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静時の流れ - 潮騒の誓約  作者: Minateru
始まり – 試練を越える

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41/99

訓練キャンプ ― はじまりの日(二)

そよそよ…そよそよ…

軽い風が隅々まで吹き抜ける

道沿いの木々が密集した間を

木々の隙間から陽の光がそっと差し込み

道は黄色い落ち葉で覆われている

…

かさっ…かさっ…

人影のない静かな道

建物がだんだんまばらになっていく

…

三組の靴が同じリズムで地面を叩く

友達の後について、遠くの家に向かう

壁の色がだんだん褪せた建物

………

ガラッ…

扉がゆっくり開き、視線が俺たちに向く

「いらっしゃいませ!」

「どうぞお好きな席へ」

…

「こんにちは…」アヤノが頭を下げる

…

「これは若旦那じゃないか?」店主が微笑む

「久しぶりだな!」

「ツキオカさんは、まだお菓子作ってるかい?」

…

「…」アヤノが目を逸らし、顔を背ける

…

「なるほどね…」店主が目を細める

「失敗したってことか?」

…

「その話は置いといて!」店主が笑う

「今日は何にするんだい?」

…

がしがし…がしがし…

「今日はおすすめありますか?」アヤノが頭をかく

「まだ迷ってるんですよ、俺たち」

…

「それに…」アヤノが俺たちを振り返る

「今日の軍の飯、ちょっと…」

…

ガハハハ!

「あの軍隊のご飯じゃ腹いっぱいにならねぇよな?」店主が腰に手を当てて大笑い

「今日の看板メニューはカレーライスだ!」

「ついでに最近作ったアイスキャンディーも!」

…

「じゃあ4人前でお願いします!」アヤノが頷く

「すぐ持ってくるよ!」店主が厨房へ向かう

………………………………………………………………………

周りの木の壁はまだ塗装が残っている

箸とスプーンに水滴一つない

埃一つなく、テーブルと椅子に置かれ

席は誰もいない

…

ギギギ…

「待たせたな」アヤノが椅子を引いて俺たちの隣に座る

「もうすぐ料理が出るよ」

…

グ〜〜

「まだどれだけ待てばいいんだ…」レンがテーブルに突っ伏す

「もう十分食べてねぇのに…また遠くまで歩かされて…」

…

「もうちょっと待てよ、小林さん」シラカワさんが周りを見回す

「どうせ今着いたばかりだろ」

「それにお前だけが腹減ってるわけじゃねぇよ」

「お前も…」シラカワさんがアヤノに手を向ける

…

「アヤノでいいよ!」アヤノが微笑む

「敬語とか堅苦しいのいらないから!」

……

「アヤノさん…」僕が周りを見回す

「さっきから気になってたんだけど…」

「どうやってこの店知ったの?」

…

「俺も気になる…」シラカワさんが顎に手を当てる

「この道、ほとんど人通らないだろ…」

「ここに来たばかりの時も通らなかったし…」

「どうやって知ったんだ?」

…

「それは…」アヤノが胸に手を当て、顔を背ける

「ちょっと…」

………

トン!

「お待たせしました!」店主が料理をテーブルに置く

「熱いうちに食べてくれよ!」

…

「ほら…」アヤノの視線が皿に向く

「料理もできたし、遠慮なく食おう…」

……

目の前に置かれた一皿

皿は二つに分かれている

片方は白いご飯の台

もう片方は濃い茶色に覆われ

赤いピーマンの欠片と小さな肉の塊

…

カチャ…

「なぁ…」レンがアヤノを見る

「これ、本当に大丈夫か?」

「普通のカレーと何も変わんねぇじゃん」

「ただ全部細かく切ってあるだけだろ」

…

「食べてみてよ!」アヤノが微笑む

「毒なんか入ってないよ…」

「どうせ一回食べたくらいじゃ害ないだろ!」

…

「まぁいいか…」レンが顔をしかめて俺たちを見る

………

ぱく!

