終章・秘めたる想い
1
戻ってきたとき、周瑾の姿は大量の花びらにかわっていた。
「この花びらが周瑾の化身?」
孫登はつぶやいて、花びらの山をしばらく見つめたが、その考えを強く頭を振って否定する。
「ばかか、子英は人だ。幻のはずがない」
花山を一握りして、風が吹き込む窓をみやる。
(きっとこの窓から逃げたに違いない)
強い風が吹き込んで千々(ちぢ)と花吹雪を散らせた。
孫登はとりあえず、家人に周瑾の行方をたずねまわった。
けれどだれも「知らない」と返るばかりか「庶子などいない」という。
院庭に出て姿を探したがやはり見あたらない。
冷えた夜風が焦る気持ちをいやにあおった。
(もしかしたら、もう二度と私の前に現れないのかもしれない)
掴むことのできない春風のように温もりだけを残して去ってしまう。
ギュッと胸の衣をつかむ。
「君は、」
(どこに…)
不安に押しつぶされ心苦しく呟いたとき。
「子高さま?」
涼やかな声に呼びかけられてハッとふりむく。
線が細く、白い頬に触れれば儚く柔らげに融けいってしまう淡雪のような少女……周薔。
活発で、力強い美しさを持つ周瑾とは正反対だというのに……。
思わず彼女の顔を見入ってしまう。周瑾と似たところを見つけて。
彼女は息を整えて心配そうにこちらに近づく途中、足がもたれてその場にしゃがみ、孫登は慌てて周薔を支えた。
「出歩いて平気なのですか、薔姫…」
「ええ、子高さまの姿が見えて…出てきたのです。でもなぜ、このようなところにおられるのですか?」
不思議そうに訊く周薔に孫登は困ったように話した。
「私は、子英を探していたのですが、……薔姫は子英を知りませんか?」
「瑾兄さまを、ですか?」
周薔の言葉で周瑾が存在していることを知り、焦りが少し和らぐ。
孫登は周瑾が怪我を負ったことを告げた。
当然、周薔はおどろき憂いたが、意外にも心配ないと毅く微笑む。
「ふふ、瑾兄さまは不死身ですから心配はいりませんわ。しばらくしたらきっとひょっこり現れるんじゃないかしら?」
「でも……」
「心配ですか?」
「当たり前です。子英に何かあったら私は気がおかしくなってしまう。子英は私の魂の片割れ。兄弟以上の存在だから…、子英の心の拠になりたい、理解したいと思っているんです。いえ、ただそばにいてほしいだけかもしれません。なにも見返りはいらないから…」
周薔に横顔をじっと探るようにみつめられ孫登は急に照れくさく感じ、視線をそらす。
周薔はクスクス笑って、つと…濃いまつげに瞳をふせた。
「…あなたにとても大切に思われているんですもの、……ふふ、今の言葉を瑾兄さまに伝えたら嬉しくてすぐにでも現れるんじゃないかしら?」
周薔はそっと孫登の手をとり自分の頬にあてた。
「ね、信じてあげて、周瑾はいるのだと、思い続ければいついつまでもそばにいると……」
「あなたは……、不思議なことをいう。まるで、子英が幻のように」
「もしかしたら、そうかもしれませんわね……」
このときほど、この佳人が淡く消え入る笑みを浮かべことはない。
「あの、」
「薔姫、どこにおられますか!」
孫登の言葉をさえぎって、家僕が周薔を呼ぶ。
「なにごとです?」
「太君が」
周薔は蒂花の容態が悪化したと報をうけると青ざめ母の元へと駆けていった。
2
周薔は母の手を握った。
「すごい熱い……」
瞳は虚ろで、荒い呼吸を繰り返し、「公瑾さま、公瑾さま」と儚く声を紡ぐ。
「しっかりして、母さまっ、医師、母さまをどうか……!」
そばにいた医師は残念そうに首を振るのをみて、血の気がサッとひいた。
「そんなっ! だめ、逝ってはダメ! 置いていかないでお願い!」
周薔は悲鳴をあげて母にすがった。
そばにいて欲しい、母さまに死んで欲しくない。
父の元にいけないと、泣かせてしまうかもしれない、でも!
