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静時の流れ - 潮騒の誓約  作者: Minateru
始まり – 試練を越える

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41/88

訓練キャンプ ― はじまりの日(二)

そよそよ…そよそよ…

軽い風が隅々まで吹き抜ける

道沿いの木々が密集した間を

木々の隙間から陽の光がそっと差し込み

道は黄色い落ち葉で覆われている

かさっ…かさっ…

人影のない静かな道

建物がだんだんまばらになっていく

三組の靴が同じリズムで地面を叩く

友達の後について、遠くの家に向かう

壁の色がだんだん褪せた建物

………

ガラッ…

扉がゆっくり開き、視線が俺たちに向く

「いらっしゃいませ!」

「どうぞお好きな席へ」

「こんにちは…」アヤノが頭を下げる

「これは若旦那じゃないか?」店主が微笑む

「久しぶりだな!」

「ツキオカさんは、まだお菓子作ってるかい?」

「…」アヤノが目を逸らし、顔を背ける

「なるほどね…」店主が目を細める

「失敗したってことか?」

「その話は置いといて!」店主が笑う

「今日は何にするんだい?」

がしがし…がしがし…

「今日はおすすめありますか?」アヤノが頭をかく

「まだ迷ってるんですよ、俺たち」

「それに…」アヤノが俺たちを振り返る

「今日の軍の飯、ちょっと…」

ガハハハ!

「あの軍隊のご飯じゃ腹いっぱいにならねぇよな?」店主が腰に手を当てて大笑い

「今日の看板メニューはカレーライスだ!」

「ついでに最近作ったアイスキャンディーも!」

「じゃあ4人前でお願いします!」アヤノが頷く

「すぐ持ってくるよ!」店主が厨房へ向かう

………………………………………………………………………

周りの木の壁はまだ塗装が残っている

箸とスプーンに水滴一つない

埃一つなく、テーブルと椅子に置かれ

席は誰もいない

ギギギ…

「待たせたな」アヤノが椅子を引いて俺たちの隣に座る

「もうすぐ料理が出るよ」

グ〜〜

「まだどれだけ待てばいいんだ…」レンがテーブルに突っ伏す

「もう十分食べてねぇのに…また遠くまで歩かされて…」

「もうちょっと待てよ、小林さん」シラカワさんが周りを見回す

「どうせ今着いたばかりだろ」

「それにお前だけが腹減ってるわけじゃねぇよ」

「お前も…」シラカワさんがアヤノに手を向ける

「アヤノでいいよ!」アヤノが微笑む

「敬語とか堅苦しいのいらないから!」

……

「アヤノさん…」僕が周りを見回す

「さっきから気になってたんだけど…」

「どうやってこの店知ったの?」

「俺も気になる…」シラカワさんが顎に手を当てる

「この道、ほとんど人通らないだろ…」

「ここに来たばかりの時も通らなかったし…」

「どうやって知ったんだ?」

「それは…」アヤノが胸に手を当て、顔を背ける

「ちょっと…」

………

トン!

「お待たせしました!」店主が料理をテーブルに置く

「熱いうちに食べてくれよ!」

「ほら…」アヤノの視線が皿に向く

「料理もできたし、遠慮なく食おう…」

……

目の前に置かれた一皿

皿は二つに分かれている

片方は白いご飯の台

もう片方は濃い茶色に覆われ

赤いピーマンの欠片と小さな肉の塊

カチャ…

「なぁ…」レンがアヤノを見る

「これ、本当に大丈夫か?」

「普通のカレーと何も変わんねぇじゃん」

「ただ全部細かく切ってあるだけだろ」

「食べてみてよ!」アヤノが微笑む

「毒なんか入ってないよ…」

「どうせ一回食べたくらいじゃ害ないだろ!」

「まぁいいか…」レンが顔をしかめて俺たちを見る

………

ぱく!

レンの目が閉じ、スプーンが口に入る

俺たちは互いに顔を見合わせ、レンを見る

カチャ! カチャ! カチャ!

レンの目が大きく開き、手が止まらない

皿がどんどん空になっていく

コトッ!