レンの目が閉じ、スプーンが口に入る

俺たちは互いに顔を見合わせ、レンを見る

…

カチャ! カチャ! カチャ!

レンの目が大きく開き、手が止まらない

皿がどんどん空になっていく

…

コトッ!

「もう一皿追加で!」レンが皿を置き、店主を見る

「すぐ持ってくる!」店主が鍋の方を見る

……

すっ…

「確かに具を細かくするのは珍しいけど…」シラカワさんがスプーンを見る

「味は全然悪くないな」

…

こと…

僕の手が止まらず動く

スプーン一杯に料理をすくい

交互に上げ下げする

……

「あの…聞いてもいい…?」アヤノが俺たちを見る

「これ…口に合う…?」

…

「もちろん!」レンが親指を立て、笑う

「量も多くて美味いし、値段も高くない…」

「最高じゃん?」

…

こく…こく…

「…」シラカワさんが何度も頷く

…

「よかった…!」アヤノが微笑む

「合わないかと思ってた」

………

「ちょっと気になるんだけど…」僕が周りを見回す

「こんな美味い店なのに、なんで客少ないの?」

「場所もちょっと…」

…

「それは…」アヤノがテーブルに顔を伏せる

「言えば…」

……

こつ…こつ…

「単純に競争に勝てないだけさ!」店主が4本のアイスキャンディーを持って近づく

…

「叔父さん…」アヤノが目を細める

「いいだろ!」店主が笑う

「事実なんだから」

…

「わかんない」僕が首を傾げる

「こんな美味いのに、売れないはずないだろ?」

…

「じゃあ簡単に考えろよ!」店主が指を天に上げる

「カップラーメンを例に取ってみな」

「一年に何種類も新商品が出て、見た目も味も違う」

「でも本質は変わらない」

…

「調味料、作り方、全部新しくなる」店主が皿を見る

「でもカップラーメンはカップラーメンだ」

「湯を沸かして粉を入れるだけ」

…

「一方、こういう料理は…」店主がアイスを見る

「ほとんど大きな変化がない」

「味を変えるのももっと難しい」

…

「へ?」レンが首を傾げる

「全然わかんねぇ」

「食い物は食い物じゃん?」

…

「確かに!」シラカワさんが手を出す

「変化は小さいけど…」

「どっちも本質的に変わってるだろ?」

……

「だからお前らは半分しか見てない」店主が首を振る

「カップラーメン作るのにどれだけ時間かかる?」

…

「誰でも知ってるだろ!」レンが手を上げる

「5分で済む」

…

「そう、5分だ」店主が頷く

「でも食った後、どう思う?」

「一袋だけでやめられるか?」

…

「…」俺たち三人が互いに顔を見合わせる

…

「でもここの料理はそうはいかない」店主が鍋を見る

「選んで、下ごしらえして、煮込んで…」

「待つ時間もめちゃくちゃ長い」

「それでようやく完成する」

…

カリッ!

「そして一番大事なのは…」店主がアイスを噛む

「カップラーメンより満足度が高いだろ?」

…

「うるせぇ…」レンが目を細める

「俺のアイス…」

…

「悪い悪い!」店主が笑う

「もう一本おまけしてやる!」

…….