(それでもかまわないっ!)
母さまに生きていてほしいという私の願いは変わらない!
その時、やさしい風が周薔の頬をなでた。
(この風は、父さま……?)
顔をあげると、周瑜が優しい、けれど少し困った顔で母の枕元に立って愛しげに母の額を優しく撫でる。
すると母の呼吸が細くなり、安らかな面が広がった。
(母さまを連れて行こうとしているの?)
そう口に出したわけではないのに……周瑜は曖昧に首を傾げた。
『さあ、どうしよう』と。
周薔は母に覆いかぶさって叫んだ。
「いやっ! 母さまを連れて行かないで! 父さま!」
(お願い!)
周瑜は微笑む。
その笑みの意味は……。
意識が一瞬のうちに暗転した。
そして。
「……薔姫、大丈夫ですか、薔姫」
「え……っ?」
孫登に起こされて瞼をあけた。
なぜ寝台に横になっているのかわからなかった。けれど母の室でないことを知って青ざめる。
「母さまは、母さまはっ!」
「太君はなんとかもち堪えましたよ」
「ほ、本当に?」
「ええ、医師も驚いていた、奇跡だと」
「よ、よかったぁ……」
ホッとして、あたりを見渡し、格子窓からさし込む白い光に目を細めた。
「どうして朝になっているの? 私、どうして……?」
「突然、気絶なさったのです。気分はいかがですか?」
孫登は水を周薔に手渡しながら経緯を説明してくれた。
周薔が突然叫んで気絶した後、蒂花の呼吸が落ち着き、熱も下がったことを。
けれど今度は姫が倒れたことで少々混乱を招いたようだった。そして周薔を運んだのは孫登で、意識が戻るまでそばにいてくれたらしい。
周薔は、コクコクと水を飲み干す。
スッと口内が潤う。
息をついた先に孫登と目があって慌てて視線をそらした。
「薔姫、よく顔を見せてください」
周薔の頬に孫登は触れ、さらに見つめた。澄んだ双眸に自分が映る。
戸惑っている自分が…。
「やはり、子英と似てますね、ついみは入ってしまう」
「ま、まぁ…そんな…み、見つめられるとはずかしいですわ……」
(な、なに口説きにはいってるんだぁ!)
内心ハラハラしてその手を払いのける。
払いのける、と言っても、手をやんわりとつつみ、粗相の無いように。
目をあわせないように床に視線を落とすと孫登はさらに含み笑う。
「かわいい人だ」
「え?」
ドキっ…と胸が高鳴なる。
周瑾にはそんな言葉をかけてくれたことがない。
(当たり前だ)
可愛いという男は兄しか適しない気がするし、男のふりをしているのだから。
でも、その言葉で耳までジン…っ、とあつくなっていく。
「周家の華と歌われるあなたにこうしてお会いできて、そしてお話しができてよかったと思います。……この手に融けてしまいそうな印象を最初は持ちましたけれど……」
「私は消えませんわ。ほら、あなたの暖かい手にふれても消えないでしょう?」
「ええ、あなたは私の前から消えない。とても安心できる」
いつもの、穏やかな笑顔がそこにある。
(今、子高は私を真正面から見つめていてくれている)
周瑾ではない、周薔を。
(本当の私を)
刹那、熱い涙がはらはらとこぼれる。
周瑾ではない周薔を孫登は私を受け入れてくれる。
それがたまらなく嬉しくて……。
「薔姫、いったいどうし、」
「な、なんでもないです。なんでもっ」
「なんでもなくはないでしょう? ああ、すみませんっ」
孫登は周薔の頬に触る手を引っ込めようとしたが、その手を周薔はつかみ頬に重ね押し当てとどめた。
「おねがい。しばらく、このままで……」
「薔姫、」
孫登は周薔を抱き寄せ、ためらいがちに背をなぜた。
(ここちよい……)
兄弟として、敬愛できる人間として対等と話せる心許せる存在ものとして。魂の片割れとして愛しているのだと思っていたのは、周瑾としての想いだ。
女の…周薔の気持ちは……。
(私は子高が好き…)
子高なら周瑾も周薔もすべて受け入れてくれる。
「……おちつきましたか?」
「はい…」
周薔は頷いて孫登から離れ、涙の跡あとを拭って毅然と顔を上げた。
「私、母の容態をたしかめに行きます、やっぱり自分の目でたしかめないと心配ですもの」
周薔は母の室へと早足に向かい、ひとり残された孫登は周薔の温もりと香りの余韻を抱きしめるように肩を抱きしめた。
3
「あら、阿薔。おはよう」
母は柔らに微笑んでくれた。
(……え?)
