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静時の流れ - 潮騒の誓約  作者: Minateru
始まり – 試練を越える

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40/99

訓練キャンプ ― はじまりの日(一)

埃まみれの部屋の中で

天井は蜘蛛の巣だらけ

廊下には枯れ葉が散らばり

…

サッサッ…サッサッ…

埃の煙が

あちこちに舞い上がる

俺たちの手が

箒を何度も動かす

汗の滴が

服にびっしょり染みる

…

ザバーッ…

水が毎回濁っていく

バケツの水が次々と入れ替わる

黒く染まった

雑巾と共に

……………

はぁ…

「なんでここにいるのに、まだこんな仕事しなきゃなんねぇんだよ?」

レンが肩を落として、腕をだらんと伸ばす

「こんな細かいことやって、何の意味あんだよ?」

「まるでまだ学校に通ってるみたいじゃん!」

…

「仕方ねぇだろ!」

シラカワさんが振り返る

「どうせこれから二ヶ月、ここで暮らすんだからよ。」

「ちょっと我慢しろよ!」

......

「なぁ、室長…」一群の男たちが近づいてくる

「俺たち、自分のとこ片付けたから、先に行くわ」

…

「待てよ!」シラカワさんが手を出す

「お前ら、自分のとこだけ掃除しただけだろ。」

「他の場所はどうすんだ?」

「全部終わらせねぇと、飯食いに行けねぇぞ?」

…

「いいよ!」男たちが軽く手を振る

「俺たち、あっちで飯食う気ねぇし!」

…

すっと…

「じゃあな!」男たちが階段の方へ進む

……

ぽと…

「マジかよ…?」レンが箒を放り出す

「あいつら、自分たちが何やってんだと思ってんだ?」

…

「レン、ちょっと落ち着けよ!」僕がレンに向かって手を伸ばす

「どうせ奴ら、自分のベッド周りだけ終わらせたんだろ。」

「俺たちもさっさと終わらせようぜ。」

…

「ハル、お前それでいいのかよ?」レンが目を細めて僕を見る、両手を広げる

「あいつら、自分のとこだけ気にして…」

「残りの全部はどうすんだよ?」

……

すっ…

「あの…」一人の若い男が突然手を挙げる

「こんなこと聞いてもいいかな?」

「でも…後ろの廊下…掃除しなくていいんですか?」

…

「もちろん!」シラカワさんが腰に手を当てる

「あそこも俺たちのエリアだろ!」

「俺が手伝ってやるよ!」

…

「じゃあ…ありがとう…」若い男が廊下の方に目を向ける

……

「なぁ、ハル…」レンが箒を拾い上げる

…

「…」僕の視線がそっちに向く

…

「一緒に終わらせようぜ!」レンが窓の方を向く

…

「うん…」僕は軽く頷く

………………………………………………………………………………………………………………

今や全ての部屋の扉は閉まり

埃の塊はもう去った

…

真夏の正午の眩しい陽射しの中

高い木々の影が広がる

…

ざわざわ…ざわざわ…

長い列が並んで

視線があちこちを彷徨う

小さな話があちこちに響く

……

「全員注意!」ハナゲハラさんが腰に手を当てて立つ

「気をつけ!」

…

小さな話が徐々に消えていく

列が一斉に背筋を伸ばす

視線が前を向く

……

ごほん!

