、もし不良品引いたらどうすんの?」
…
フッ…
「どうでもいい。」鋼原さんが唇を歪める
「とにかく早く選べばいいんだよ。」
………
群衆はもうテーブルから離れてた
武器もだいぶ減ってる
…
コツ…コツ…
俺たちは歩みを進め、テーブルを見回す
誰かが置いてった武器たち
…
「本当にそれでいいのかよ、クラス委員?」蓮が目を細めて白川さんを見る
「ショットガンってリロードめっちゃ時間かかるだろ?」
「それにスナイパーもな。」
「この広さのグラウンドでどうやって使うつもりだよ。」
…
カチャ…カチ…
「使えるよ。」白川さんが微笑みながら、一丁ずつ銃を分解していく
「この武器たち、全部状態いいんだから。」
「マガジンもまだかなり余ってるし。」
…
「小林さんはそれだけでいいの?」白川さんが首を傾げる
…
「当たり前だろ!」蓮がグローブはめた両手を上げる
「会ったらぶん殴るだけで終わりだよ。」
「あっちも両側にナイフ付いてるしな。」
……
ガチャガチャ…ガチャガチャ…
「これじゃない…これじゃない…」綾野さんが手を次々動かす
「どうしてないんだろう…」
…
「綾野さん。」俺が目を丸くする
「何探してんの?」
「欲しいもの、そこにないの?」
…
「あ、いえ…」綾野さんが後ずさり、そっと隣のドローンに手を置く
「ただ…もうちょっと色々探してて…」
…
「色々?」俺が首を傾げる
「どういう意味?」
…
「ただ…小物みたいなの…気にしないで…」綾野さんが唇を尖らせ、武器の山を振り返る
「催涙ガスとか…閃光弾とか…マスクとか…」
……
コツ…コツ…
「そういうのはあとで出す!」鋼原さんがこっちへ歩いてくる
…
「お前ら、いつまでメイクしてるつもりだ?」鋼原さんが睨みつける
「さっさと列に戻れよ!」
…
「はい!」俺たちは武器を掴んで列へ急ぐ
……………………………………………….
「お前ら全員、自分の武器は決まったな。」鋼原さんが周りを見回す
「今から今回の形式を簡単に説明する…」
…
「今日の訓練は全部ペア形式だ。」鋼原さんが背筋を伸ばす
「一度に五組を上げて訓練する。」
「お前ら一人ひとりが、女子小隊の誰かとペアになる。」
…
「二人でグラウンドに立ってる人形を突破しろ。」鋼原さんが体を傾け、人形の方へ手を向ける
「マップのゴールまで行って、それをぶっ壊せ。」
「同時に、その人形たちに捕まったり…」
「殴られたり、無力化されたりしないように…」
「一人が失敗したら、そのペアは失敗だ。」
…
「ただし…」鋼原さんが目を細める
「混戦になった場合…」
「お前らが割り当てられた女子と連携できなくても…」
「別の女子とバッチリ息が合ったなら…」
「お前らも合格だ。」
…
「二人とも無力化されず…」鋼原さんが顎を上げる
「そして最後の標的を二人でぶち抜ければ。」
「合格とする。」
…
「質問はあるか?」鋼原さんが姿勢を正して見る
「ありません!」列全体から声が響く
…
「なら俺の手にあるリスト順だ!」鋼原さんが紙の束を高く上げる
「最初の五人、グラウンドへ出ろ。」
………………………………………………………………………………………………………………
ザッ…ザッ…ザッ…
足音が、訓練場の先頭へ徐々に進む
視線が、隣の相手へ向かう
手が、武器を前方へ向ける
遠くから響く言葉
…
「よろしくな!」
「ちゃんと撃てよ!」
「邪魔すんな!」
「俺を信じろ!」
……………
「第一グループ、準備…」鋼原さんが手を高く上げる
「よーい…」
…
スッ…
「開始!」鋼原さんが強く手を振り下ろす
……
ドドドド…
列が、人形に向かって突っ込む
武器が、前方を離れない
…
銃口が高く構えられる
指先が、トリガーを引く
…
カチッ…
火花一つ出ない
音一つしない
薬莢一つ飛び出さない
…
カチッ…カチッ…カチッ…
銃を持った奴らの顔が歪む
指が何度もトリガーを引き続ける
視線が、銃と人形を行ったり来たり
…
「なんで撃てねえんだ?」一人の男が周りを見回す
「どうしたの?」女の子がトリガーを引き続ける
「弾、ちゃんと入ってるのに。」女の子が銃を見回す
……
ダッ…ダッ…ダッ…
人形の目が、突然輝き出す
手が、武器を構える
兵士たちに向かって突進する
……
「何だあれ?」蓮が目を丸くする
「誰も動くなんて言ってなかったぞ。」
……
ダダダダ…
剣を持った奴らが前方へ突っ込む
武器を人形に向ける
顔が次第に歪んでいく
…
ガキンッ!
金属片がゆっくり落ちていく
兵士の目の前、輝く剣
そして人形の輝く目
…
兵士の目が見開かれる
顔が青ざめ、体が動かない
唇が何度も震える
…
「何だこれ…」
「ありえねえ…」
…
パンッ! パンッ! パンッ!
