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静時の流れ - 潮騒の誓約  作者: Minateru
始まり – 試練を越える

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40/88

訓練キャンプ ― はじまりの日(一)

埃まみれの部屋の中で

天井は蜘蛛の巣だらけ

廊下には枯れ葉が散らばり

サッサッ…サッサッ…

埃の煙が

あちこちに舞い上がる

俺たちの手が

箒を何度も動かす

汗の滴が

服にびっしょり染みる

ザバーッ…

水が毎回濁っていく

バケツの水が次々と入れ替わる

黒く染まった

雑巾と共に

……………

はぁ…

「なんでここにいるのに、まだこんな仕事しなきゃなんねぇんだよ?」

レンが肩を落として、腕をだらんと伸ばす

「こんな細かいことやって、何の意味あんだよ?」

「まるでまだ学校に通ってるみたいじゃん!」

「仕方ねぇだろ!」

シラカワさんが振り返る

「どうせこれから二ヶ月、ここで暮らすんだからよ。」

「ちょっと我慢しろよ!」

......

「なぁ、室長…」一群の男たちが近づいてくる

「俺たち、自分のとこ片付けたから、先に行くわ」

「待てよ!」シラカワさんが手を出す

「お前ら、自分のとこだけ掃除しただけだろ。」

「他の場所はどうすんだ?」

「全部終わらせねぇと、飯食いに行けねぇぞ?」

「いいよ!」男たちが軽く手を振る

「俺たち、あっちで飯食う気ねぇし!」

すっと…

「じゃあな!」男たちが階段の方へ進む

……

ぽと…

「マジかよ…?」レンが箒を放り出す

「あいつら、自分たちが何やってんだと思ってんだ?」

「レン、ちょっと落ち着けよ!」僕がレンに向かって手を伸ばす

「どうせ奴ら、自分のベッド周りだけ終わらせたんだろ。」

「俺たちもさっさと終わらせようぜ。」

「ハル、お前それでいいのかよ?」レンが目を細めて僕を見る、両手を広げる

「あいつら、自分のとこだけ気にして…」

「残りの全部はどうすんだよ?」

……

すっ…

「あの…」一人の若い男が突然手を挙げる

「こんなこと聞いてもいいかな?」

「でも…後ろの廊下…掃除しなくていいんですか?」

「もちろん!」シラカワさんが腰に手を当てる

「あそこも俺たちのエリアだろ!」

「俺が手伝ってやるよ!」

「じゃあ…ありがとう…」若い男が廊下の方に目を向ける

……

「なぁ、ハル…」レンが箒を拾い上げる

「…」僕の視線がそっちに向く

「一緒に終わらせようぜ!」レンが窓の方を向く

「うん…」僕は軽く頷く

………………………………………………………………………………………………………………

今や全ての部屋の扉は閉まり

埃の塊はもう去った

真夏の正午の眩しい陽射しの中

高い木々の影が広がる

ざわざわ…ざわざわ…

長い列が並んで

視線があちこちを彷徨う

小さな話があちこちに響く

……

「全員注意!」ハナゲハラさんが腰に手を当てて立つ

「気をつけ!」

小さな話が徐々に消えていく

列が一斉に背筋を伸ばす

視線が前を向く

……

ごほん!

「今から諸君の生活スケジュールを簡単に説明する!」

ハナゲハラさんが周りを見回す

「毎日、三食の正餐がある…」ハナゲハラさんが指を立てる

「朝食、昼食、夕食だ」

「各食事に固定の時間がある…」ハナゲハラさんが手を下ろす

「朝食は7時、昼食は11時、夕食は18時だ。」

「各食事前に、諸君は訓練に参加しなければならない。」

「食事に行く時は…」ハナゲハラさんが頭を上げる

「今日のように、全員が整列して入る。」

「諸君の各部屋は一つの小隊だ!」ハナゲハラさんが目を動かす

「各隊長は人数を確認し、食事前に報告せよ!」

「全員揃ったら、各単位ごとに…」ハナゲハラさんが遠くの建物に目を向ける

「各室長が一人ずつ食券を配る。」

「その後、全員が列をなしてゆっくり食事エリアへ移動する。」

「質問はあるか?」ハナゲハラさんが目を大きく見開く

「ありません!」全員が一斉に

「各隊長、こちらへ来て報告と物資を受け取れ!」

ハナゲハラさんが振り返って歩き出す

……

一人ずつ順番に進み

ペンの跡が次々と行を変える

一人ずつ列に戻り

胸ポケットに小さな紙を入れ

しっかりと物を手に持つ

カチャ…

列の各人に近づき

各隊長が一人ずつに渡す

箸一膳とスプーン一つ

「これが大事なことだ、よく覚えておけ。」ハナゲハラさんが背を向けて振り返る

「今手に持ってるものは、これから二ヶ月間、諸君について回る。」

「一度失くしたら、代わりはねぇぞ…」

「食事にも行けねぇ…」

…………………………………

とぼとぼ…とぼとぼ…

一人ずつ列をなして

遠くの小さな建物へ進む

手にしっかりと箸とスプーンを握り

ぐう…

長い道に響く音

…………

「やっと飯の時間かよ!」レンが振り返る

「朝から苦労したんだから、休憩だぜ。」

「お前、ほとんど何もしてねぇだろ?」シラカワさんが軽く目を細める

「主にハルと俺がやってたんだぞ。」

「二つの廊下もあいつが掃除したんだ。」シラカワさんの視線が若い男にちらり

「お前ら、軽い仕事ばっかだな!」レンが振り返る

「水運んだりゴミ捨てたり、全部俺じゃねぇか!」

「それで階段何往復もしたんだぞ!」

「まぁまぁ…」僕が両手を顔の高さに上げる

「どうせ全部終わったんだろ。」

「今はもう飯食うだけだよ。」

「まぁそうだな!」レンが前を向く

「もういいや! とりあえず腹を満たすぞ!」

がやがや…がやがや…

人で溢れる一つの部屋

アルミテーブルの上に眩しい光

天井の扇風機がゆっくり回る

……

「次の方!」エプロンの女性が振り返る

「はい!」レンがテーブルに飛びつく

「俺たちです!」

「食券を見せて!」女性が手を出す

「…」レンが紙を渡す

……

コトン!