「今から諸君の生活スケジュールを簡単に説明する!」

ハナゲハラさんが周りを見回す

…

「毎日、三食の正餐がある…」ハナゲハラさんが指を立てる

「朝食、昼食、夕食だ」

…

「各食事に固定の時間がある…」ハナゲハラさんが手を下ろす

「朝食は7時、昼食は11時、夕食は18時だ。」

「各食事前に、諸君は訓練に参加しなければならない。」

…

「食事に行く時は…」ハナゲハラさんが頭を上げる

「今日のように、全員が整列して入る。」

…

「諸君の各部屋は一つの小隊だ!」ハナゲハラさんが目を動かす

「各隊長は人数を確認し、食事前に報告せよ!」

…

「全員揃ったら、各単位ごとに…」ハナゲハラさんが遠くの建物に目を向ける

「各室長が一人ずつ食券を配る。」

「その後、全員が列をなしてゆっくり食事エリアへ移動する。」

…

「質問はあるか?」ハナゲハラさんが目を大きく見開く

…

「ありません!」全員が一斉に

…

「各隊長、こちらへ来て報告と物資を受け取れ!」

ハナゲハラさんが振り返って歩き出す

……

一人ずつ順番に進み

ペンの跡が次々と行を変える

…

一人ずつ列に戻り

胸ポケットに小さな紙を入れ

しっかりと物を手に持つ

…

カチャ…

列の各人に近づき

各隊長が一人ずつに渡す

箸一膳とスプーン一つ

…

「これが大事なことだ、よく覚えておけ。」ハナゲハラさんが背を向けて振り返る

「今手に持ってるものは、これから二ヶ月間、諸君について回る。」

「一度失くしたら、代わりはねぇぞ…」

「食事にも行けねぇ…」

…………………………………

とぼとぼ…とぼとぼ…

一人ずつ列をなして

遠くの小さな建物へ進む

手にしっかりと箸とスプーンを握り

…

ぐう…

長い道に響く音

…………

「やっと飯の時間かよ!」レンが振り返る

「朝から苦労したんだから、休憩だぜ。」

…

「お前、ほとんど何もしてねぇだろ?」シラカワさんが軽く目を細める

「主にハルと俺がやってたんだぞ。」

「二つの廊下もあいつが掃除したんだ。」シラカワさんの視線が若い男にちらり

…

「お前ら、軽い仕事ばっかだな!」レンが振り返る

「水運んだりゴミ捨てたり、全部俺じゃねぇか!」

「それで階段何往復もしたんだぞ!」

…

「まぁまぁ…」僕が両手を顔の高さに上げる

「どうせ全部終わったんだろ。」

「今はもう飯食うだけだよ。」

…

「まぁそうだな!」レンが前を向く

「もういいや! とりあえず腹を満たすぞ!」

…

がやがや…がやがや…

人で溢れる一つの部屋

アルミテーブルの上に眩しい光

天井の扇風機がゆっくり回る

……

「次の方!」エプロンの女性が振り返る

…

「はい!」レンがテーブルに飛びつく

「俺たちです!」

…

「食券を見せて!」女性が手を出す

「…」レンが紙を渡す

……

コトン!

女性が空のトレイを出す

少しの野菜の区画

小さなチャーシューの区画

…

「これがお前の分だ!」女性が周りを見る

「次の方!」

…

「ちょっと待って…おばさん…」レンが目を丸くする

「これだけ…だけかよ…」

…

「何を期待してんだよ!」女性が顔を近づける

「ここを五つ星レストランだと思ってんのか?」

「さっさと行けよ、ご飯と汁はあそこのテーブルにあるから!」

……………

とぼとぼ…とぼとぼ…

食事を終えて

箸とスプーンも洗って

俺たちは出口へ向かう

混み合う人ごみを抜けて

…

ぐぎゅるる…

「こんな量じゃ足りねぇよ…」レンが体を低くして背を丸める

「まだ成長期なんだぜ。」

…

「ご飯おかわり取れるだろ?」僕がレンを見る

「そんなに少なく食う必要ねぇだろ?」

…

「ハル、お前わかってねぇな?」レンが目を細めて僕を見る

「味薄くて量少ないし…」

「チャーシューなんか石みたいに硬ぇ…」

「ご飯はパサパサ、汁は水みたいに薄い…」

「誰がこんなの食えるんだよ!」

………

どたどた…どたどた…

空気に香りが広がる

熱々のラーメンのカップを手にする人たち

熱々のご飯の皿がテーブルに並ぶ

水のボトルをしっかり持った手が

俺たちの前を軽く通り過ぎる

…

「どこからそんなの出してんだよ?」レンが目を細めて見る

「あっちの方からじゃね?」僕が列を追って見る

…

「じゃあ、見に行ってみようぜ?」シラカワさんが軽く微笑む

「どうせ損はねぇだろ。」

…

「まぁいいか…」僕が軽く頷く

…

ぴょん!