「もう一皿追加で!」レンが皿を置き、店主を見る

「すぐ持ってくる!」店主が鍋の方を見る

……

すっ…

「確かに具を細かくするのは珍しいけど…」シラカワさんがスプーンを見る

「味は全然悪くないな」

こと…

僕の手が止まらず動く

スプーン一杯に料理をすくい

交互に上げ下げする

……

「あの…聞いてもいい…?」アヤノが俺たちを見る

「これ…口に合う…?」

「もちろん!」レンが親指を立て、笑う

「量も多くて美味いし、値段も高くない…」

「最高じゃん?」

こく…こく…

「…」シラカワさんが何度も頷く

「よかった…!」アヤノが微笑む

「合わないかと思ってた」

………

「ちょっと気になるんだけど…」僕が周りを見回す

「こんな美味い店なのに、なんで客少ないの?」

「場所もちょっと…」

「それは…」アヤノがテーブルに顔を伏せる

「言えば…」

……

こつ…こつ…

「単純に競争に勝てないだけさ!」店主が4本のアイスキャンディーを持って近づく

「叔父さん…」アヤノが目を細める

「いいだろ!」店主が笑う

「事実なんだから」

「わかんない」僕が首を傾げる

「こんな美味いのに、売れないはずないだろ?」

「じゃあ簡単に考えろよ!」店主が指を天に上げる

「カップラーメンを例に取ってみな」

「一年に何種類も新商品が出て、見た目も味も違う」

「でも本質は変わらない」

「調味料、作り方、全部新しくなる」店主が皿を見る

「でもカップラーメンはカップラーメンだ」

「湯を沸かして粉を入れるだけ」

「一方、こういう料理は…」店主がアイスを見る

「ほとんど大きな変化がない」

「味を変えるのももっと難しい」

「へ?」レンが首を傾げる

「全然わかんねぇ」

「食い物は食い物じゃん?」

「確かに!」シラカワさんが手を出す

「変化は小さいけど…」

「どっちも本質的に変わってるだろ?」

……

「だからお前らは半分しか見てない」店主が首を振る

「カップラーメン作るのにどれだけ時間かかる?」

「誰でも知ってるだろ!」レンが手を上げる

「5分で済む」

「そう、5分だ」店主が頷く

「でも食った後、どう思う?」

「一袋だけでやめられるか?」

「…」俺たち三人が互いに顔を見合わせる

「でもここの料理はそうはいかない」店主が鍋を見る

「選んで、下ごしらえして、煮込んで…」

「待つ時間もめちゃくちゃ長い」

「それでようやく完成する」

カリッ!

「そして一番大事なのは…」店主がアイスを噛む

「カップラーメンより満足度が高いだろ?」

「うるせぇ…」レンが目を細める

「俺のアイス…」

「悪い悪い!」店主が笑う

「もう一本おまけしてやる!」

…….

ガラガラ…ガラガラ…

扉が大きく開く

緑の服の背中が次々入ってくる

その中にハナゲハラさんの顔

視線が俺たちに向く

ざわざわ…ざわざわ…

「珍しいな!」

「新兵にも分かる奴がいたか!」

「下で並びすぎたんだろ!」

「いらっしゃいませ!」店主が厨房に走る

……

「俺たちもそろそろ行こう」シラカワさんが体を低くする

「どうせ食い終わったし」

「うん…」俺たちは椅子を立って

……

たたたっ…

「ちょっと待って…」店主が俺たちに近づき、白い紙を持ってる

「若旦那…これ忘れてる…」

さら…

「これ…」アヤノの目が大きく開く

「ツキオカさんが俺に預けたものだ」店主が微笑む

「まだ探してるんだろ? あの人からの欠片を」

「わからない」アヤノが店主に向き直る

「父さんが俺に何をしろって?」

「この空白は何だ?」

「結局…俺は何をすれば…」

「知らねぇよ」店主が背を向ける

「ツキオカさんは俺に何も言わなかった」

「俺も知りたくねぇ」

「この紙に書かれたものは…」店主がアヤノをちらり

「俺に向けたものじゃねぇ…」

……

かさっ…かさっ…

陽光が木々の葉を貫く

風はもう消え

人の列もいなくなった

足音だけが道に伸びる

「いや…マジでうまかった…」レンが後頭部をかく

「毎日これなら…」

「一年でも耐えられるぜ!」

「またお前の遊び病かよ!」シラカワさんが目を細める

「いつもそのせいでみんな苦労してるの知ってるか?」

「いいじゃん!」レンが笑って周りを見る

「どうせ楽しいだろ?」

「…」アヤノが地面を見る

「アヤノさん…」僕が軽く肩に触れる

「また今度連れてってくれる?」

「うん!」アヤノが微笑んで軽く頷く

……

「そういえば…」レンが俺たちを見る

「今日の午後、何すんだっけ?」

「午後か…そうだな…」シラカワさんが前を見る

……………………………………………………………………………………………………………..

日々が過ぎていく

毎朝、冷たい霧の中で目覚め

まだ眠い目で、布団に潜り込もうとする手

静かに整列し、朝の体操

毎日の体操、走って、走って

グラウンドを回り、武器を眺める

……

毎日の昼、長い列に並び

小さな食事を前に

いつもの店へ向かい

暑い陽射しに冷たいアイスキャンディー

急いで戻り、時間を惜しんで

服を洗い、陽に干す

まぶたを閉じ、秒を稼ぐ

…….

毎日の午後、静かに教科書を抱え

講堂へ、何百人も

周りはみんな突っ伏す

知識が一人を夢の世界へ

さっ… さっ…

一緒に車を引いて…

手が均等に、落ち葉を掃く

道端のごみ、瓶を拾う

……

夜は小さな画面の周りに座り

短い映像を見る

遠くからのサッカー中継

響く音楽

秒単位のニュース

小さな灯りの下の夜

並んで、四方を守る

……………………………………………………………………………………………………….

いつもの午後

いつものように整列し、授業の準備

どんっ!どんっ!

「もういい加減にしろ!」一人の男が列から出る

「俺はこんな遊びに来たんじゃねぇ!」

「飽きたんだよ!」

「本物の訓練を出せ!」

「そうか?」ハナゲハラさんが目を張る

…….

「全員、二列に並べ!」ハナゲハラさんが周りを見る

「今日は戦闘訓練だ!」

「だが注意しろ…」ハナゲハラさんが睨む

「今日は女子エリアと合同だ」

「自重しろよ!」

……

わいわい…わいわい…

「待ってたぜ!」一人が跳ねる

「やっと面白いとこ来た!」男たちが手を上げる

「久々に女見れる…」ざわめきが広がる

「急がねぇと…」

「向こう、いいの多いってよ…」

………

「ラッキーだな、ハル?」レンが僕を見る

「もうすぐシノミに会えるぜ」

「お前も同じだろ?」シラカワさんがレンに手を向ける

「イシカワさんに会いたくてウズウズしてんだろ!」

「ねね? 勘弁してくれ」レンが背を向ける

「欲しい奴が持ってけよ」

「俺はパス」

………

騒ぐ男たちの間で

空を見上げる視線の中で

一つの言葉が静かに響く

ぎゅう…

「なんで…女なんだ…」アヤノが頭を下げ、拳を握る


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