女性が空のトレイを出す

少しの野菜の区画

小さなチャーシューの区画

「これがお前の分だ!」女性が周りを見る

「次の方!」

「ちょっと待って…おばさん…」レンが目を丸くする

「これだけ…だけかよ…」

「何を期待してんだよ!」女性が顔を近づける

「ここを五つ星レストランだと思ってんのか?」

「さっさと行けよ、ご飯と汁はあそこのテーブルにあるから!」

……………

とぼとぼ…とぼとぼ…

食事を終えて

箸とスプーンも洗って

俺たちは出口へ向かう

混み合う人ごみを抜けて

ぐぎゅるる…

「こんな量じゃ足りねぇよ…」レンが体を低くして背を丸める

「まだ成長期なんだぜ。」

「ご飯おかわり取れるだろ?」僕がレンを見る

「そんなに少なく食う必要ねぇだろ?」

「ハル、お前わかってねぇな?」レンが目を細めて僕を見る

「味薄くて量少ないし…」

「チャーシューなんか石みたいに硬ぇ…」

「ご飯はパサパサ、汁は水みたいに薄い…」

「誰がこんなの食えるんだよ!」

………

どたどた…どたどた…

空気に香りが広がる

熱々のラーメンのカップを手にする人たち

熱々のご飯の皿がテーブルに並ぶ

水のボトルをしっかり持った手が

俺たちの前を軽く通り過ぎる

「どこからそんなの出してんだよ?」レンが目を細めて見る

「あっちの方からじゃね?」僕が列を追って見る

「じゃあ、見に行ってみようぜ?」シラカワさんが軽く微笑む

「どうせ損はねぇだろ。」

「まぁいいか…」僕が軽く頷く

ぴょん!

「それでこそだ!」レンが跳ね起きて、唇を緩める

「こんなんじゃ満足できねぇよ!」

……

がしっ!

「ちょっと待ってください!」若い男が僕の肩を掴む

「あっちに行かないで!」

「どういう意味だよ?」レンが首を傾げる

「みんな行ってるじゃん?」

「俺…その…あそこは…」若い男が頭を下げて手を引く

ぽん…

「大丈夫だよ…」シラカワさんが若い男の肩に触れる

「ゆっくり話せばいいよ、邪魔しねぇから。」

「わかった…」若い男が軽く頷く

「実は…」若い男の視線が俺たちを見る

「あの屋台とか…全部アグヌス・インダストリーズが入れてるんだ…」

「それが何の問題だよ?」レンが首を傾げる

「みんな行ってるじゃん?」

「お前らわかってねぇ…」若い男が唇を軽く噛む

「あの会社…軍事用の武器を低価格で供給してる…」若い男が顔を上げる

「その代わり…ほぼ独占的にいろんな分野の商品を…」

ぎゅっ…

「小さな店は…そこから…立場を失って…」若い男の拳が握られる

「そして彼らは…」

「つまり…」僕が軽く若い男に手を向ける

「市場を独占してるってこと?」

「だから…売ってるものは…」

「うん…そう…」若い男が軽く頷く

「売ってるものは…軍事の赤字を補うために…」

「めちゃくちゃ高い値段なんだ。」

「でも…もっと大事なのは…」若い男が屋台の方を見る

「どういうわけか…どんな状況でも…」

「どんな困難が来ても…商品を常に持ってる…」

……

「配給ルートが強いんじゃないか?」シラカワさんが顎に手を当てる

「多国籍企業はみんなそんなもんだろ。」

「そんなんじゃないよ!」若い男が顔を上げて俺たちを見る

「あの会社は誰とも協力しない…」

「逆に、競争相手を全部潰す…」

「服でも野菜でも雑貨でも薬でも…」

「たとえ…」若い男が少し頭を下げる

「伝統的な料理でも…」

……

「ちょっと待て。」シラカワさんが若い男を見る

「そんな怪しいなら…」

「なんで軍がここに入れるんだ?」

「それは…俺…」若い男が周りを見回す

「もしかして…俺たちの学校みたいに。」僕が指を天に上げる

「一年次の第一学期みたいに、覚えてるだろ?」

「かも…でも全然違う…」シラカワさんが目を閉じる

「とりあえず、あのチェーンは避けようぜ!」

…………

ぐぎゅるる…

「でも…俺腹減った!」レンが空を見上げて体をだらんとさせる

「あっち行けねぇなら、どこで食うんだよ?」

「確かに…」僕が周りを見る

「これだけじゃ体持たねぇよ。」

「俺、まだ午後のこと言ってねぇけど…」シラカワさんが俺たちを見る

「午後って…また何か…」レンが目を細める

「午後もまだ何やるかわかんねぇけど…」シラカワさんが目を丸くする

「また体力訓練とかだったら…」

「この体を勘弁してくれ…」レンが顔を下げて目を閉じる

「これじゃ足りねぇのかよ?」

……

すっ…

「もし嫌じゃなかったら…」若い男が手を上げる

「俺、行けるとこ知ってる…」

「でもちょっと遠いし…品数多くない…」

「構わねぇよ…」レンが目を細めて若い男を見る

「食い物さえあればいい。」

「じゃあ、お願いします。」シラカワさんが若い男に手を向ける


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