表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
静時の流れ - 潮騒の誓約  作者: Minateru
始まり – 試練を越える

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/51

煙の中へ

さらさら…さらさら…

陽の光が金色に芝生を照らしつける

木の枝が風に揺れる

黄金の葉が空中に浮かんでいる

ぎゅっ

四方から集まる視線の中で

額に汗が長く伝う

一人ひとりの目が、人形から離れない

そして握りしめた手が、武器を強く締め付ける

………

「ねえ、春…」蓮が訓練中のグループを指差す

「見てよ、綾野さんが誰の隣にいるか。」

「ツメ子さん!?」俺が目をカッと見開き、肩を引く

「あの二人…ペアなんだ?」

「山崎さんの性格じゃ…」蓮がにやりと笑う

「綾野さん、ついていけるのかな?」

………………………..

「開始!」遠くのテーブルから声が響く

…………..

たっ…たっ…

人形たちが受験生に向かって進み始める

赤く染まった目、ナイフのような指

そして銃口がまっすぐ向けられる

ダダダダダ…

金色の光が訓練場全体に広がる

人形ごとに火花が飛び

土埃が空高くに舞い上がる

…………

ガキン!

「見てなさい!」ツメ子が足を高く振り上げ、人形に向かって蹴り込む

「女だからってナメないで!」

ガン!ガン!ガン!

拳が連続で繰り出され

足が次々と蹴りを放つ

水滴が空中に浮かび

ツメ子の顔に満面の笑みが広がる

…….

「あの娘…」軍服の女性がペンを指す

「かなり有望ね?」

「誰かの助けを待たずに、自分から突っ込んでいく…」

「後方への負担を劇的に減らせる動きだわ。」

「そうとも限らない。」鋼原さんが軽く首を振る

「戦場でただ突っ込むだけが賢いわけじゃない。」

「どういう意味ですか、中佐?」女性が首を傾げ、目を丸くする

「私には彼女が人形たちをかなり押さえ込んでるように見えるけど。」

すっ…

「よく見ててください。」鋼原さんがツメ子たちのグループを指差す

「人間には誰にでも限界がある。」

「たとえ彼女が後方に時間を稼いでも…」

「後方がそれを活かせなければ…」

……

ゴン…ゴン…

ツメ子の体が急に前進を止める

肩が徐々に下がり、手が遠くまで届かなくなる

足がゆっくり後退し始める

たっ…たっ…

人形たちが徐々に前へ進む

手が爪を伸ばしてグループに向かう

……

ヒュッ…

「山崎さん!」綾野さんが石を人形に向かって投げる

「早く下がって!」

ガキン!

石が一人の人形の頭に当たる

ツメ子の目が周囲をぐるっと見回す

上空で青く光るドローン

バン!