ガラガラ…ガラガラ…

扉が大きく開く

緑の服の背中が次々入ってくる

その中にハナゲハラさんの顔

視線が俺たちに向く

…

ざわざわ…ざわざわ…

「珍しいな!」

「新兵にも分かる奴がいたか!」

「下で並びすぎたんだろ!」

…

「いらっしゃいませ!」店主が厨房に走る

……

「俺たちもそろそろ行こう」シラカワさんが体を低くする

「どうせ食い終わったし」

…

「うん…」俺たちは椅子を立って

……

たたたっ…

「ちょっと待って…」店主が俺たちに近づき、白い紙を持ってる

「若旦那…これ忘れてる…」

…

さら…

「これ…」アヤノの目が大きく開く

…

「ツキオカさんが俺に預けたものだ」店主が微笑む

「まだ探してるんだろ? あの人からの欠片を」

…

「わからない」アヤノが店主に向き直る

「父さんが俺に何をしろって?」

「この空白は何だ?」

「結局…俺は何をすれば…」

…

「知らねぇよ」店主が背を向ける

「ツキオカさんは俺に何も言わなかった」

「俺も知りたくねぇ」

…

「この紙に書かれたものは…」店主がアヤノをちらり

「俺に向けたものじゃねぇ…」

……

かさっ…かさっ…

陽光が木々の葉を貫く

風はもう消え

人の列もいなくなった

足音だけが道に伸びる

…

「いや…マジでうまかった…」レンが後頭部をかく

「毎日これなら…」

「一年でも耐えられるぜ!」

…

「またお前の遊び病かよ!」シラカワさんが目を細める

「いつもそのせいでみんな苦労してるの知ってるか?」

…

「いいじゃん!」レンが笑って周りを見る

「どうせ楽しいだろ?」

…

「…」アヤノが地面を見る

…

「アヤノさん…」僕が軽く肩に触れる

「また今度連れてってくれる?」

…

…

「うん!」アヤノが微笑んで軽く頷く

……

「そういえば…」レンが俺たちを見る

「今日の午後、何すんだっけ?」

…

「午後か…そうだな…」シラカワさんが前を見る

……………………………………………………………………………………………………………..

日々が過ぎていく

…

毎朝、冷たい霧の中で目覚め

まだ眠い目で、布団に潜り込もうとする手

静かに整列し、朝の体操

…

毎日の体操、走って、走って

グラウンドを回り、武器を眺める

……

毎日の昼、長い列に並び

小さな食事を前に

いつもの店へ向かい

暑い陽射しに冷たいアイスキャンディー

…

急いで戻り、時間を惜しんで

服を洗い、陽に干す

まぶたを閉じ、秒を稼ぐ

…….

毎日の午後、静かに教科書を抱え

講堂へ、何百人も

周りはみんな突っ伏す

知識が一人を夢の世界へ

…

さっ… さっ…

一緒に車を引いて…

手が均等に、落ち葉を掃く

道端のごみ、瓶を拾う

……

夜は小さな画面の周りに座り

短い映像を見る

遠くからのサッカー中継

響く音楽

秒単位のニュース

…

小さな灯りの下の夜

並んで、四方を守る

……………………………………………………………………………………………………….

いつもの午後

いつものように整列し、授業の準備

…

どんっ!どんっ!

「もういい加減にしろ!」一人の男が列から出る

「俺はこんな遊びに来たんじゃねぇ!」

「飽きたんだよ!」

「本物の訓練を出せ!」

…

「そうか?」ハナゲハラさんが目を張る

…….

「全員、二列に並べ!」ハナゲハラさんが周りを見る

「今日は戦闘訓練だ!」

…

「だが注意しろ…」ハナゲハラさんが睨む

「今日は女子エリアと合同だ」

「自重しろよ!」

……

わいわい…わいわい…

「待ってたぜ!」一人が跳ねる

「やっと面白いとこ来た!」男たちが手を上げる

…

「久々に女見れる…」ざわめきが広がる

「急がねぇと…」

「向こう、いいの多いってよ…」

………

「ラッキーだな、ハル?」レンが僕を見る

「もうすぐシノミに会えるぜ」

…

「お前も同じだろ?」シラカワさんがレンに手を向ける

「イシカワさんに会いたくてウズウズしてんだろ!」

…

「ねね? 勘弁してくれ」レンが背を向ける

「欲しい奴が持ってけよ」

「俺はパス」

………

騒ぐ男たちの間で

空を見上げる視線の中で

一つの言葉が静かに響く

…

ぎゅう…

「なんで…女なんだ…」アヤノが頭を下げ、拳を握る


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