『阿薔』と耳あたり優しく呼ぶ声に周薔は目を瞬き、淡い陽射しをうける母を凝視した。
いつもだったら、その瞳に私でなく父さまを映しているから……。
(いったい、なにがどうなっているの?)
「阿薔? どうしたのです、はやくそばに来なさい」
「あ、いえ、その……はい。か、母さまご気分は?」
「とってもいいのよ」
昨日まで、生きることに飽きていた。
なのに、明るい声でそう返してくれた。
もの心ついたときから母さまは狂っていた。
だからこんなに明るい母を見るのは初めてで戸惑うなという方がムリ。
でも。
「母さま…」
周薔はためらいがちに母の手にそっと重ねた。
「……なぁに?」
母は微笑んで抱き寄せ髪を愛しく梳く。
やさしく柔らかい母の温もり、手と声。
突然、堪えていた感情が堰を切って流れ出した。
「母さまっ、母さまっ……!」
周薔は精一杯、母の腰に手を回して抱きついた。
母は戸惑って目を瞬く。
「阿薔?」
「少しの間、抱きしめて欲しいんです」
お願いです。
その言葉は嗚咽でかき消される。
「……まぁ、突然どうしたの? 甘えん坊さんね、阿薔は」
母はクスクス笑って周薔の肩をやさしく叩てくれた。
(母さま、母さま、……母さま)
ずっと欲しかった優しい温もりに浸り、まるで幼子になった気分で抱きしめられた。
でも、いまはそれが許される。
母も何も言わずに優しく撫でてくれた。
「……母さま、父さまのことは?」
訊いた瞬間、後悔する。
こうして正気を取り戻したのに再び狂わせるようなことを訊いてしまった……。
罪悪感と後悔の波が押し寄せるが……。
「愛してるわ、」
柔らかに返事をくれた。
母は遠く西に目をやり、
「いまは戦にでかけていらっしゃるけれど、遠く離れても、でも心は繋がっているもの」
(戦にでている? 蜀との戦のことをいっているの?)
「公瑾さまは必ず帰っていらっしゃるもの、ほらこの当帰をみて…、」
窓辺に、白い花が沢山ついた香りの良い当帰が飾られている。
当帰。
伯母がよく母に飲ませていた薬。
この草花は母の体調を良くする薬たけれど、飾ってみると別の趣がある。
母は花弁に白い指先をのばした。
「この当帰はね、花言葉があるの。想人がかならず帰ってくるという……」
もともと当帰は呪草で、この戦乱の世でよく使われる花呪い。
人を招き寄せるには当帰をもってす。
戦から無事に帰ってくるようにと恋人や夫を想って贈ったり飾ったりする花。
(もしかして母さまは……)
「だから、かならず、夫君は帰ってくるの」
母は周瑜が死んだという事実。
夫を殺したという記憶を失っていた。
4
「いいことなのかしら……」
母が正気を取り戻したと思えばいいのかもしれない。
けれど不安が前より、大きくなったようで怖い。
それは第一に父のこと。
もし周瑜が死んでいると解ったらまた、母は悲しみにくれる。
だからそのことは触れないように家僕たちに強く注意しておいた。
室に戻ってから周薔は孫登にそのことを説明して訊く。
「子高さまはどうおもいますか?」
孫登なら、なにかよい助言をくれるかも…と思った。
(ちがう、ただ聞いて欲しかっただけ……)
孫登は真剣に考えて結論をくれた。
「よいことだとおもうよ私は、正直ホッとしている。私の義母のように儚くなることはないだろうから……悪いことではない。
