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静時の流れ - 潮騒の誓約  作者: Minateru
残響の果てに

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29/99

道義か、命令か

遠くに薄れていく月光の下……

真紅の炎に燃える夜の闇……

静かな夜を引き裂く音たち……

…

「コウカ……」私の視線がコウカの方へ移る

「どうかしましたか、トガミ様?」コウカが私を見る

「まだ体が辛いのですか?」

…

「あ、いえ、それはもう大丈夫です……」私は微笑む

「それではなく、なぜ私たちがここで待っていなければならないんですか?」

…

ふふ…

「難しいことなんてありませんよ、トガミ様。」コウカが微笑む

「この計画は元々準備されていたものです。」

「あなたもようやく少し体力を回復したばかりです、いきなり突っ込むわけにはいきません!」

…

のし…のし…

「でも、私だって役に立てますよ。」私は体をコウカの方へ寄せる

「でも、あなたはもっと先のことを考えましたか?」コウカが眉を寄せて私を見る

…

「戦場では、負傷した者は他人の足手まといになるだけです。」コウカが顔を近づける

「戦闘能力は明らかに落ち、敵はそれを必ず利用します。」

「そう……ですか……」私は体を屈め、後ずさる

…

「それに……」コウカが顔を上げて戦場を見る

「こうして見ているだけでも、綺麗じゃないですか?」

「ここに立って、この炎が消えるまで眺めているだけで……」

「なんだか……」コウカが指を額に当てる

…

「キャンプファイヤーの夜、ですよね?」コウカが私を見て微笑む

「そう……かもですね……」私は炎の方を見る

………………………………….

ズリ…ズリ…

ガリ…ガリ…

奇妙な音が徐々に大きくなっていく……

影が私たちの足元まで伸びてくる……

…

ズバッ!

「トガミ様……」コウカが剣を固く握り、煙の方へ向ける

「どうやらお客さんが来たようですね。」

「…」私は剣を握り、体を引いて炎の方を見る

…

スーッ…シュッ…

あの機械獣の腕が私たちの目の前を横切る……

目の前の煙が突然二つに分かれ……

下に広がる土の層……

黒い水の上に散らばる瓦礫の破片……

そして白い鎧たち、頭をこちらに向けている……

…

キィン!

「どうしてあいつらがここに?」私は体を引いて、武器を握り、コウカを見る

「恐らく逃げようとしているだけでしょう、トガミ様。」コウカが目を巡らせ、剣の切っ先を敵に向ける

「そして私たちは、それを許すつもりはありません……」

…

ズドン…

黄金の光が光の軌跡とともに広がる……

コウカの進む歩みに合わせて……

白い鎧の軍団の視線が私たちに向けられる……

黄金の油がすべてを覆う……

…

ガッ!