「それでこそだ!」レンが跳ね起きて、唇を緩める

「こんなんじゃ満足できねぇよ!」

……

がしっ!

「ちょっと待ってください!」若い男が僕の肩を掴む

「あっちに行かないで!」

…

「どういう意味だよ?」レンが首を傾げる

「みんな行ってるじゃん?」

…

「俺…その…あそこは…」若い男が頭を下げて手を引く

…

ぽん…

「大丈夫だよ…」シラカワさんが若い男の肩に触れる

「ゆっくり話せばいいよ、邪魔しねぇから。」

…

「わかった…」若い男が軽く頷く

…

「実は…」若い男の視線が俺たちを見る

「あの屋台とか…全部アグヌス・インダストリーズが入れてるんだ…」

…

「それが何の問題だよ?」レンが首を傾げる

「みんな行ってるじゃん?」

…

「お前らわかってねぇ…」若い男が唇を軽く噛む

…

「あの会社…軍事用の武器を低価格で供給してる…」若い男が顔を上げる

「その代わり…ほぼ独占的にいろんな分野の商品を…」

…

ぎゅっ…

「小さな店は…そこから…立場を失って…」若い男の拳が握られる

「そして彼らは…」

…

「つまり…」僕が軽く若い男に手を向ける

「市場を独占してるってこと?」

「だから…売ってるものは…」

…

「うん…そう…」若い男が軽く頷く

「売ってるものは…軍事の赤字を補うために…」

「めちゃくちゃ高い値段なんだ。」

…

「でも…もっと大事なのは…」若い男が屋台の方を見る

「どういうわけか…どんな状況でも…」

「どんな困難が来ても…商品を常に持ってる…」

……

「配給ルートが強いんじゃないか?」シラカワさんが顎に手を当てる

「多国籍企業はみんなそんなもんだろ。」

…

「そんなんじゃないよ!」若い男が顔を上げて俺たちを見る

「あの会社は誰とも協力しない…」

「逆に、競争相手を全部潰す…」

「服でも野菜でも雑貨でも薬でも…」

…

「たとえ…」若い男が少し頭を下げる

「伝統的な料理でも…」

……

「ちょっと待て。」シラカワさんが若い男を見る

「そんな怪しいなら…」

「なんで軍がここに入れるんだ?」

…

「それは…俺…」若い男が周りを見回す

…

「もしかして…俺たちの学校みたいに。」僕が指を天に上げる

「一年次の第一学期みたいに、覚えてるだろ?」

…

「かも…でも全然違う…」シラカワさんが目を閉じる

「とりあえず、あのチェーンは避けようぜ!」

…………

ぐぎゅるる…

「でも…俺腹減った!」レンが空を見上げて体をだらんとさせる

「あっち行けねぇなら、どこで食うんだよ?」

…

「確かに…」僕が周りを見る

「これだけじゃ体持たねぇよ。」

…

「俺、まだ午後のこと言ってねぇけど…」シラカワさんが俺たちを見る

「午後って…また何か…」レンが目を細める

…

「午後もまだ何やるかわかんねぇけど…」シラカワさんが目を丸くする

「また体力訓練とかだったら…」

…

「この体を勘弁してくれ…」レンが顔を下げて目を閉じる

「これじゃ足りねぇのかよ?」

……

すっ…

「もし嫌じゃなかったら…」若い男が手を上げる

「俺、行けるとこ知ってる…」

「でもちょっと遠いし…品数多くない…」

…

「構わねぇよ…」レンが目を細めて若い男を見る

「食い物さえあればいい。」

…

「じゃあ、お願いします。」シラカワさんが若い男に手を向ける


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