今度は自らの手で殺したという記憶が抜け落ちているなら、すこし状況が違うとおもうから…」
「そうだね……、えっと、はい、そうですわね」
すこし地がでて周薔はあわてて言い直した。
「君は初めてあったときは、なんて儚い人なんだとおもったけれど話しているうちに子英と似いると感じる。毅然として、真っ直ぐで……」
「あ、瑾兄さまの影響かもしれないですわね」
内心、冷や汗をかく。
(いつになく、妙に確信的なこというなぁ、子高……、)
話をすり替えようと思ってふいに、脈略のないことがうかんだ。
「……もしかしたら父が母の辛い記憶を消してくれたのかもしれない」
月光をまとう父の姿、そして母の枕元もとに立って見つめいていた父……。
そうか、あの時、父は母の記憶を……。
(辛い記憶を消して……くれたんだ)
不思議だけど、そう考えるとしっくりとくる。
孫登は「そうかもしれない」と同意してみせるけど脈略のないことなので本当は信じてはいないよう。
周薔もそれを信じさせる気はおきない。
クスクスと笑って、父に感謝する。
(あのとき父さまは母さまの願い通り迎えにきたのかもしれない)
母はずっと死んで父のもとに寄り添そいたいと願っていた。
でも父さまは、私の願いを聞き入れ、母の辛い過去をけしてくれたんだ…。
愛する者が生きていると信じている母。
その前向きに生きようとする姿勢は、魅力的で明るい。
父が心から愛したのがわかる気がした。
「……いつか、私も愛する人を思いつつけて、母さまみたいになる時がくるのだろうか?」
そう呟いて悲しく、切なくなる。
(きっとそうなる……私は伯母のように強くはない)
周薔は気持ちを切り替え、孫登にずっと前から聞きたかったことを訊ねた。
「子高さまにはただ一人と心に決めた女性がはいらっしゃいますか?」
「ええ、いますよ」
その即答に胸が痛い。
周薔は歪む口元を袖そでで隠して笑う。
「うらやましいですわ、そんなひとがいるなんて」
「……うらやましい?」
「だって。あなたは堅実で思いやりがある方で……なんといってもやさしいんですもの。正直私はあなたに惹かれていたのですよ。兄様の言ったとおりの方で」
寂しげに流し目をおくる。
「是非会いたくて、あのとき…循兄さまについてきたのです。でも私の想いなど忘れてください」
「そんな忘れるだなんてできない、とても嬉しい!!」
孫登は周薔を引き寄せ腕の中にとじこめた。
「!」
「まったく、君はいじらしい」
「し、子高さまっ、」
「……まだ、隠し通すつもり? 私はもう、しらを切るのをやめた」
「な…なんのことです、の…?」
さらに強く抱きすくめられ、鼓動が早鐘を打つ。
「君は子英、だろう?」
字を耳元で囁かれて、ドキン…ッと胸の鼓動が弾けた。
しだい、何も考えられなくなって呆然とした頭で、訊く。
「子高、もしかして、知って、たの?」
「ああ、知っていた」
その声は含みがあって今にも吹き出しそう。
怒りがつらつらと込みあがってくる。
「……いつから、いつから知ってたんだよ!」
「あはは、やっと、地がでてきたね」
「はぐらかすなよ」
孫登をぐい、と押しのける。
でも自由になれる範囲は孫登の腕の長さ分。
「いつから? もしかしてずっと前から?」
初めてあったときか、それとも再会を果たしたとき?
(もしかして諸葛恪が正体をばらしていたのか?)