青い光の柱が石に向かって真っ直ぐ落ちる

黒い煙が一気に広がり

金色の火が空気中にちらつく

ズザァァァッ…

地面に二本の長い線が引かれる

土と石と草が四方に飛び散る

ツメ子の目が固く閉じられ、腕が胸の前で交差する

……

「ふむ…」鋼原さんが顎に手を当て、唇を軽く尖らせる

「悪くない…でも今失った時間をどう取り戻すつもりだ?」

……

ぽん…

「山崎さん。」綾野さんがツメ子の肩に手を置く

「このままじゃダメだよ。」

「何言ってるの?」ツメ子が目を細めて見る

「これっぽっちで耐えられないなら、何ができるっていうの?」

「周り見てよ…みんな…」ツメ子の唇が少し震える

「ねねちゃんも…しのみちゃんも…小林さんも…」

「春くんまで…また…どんどん遠くに行っちゃう…」

「そんなこと思ってるわけないよ!」綾野さんが目を大きく見開く

「誰も見捨てたりしないって!」

「見てよ!」綾野さんが俺たちの方を指差す

「みんなここにいて、見守ってるじゃない!」

「僕みたいなのだって…一緒にいてくれて…外したりしない…」

「だからこそ…」綾野さんが人形たちを指差す

「最高の演技を見せてあげなきゃ!」

「がっかりさせちゃダメだよ!」

……

たっ…たっ…

黒い煙が徐々に薄れ…

足音が再び響き出す

反射する光が周囲を照らす

ぐしゃっ…

「ちくしょう!」綾野さんが頭をかく

「これで十分だと思ってたのに!」

……………

「ねえ…」ツメ子が人形たちを振り返る

「さっきのあれ…もう一回できる?」

カラカラ…

「あと三個しかない…」綾野さんがポケットから石を取り出す

「時間なくて、これしか作れなかったの。」

ガチャ…

「これで十分だよ。」ツメ子が武器を人形に向ける

「わかった。」綾野さんが頷く

「でもこれも必要でしょ!」綾野さんがマスクを差し出し、にっこり笑う

「この煙、結構きついんだから。」

「君…じゃなくて、綾野さん…」ツメ子が振り返り、目を細めて笑う

「ありがとね!」

………

タタタッ…

両腕を後ろに伸ばし

ツメ子の全身が前へ飛び出す

ドローンが周りをぐるぐる回る

ヒュッ…

黒い石が人形に向かって飛ぶ

ドローンが徐々に青く変わる

ドォン!ドォン!ドォン!

青い光の柱が空から落ちる

黒煙がすべてを覆い

人形たちがぴたりと止まる

そしてツメ子が煙の中に突っ込む

……

ゴール地点、金色の光が広がる場所

誰も踏み入れていない空間

黒煙がゆっくり広がっていく

シュッ…

煙を切り裂き、手で顔を覆い

鮮やかな赤い髪と、細められた目

止まらない足

ギュィン…

煙の中から手が伸びる

白い爪が少女に向かって飛ぶ

陽光があちこちで反射する

「ふざけないでよ!」ツメ子が振り返る

「そこで大人しくしてなさいよ?」

ガンッ!

ドローンが腕に突っ込む

人形に直撃し

煙の中に押し返す

「早く!」綾野さんが両手を口に当てて叫ぶ

「できるよ、絶対!」

ガシャーン!

金色の光が一瞬で消える

周りの人々が一斉に立ち上がる

ガラスの破片が四方に飛び散る

………

コツ…コツ…

「あっちの二人…」鋼原さんがツメ子たちのグループを指す

「さっさとこっち来い!」

「…」ツメ子と綾野さんが顔を見合わせる

「まだ何待ってるんだ?」鋼原さんが目を細める

「一日中時間があるわけじゃないぞ!」

「早く来て名前言え!」

「次のグループが待ってる!」

パンッ!

「できたね?」ツメ子が手を差し出し、にっこり笑う

「うん!」綾野さんが笑って手を合わせる

………………………………………………………………………………………………………………..

ざわざわ…ざわざわ…

周りの群衆が互いに顔を見合わせる

囁き声が空気に混じる

視線が徐々に、弾薬だらけのテーブルへ向かう

「まさかあんなやり方で通るなんて?」

「ちょっと卑怯じゃない…?」

「なんで俺らもっと早くやらなかったんだ?」

「あっちまだ爆薬残ってるぞ、急げ。」

………

「まさかあんな手を使うとはね?」蓮が笑って綾野さんたちのグループを見る

「俺は全部倒さないとダメかと思ってたのに。」

「課題にそんなこと書いてなかっただろ。」俺が周りを見回し、にやりと笑う

「一番いい方法を選んだだけさ。」

「誰かに悪影響与えられたわけじゃないよな?」蓮が別の方向を向く

「いつも近道選ぶくせに…普通にやらないんだから…」

「悪影響って何だよ?」俺が目を細める

「知らねーよ!」蓮が背を向ける

……

ぽん!

「小林さん!」白川さんが蓮の肩を叩く

「ちょっとナイフ貸して!」

「いいけど…」蓮が目を丸くしてナイフを渡す

「でも…何に使うんだよ…」

「すぐ分かるよ。」白川さんが微笑む

…………

シャッ…シャッ…

汗が顔を伝う

白川さんの目が猟弾を凝視する

耳が周りの音を拾い続ける

カチャ…カチャ…

銃が部品ごとに分解される

並べて置かれ、列をなす

爆弾はもう何も残っていない

部品が二つの山に分けられる

コト…コト…

弾が二つに割られる

並べて置かれ、列をなす

中身は空っぽ

小さなビー玉が袋に収まる

黒い粉が布の上に山盛り

......................................................................