「手を止めてください!」緑の線が入った白い鎧の一人が手を上げる

…

ズッ…

石の破片があちこちに飛び散る……

コウカの周りに薄い煙が立ち上る……

そして剣の切っ先が、緑の線入り白い鎧の兜のすぐ前で止まる……

…

「なぜ手を止めなければならないんですか?」コウカが首を傾げる

「お願いです、何かをされる前に……」緑の者が両手を上げ、地面に顔を伏せる

「少しだけお話を聞いてください!」

…

キィン…

「聞く理由などありません!」コウカが剣を高く掲げる

「お願い……お願いです……聞いてください……」緑の者がコウカに向かって手を伸ばす

…

ぽん…

「少し待って、コウカ!」私が手を伸ばしてコウカの肩に触れる

「一度、彼らが何を言いたいか聞いてみようよ!」

「でも、トガミ様……」コウカが私を横目で見る

「あの人たちは私たちの敵ですよ!」

「この戦争を始めた張本人たちです!」

…

クッ…

「でもここにいる人たちは私たちを攻撃してない!」私がコウカの服の肩を強く握る

「もう戦う力も残ってない!」私が軍団の方を指差す

「せめて何を言いたいか聞いてから、それからでも遅くないよ!」

…

スッ…

「あなたの望み通りです!」コウカが剣を収め、体を引く

「何を言いたいんですか?」私が軍団の方を振り返る

………

ガシャン…

「聞いてくれてありがとうございます!」緑の者が手を下げ、顔を上げる

「どうか見ててください!」緑の者が後ろの軍団を指差す

…

「私たちは全員、武器を捨てました……」

「あなたの仕掛けた罠のせいで、逃げる力も失っています……」

「だから、どうか寛大に、私たちを許してください……」

…

ドス…ドス…

「なぜそんなことをしなければならないんです?」コウカが進み寄る

「戦争を始めたのはあなたたちじゃないですか?」

「巻き込まれた人間たちのことなんて考えたことがあるんですか?」

「私たちを壊滅させてから、謝れば済むと思ってるんですか?」

…

すっ…

「それは分かっています……」緑の者が頭を深く下げる

「でも私たちは命令に従っていただけです。」

…

ギシッ!

「そんな言い訳が通じると思っているのか!」コウカが緑の者の服を掴む

「その言い訳がどれだけ馬鹿げているか分かっているのか?」

「コウカ、落ち着いて!」私がコウカに手を伸ばす

…

「命令だから……命令だから……」コウカが小さく唇を動かす

…

「じゃあ、命令で同僚を皆殺しにしろと言われたら、それもやるのか?」コウカが緑の者の顔に自分の顔を近づける

「上官が家族を売れと、家族を裏切れと命じたら……」

「自殺しろと命じられても……」

「お前たちはただ従うだけなのか?」

「それが命令だからか?」

…

ギュッ…

「その言葉を否定できません……」緑の者がコウカの手を握り、軍団の方を見る

「でも、私は彼ら全員をそんな末路にさせるわけにはいかない!」

…

「だから……」緑の者がコウカを見る

「私一人で彼らの分まで背負わせてください!」

…

ガッ!

「何を言ってるんですか!」一人の白い鎧が手を前に出す

「自分の命を安売りするなんてできません!」

「あなたは私たちみたいな安い命より大事なんです!」

…

「だからこそ、残るのは私だ!」緑の者が軍団を振り返る

「でも……」白い鎧が手を伸ばす

「これは命令だ!もう一言も言うな!」緑の者が手を振り払う

…

カタ…カタ…

白い鎧たちが震え始める……

地面を握る手……

緑の者から目を離さない視線……

…

「聞きましたね……」緑の者が私たちを振り返る

「私の命は彼らより価値がある……」

「だから私一人だけを捕らえてください……」

「私だけで……他の者は行かせてください……」

「彼らにはまだ家族がいて、帰る理由があるんです……」

…

「トガミ様、どうなさいますか?」コウカが私を振り返る

「でもこれは……私……私……」

「この決定は、あなたにお任せします。」コウカが私を見て微笑む

…

「お願いです……お願いします……」緑の者が私を見る

「私一人で十分です……」

「ここにいる人たちを許してください!」

……

ゴウン…ドス…ドス…

上から土石が崩れ落ちる……

霧の下から黒い影が徐々に姿を現す……

赤い目がコウカの方を向く……

…

ズドン!

黒い塊が私たちに向かって飛び込んでくる……

………

ガッ――バキン!

夜の中に青い光が輝く……

光の軌跡が鎧を着けた者たちに向かって飛ぶ……

白い鎧たちが頭を逸らす……

緑の者がまっすぐ私を見つめる……

………………

ガキィン!!