人形の背後で黄色い光が閃く
弾丸の束が兵士に向かって飛ぶ
人形が前へ前へと進む
…
ドンッ!
列が、今は押し倒される
弾があちこちに飛び
足が後ずさりする
…………
「ここまでだ!」鋼原さんが手を高く上げる
…
コツ…コツ…
「お前ら姉妹、何やってんだと思ってんだ?」鋼原さんが腕を組み、顎を上げる
「これが本物の戦場だったらどうなってたか、分かってんのか?」
…
「隊長…これらは…」男が武器を振り返る
「もしこれらが問題じゃなければ…最初から…」
…
「最初から成功してたってことだろ。」鋼原さんが目を細める
「人形を早々に片付けてたってことだろ。」
「結果は全然違ってたってことだろ。」
「そういう意味だよな?」
…
「はい!」男が背筋を伸ばす
「装備が悪すぎたせいで、こうなってしまったんです…」
「隊長、どうか…」
……
「馬鹿野郎!」鋼原さんが顔を歪める
…
「戦場に二度目のチャンスなんてねえ。」鋼原さんが振り向く
「戦場はお前が誰か、装備が何かなんて興味ねえ。」
「一つだけ知ってる…」
「お前の命、お前自身で守れるかどうかだけだ。」
…
カチャ…
「装備すらちゃんと確認できねえようなら…」鋼原さんの足が剣の破片を蹴る
「他人を守るなんて言うな…」
「お前らのその小さな命すら守りきれねえぞ。」
…
「さっさと列に戻れ!」鋼原さんが二列を指差す
「戻って、自分が何をしたかよく考えろ。」
…
トボ…トボ…
だが手はだらりと下がり
視線は地面に落ち
足取りはますます遅くなる
………………………………………………………………………………………………………………
ガチャガチャ…ガチャガチャ…
列が互いに目を張りつめて見合う
手が、自分の隣の武器袋に伸びる
視線が、武器テーブルの方へ
…
だが今、武器はほとんどなくなっていた
残ってるのはちっぽけなものだけ
そして空間に響く言葉
…
「どうすりゃいいんだ…」
「こんなんじゃ無理だろ。」
「やばいぞ。」
「あの時…」
……
「見たろ?」蓮が目を細め、唇を軽く尖らせる
「さっき突っ込んでたら、今頃あいつらと同じだったぜ。」
…
「突っ込まなかったのはお前が面倒くさがっただけだろ。」俺が目を細めて蓮を見る
「学食の時もお前…」
…
ひゅ〜ひゅ〜
「誰も知らねーよ…」蓮が顔を背ける
…
「十神さん…」綾野さんが近づき、俺の手元を見る
「それだけで本当に大丈夫?」
…
「確かに…」白川さんが顎に手を当てる
「こんなに武器があるのに、なんで石の鎌なんか選んだのか分かんない。」
「鉄の鎌の方が軽くて扱いやすいのに。」
…
そっ…
「自分でもよく分かんない。でも…」俺が石の鎌に手を置く
「ただ…感覚的に…」
「なぜか…これがいいって思った…」
………………………………………………………………………………………………………………..
列が交代で続いていく
顔が笑っては消え
監視してる奴らが、冷たい水のコップに手を伸ばす
…
はぁ…
「みんなくそくらえ…」鋼原さんが鼻の頭に手を当てる
「どうして誰もまともにできねえんだ?」
…
「仕方ないですよ。」隣の軍服の女性が微笑む
「ある程度は予想してましたから。」
…
「終わらせましょう。」鋼原さんが紙の束を見る
……
「次のグループ、上がれ!」鋼原さんが周りを見回す
…………………………………………………
青い髪の少年が前へ進む
周りをドローンが飛び回る
ズボンの脇に二つのマスク
体に小さな爆弾がいくつも付いてる
…
対面に、背の高い女の子
深紅の短い髪
手足に分厚いグローブ
脇に沿って並ぶ刃物
…
「ねえねえ、ちょっと聞きたいんだけど。」赤髪の女の子が少年に近づく
「君って、春くんと一緒のグループだよね?」
…
「春…くん…」青髪の少年が空を見上げる
「十神さんのこと?」
…
「そうそう、その子!」赤髪の女の子が笑う
「私たち同級生なんだよね。だから色々聞きたいことがたくさんあって。」
…
「ついでに言うと私、ツメ子。」赤髪の女の子が笑う
「山崎ツメ子。」
「よろしくね。」
…
「僕は…」青髪の少年が唇を軽く尖らせ、後ずさる
「綾野…月岡綾野。」
「よろしく…」
……
「全員準備…」遠くから声が響く
……
ヒュンッ…
「あとで話せない?」青髪の少年が前方を見ながらドローンを調整する
「今ちょっと…」
…
シャキン…
「オッケー!」赤髪の女の子が刃を構える
「まずはこいつらをキレイに片付けよう!」
……
「開始!」音が訓練場全体に響く