タッタッ…タッタッ…

次のグループが前へ進む

武器を握りしめ、腰に爆弾を満載

唇に笑みを浮かべ、目を細めて人形を見る

……

「開始!」テーブルの方向から声が響く

……

バシュッ!

爆弾が空中に浮かぶ

白い光が四方に広がる

シューーー

白煙が次々と立ち上る

人形たちを覆い尽くす

ザッ…ザッ…

マスクが顔を覆う

列が前へ突進する

武器を煙に向ける

ドガッ!ブワッ!

白煙が徐々に晴れていく

光が穏やかになる

人々があちこちに倒れている

人形たちは背筋を伸ばして立つ

最後の標的がまだ輝いている

………

「甘すぎる!」鋼原さんが腕を組み、目を細めて列を見る

「ただ真似するだけじゃ、何もできないぞ。」

「どういう意味ですか、中佐?」女性が顔を上げる

「同じものを使っているのに…」

「あの子たちはなぜ失敗したんですか?」

ククッ…

「戦場に出たことがないから分からないんだろう…」鋼原さんが笑う

「敵は常に変化し、学ぶ。」

「人形たちはそれを忠実に再現してるだけだ。」

ゴトッ…

「それに…」鋼原さんがマスクを女性に投げる

「あの二人は…かなり準備してた…」

「石まで追加で作っちゃうんだからな!」

「これって…」女性が目を大きく見開き、マスクのレンズを見る

「信号発信装置?」

……………………………………………………………………………………………………………

タッタッタッ…

青髪の影が俺たちの方へ近づく

唇に笑みを浮かべ、手を振る

「ただいまー!」綾野さんが俺たちを見て目を丸くする

「見た…? 今の…」

「もちろん見たよ!」蓮がにっこり笑う

「二人ともすごい小細工だったな!」

「でも、綾野さん…」俺がテーブルを振り返る

「さっき使った石…一体どこから…」

「自分で作ったんだよ!」綾野さんが首を傾げ、テーブルを指差す

「火薬ちょっとと、あそこの部品で作れるんだ!」

「お父さんが教えてくれたの!」

「家って…一体何の家なんだよ…」蓮が目を細め、後ずさる

はは…

「普通だよ…」綾野さんが唇を曲げる

「それより、十神さん…」綾野さんが俺を見る

「聞きたいことがあるんだけど…」

「君…」綾野さんが目を細め、肩を落とす

「今まで…何人の女の子口説いたの…?」

「口説いてないって!」俺が首を振る

「俺は一人だけだよ!」

「そうなの?」綾野さんが女子たちの方を見る

「学校の時、結構モテてたって噂聞いたけど…」

「今も続いてるみたいだし…」

くいっ…

「それじゃ足りないよ!」蓮が綾野さんを引き寄せ、俺に背を向ける

「こいつ…また新しく一人増やしたばっかだぞ…」

「本当…? 十神さん…」二人が目を細め、顔を青ざめさせて俺を見る

「自分じゃ持て余さない?」

「だから違うって!」俺が両手を大きく振る

「今気づいた…」綾野さんが周りを見回す

「白川さんどこ行った?」

すっ…

「クラス委員?」蓮が訓練グループを指す

「もうあいつの番だよ!」

………………………………………………………………………………………………………………

コツ…コツ…

ペア同士で話し込む中

茶髪の少年が静かに横を通り過ぎ、全身に装備を満載

目の前に、見覚えのある顔

黒髪の美しい少女、手にラップトップ

「いつもこうしてペアになるよね?」黒髪の少女が微笑む

「どこに行っても。」

はぁ…

「君が言うな、黒美。」白川さんが頭に手を当て、微笑む

「でも知らない人と組むよりマシだろ?」

「うん、そうだね。」朝霧さんが手を口に当てる

「他の人と組んでたら、今頃どうしようもなかったかも。」

……

「でも、黒美…」白川さんがラップトップを指す

「本当にあれを使うつもり?」

えへへ…

「大丈夫だよ!」朝霧さんが首を傾げて笑い、周りを見る

「私、ああいうの向いてないし…」

「それに…」

ぎゅっ…

「なつめがいるんだもん! 心配ないよ!」朝霧さんがラップトップを抱きしめる


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