火花があちこちに飛び散る……

振り返る視線たち……

巨大な獣の腕が襲いかかり……

そして青い剣が……

緑の者と一緒に爪を切り裂く……

…

はぁ……はぁ……

「せめて……もう少し慎重にしろよ……レン……」私は体を屈めて剣を固く握る

「ハル?何してるんだここで?」レンが目を丸くしてスクリーンを見る

「ずっとここにいたよ、他にどこにいるんだよ?」私はなんとか体を起こす

…

「でも、スクリーンには……」レンが操縦席の周りを見る

「この周り全部敵だって表示されてる。」

…

「…」私は周りを見る

白い鎧たちが地面に伏せて、動かないようにしている……

緑の者は今、片隅に倒れて、手が動かない……

コウカが周りを歩き、私たちの方を見ている……

…

「ここに誰かいるわけないだろ!」私は倒れている白い鎧たちを指差す

「全部倒された奴らが伏せてるだけだよ!」

「ここにいるのは私とコウカだけだよ!」

……

「でも、このスクリーンには……」レンが顎に手を当てる

「見せてくれ、ガキ!」男が手を伸ばしてスクリーンを受け取る

…

「なるほど!」男が顎に手を当てる

「システムが熱源多すぎてちょっとノイズ入っただけだ!」

「そんなことでエラー出るのかよ?」レンが目を細めて男を見る

「当たり前だろ!機械だって調子悪い時はある!」

…

ギギ…

「さあ、続けるぞガキ!」男が機械の頭を向ける

「戦場は誰も待ってくれない!」

…

「ごめんねハル!」レンがスクリーンを見る

「ちょっとしたエラーで、君を敵だと勘違いしちゃった!」

「エラーって、危うく私を殺すところだっただろ!」私は目を細めてレンを見る

…

さっ…さっ…

「ごめんって!怒らないでよ!」レンが両手を叩き合わせる

「この後終わったらお詫びするから!」

「君は……」私は目を細める

「もう、用事あるなら早く行けよ!」

「後で話すから!」

…

ウィーン……ザッ……

獣の腕が徐々に霧煙に溶けていく……

赤く輝く目が徐々に離れていく……

………

ト…ト…ザッ……

道の上の砂利を踏みながら……

私の足音がゆっくり近づいていく……

…

スッ…

「もう大丈夫だよ……」私が緑の者の兜を外す

平凡な顔、青緑の瞳……

短い髪に、金と黒が混じっている……

…

「なぜ……君はそんなことを……?」緑の者が目を丸くして私を見る

「なぜ……私たちに怒らないんだ……?」

「君はそんなことする必要なんてなかったのに?」

…

「なぜって?」私が頭に手をやり、微笑む

「私にもよく分からないよ!」

「でも、今の皆さんを見てたら……」

「どうしてもできなくて……」

……

シュッ!シュッ!

私たちの横で光の筋が閃く……

鎧の破片があちこちに落ちる……

そして驚いた顔たちがこちらを見る……

…

「考えが変わる前に、早く行くんだ!」コウカが顔を逸らして言う

……

すっ……

とん……

「どうかお名前を教えてください!」緑の者が立ち上がり、私の肩に軽く触れる

「ハル……トガミ・ハル……」私が緑の者を見て微笑む

「あそこに立ってるのはホシマ・コウカ」私がコウカを指差す

…

「トガミ……なるほど……」緑の者が小さく唇を動かす

…

「私はナエリス、ナエリス・ヴァレス。」緑の者が体を屈め、胸に手を当てる

「ヴァレス家の長男、12部族の代表です。」

「今日、あなたたちがしてくれたこと……」

「私たちは絶対に忘れません!」

………

ザッ…ザッ…

人々がゆっくりと遠くの川の方へ進んでいく……

背を屈めて、隅に隠れようとする……

…

チャプ…チャプ…

川面に波紋が広がる……

人影が徐々に薄れていく……

緑の者の視線は私たちを見つめたまま……

軍団が全員水の中へ消えるまで……

……………………………………………

ふっ…

「やっぱり君はあの人たちに似てるね……」コウカが私を見て微笑み、小さく唇を動かす

「どうかしたの、コウカ?」私がコウカを振り返る

「いえ、何でもありません、トガミ様!」コウカが私に手を差し出す

「剣を返してもらえますか。」

「あ、はい!すみません!」私が飛び上がって、剣をコウカに返す

…

ト…ト…

「そんなに反応しなくてもいいんですよ、トガミ様!」コウカが道を振り返り、二本の剣を握りしめる

「どうせ預かってただけですから!」

……

ズガガガガッ!!

ガラガラガラガラ!!

軍団が通った道が突然崩れ落ちる……

周囲のビルが次々と倒壊する……

土があちこちに飛び散る……

薄い埃があらゆる道に広がっていく……

…

「コウカ……」私が立ち尽くし、目を丸くする

「どうしてこんなことを?」

「もちろん、あなたのためですよ、トガミ様!」コウカが私を見て微笑む

「もし誰かに、あなたが敵を逃がしたと知られたら、面倒なことになりますから!」

………………………………………………………………………………………………………………

煙の向こう側から……

まだ炎が燃え盛る場所で……

…

「どうやら……結果が出たみたいですね?」シノミが黄金の者を見る

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