なら、池に落とされたとき孫登が助けてくれたのも、湯浴みを垣間見としたのも納得がいく。
(そのときからばれていたんだ)
けれど孫登はちょっと情けなく頬をかく。
「実は、君を追う前に張公から教えてもらった」
「張公は気づいていたのかぁ。……って、つい最近! 鈍すぎ! もうちょっとはやくに気づいていても良かったんじゃないか!」
「君にいわれたくないよ。一見、少年ぽい周瑾きみのどこにおしとやかさがあった?」
「それは、」
言葉に詰まってしまう。
自分の本性はどちらかといえば周瑾にあって、女らしいとはいえない。
「あはは。……まあ、実際に確信が持てたのはあらためて君の無防備な寝顔と、」
孫登は周薔の手をとって開かせる。
「この掌の傷を見るまで信じられなかったけど……袖でかくしているこの手は、剣を操る者の手、そしてこの掌の傷は君の戒めでつくった傷だね」
孫登はそっと周薔の肩を触った。
「肩の傷は?」
心配そうに問う孫登に周薔は大丈夫とつげた。
それより触れてくる大きな手が異様に熱い。。
「た、たいした傷じゃないし、そのあの、そろそろ離してくれない?……恥ずかしいから」
「離したくない」
再び強く抱きしめられて身動きができなくなる。
「だって君はいつも私をおいて…逃げるじゃないか」
「そ、それは……」
「それは?」
顔を伏せぽつりと呟く。
「……だって…ばれたくなかったんだもの。周瑾じゃないって」
「どうして?」
「義兄弟という関係を壊したくなかった。もういつものようにあえなく…そばにいられなくなる……それがいやで」
孫登に見つめられて言葉がつづけられず、顔を伏せた。
「……」
「子英」
字を呼ばれてふ…、と顔を上げた瞬間、唇を唇で軽くふさがれた。
周薔の頬にかかるほつれ毛を耳にかけるように触れ…、
「私は義兄弟という関係を、違う形に変えたい」
「子高……」
「私も子英と気持ちだったんだ。
私は、君にこの特別な恋情抱いて、表に出ないよう抑えてきた……だって君を男だとおもっていたし、いくら何でもこの気持ちを打ち明けたら子英に軽蔑されるだろうとおもって。もちろん、周薔にも好意を抱いたけど……でも私はただ一人を愛したかったから。それならずっと義兄弟のままでいいと思っていた。
でも、もうその必要はない。
私は『周 子英』…君に自身にずっと惹かれていたのだから。活発な君も、おしとやかな君も……『周 子英』に違いない。全部含めて君を愛してる。……子英、返事を聞かせてくれる?」
周薔は孫登の背に腕を精一杯まわして抱きしめた。
★
桃之夭夭
灼灼其華
之子于帰
宜其室家
孫登は懐かしい人の歌声を聞いてハッと振り返っただけれど誰もいない。
だけれど『我が娘を宜しく』と、周瑜に頼まれた気がして。
孫登は強く頷いて周薔を優しく抱きしめた。
了
2003年~2004年ごろに書いたものです。
周瑜の死の謎から生まれ、ふと小喬さんが殺したのでは…? と脈略のないことが浮かんだのですが、なんか妙に納得したら無性に書きたくなりまして。
そしたら、周瑾が生まれました。
一応武門の娘なので剣は習っていたかもしれない、有言実行の周瑜…その性格を受け継いでいたら……?
そしたらああいう性格になりました。
そしてもうひとつの謎、孫登です。
孫権の長男で、実際は周瑜の娘と同い年ぐらいだと思いますが(逆算すると209年生まれ)、しかし長男って202年以前にいなかったか?
袁一族の掃討に明け暮れるころ、曹操は孫呉に人質要求をしていて、孫権の息子を曹操に送るかどうか会議があり、孫権は息子と周瑜をつれて母・呉夫人に相談いくエピソードがある(本文参考)のですが……え? その子は長男じゃないんですか? という謎が生まれて今作の孫登が生まれました。なので年齢があがってます。
そうするといろいろ納得するところがでてくるんです(自分的に)。
なぜ、孫和を太子に推したかとか、
孫登が父を諌められる存在だったとか……。
そして孫登の生母が卑しい身分だったとか……。
かなり若い時にできた子供だとすれば……。
■都合がいいように■
今作は孫登の年齢といい、本拠地といい、小喬さんのことといい、物語をすすめるために都合のよいように書いてます。
本拠地はこの時点でまだ『武昌』なんですよね……ふふふ。でも建業のほうがどこにあるかわかりやすいとおもい、建業にしました。まだ呉王という設定なのに。ちなみに武昌は孫登太子になったとき守備を命じられてます。
まあ、演義もほかの小説も捏造はたたありますし、これは歴史メインではないものなので……。
ほんとうに三国志好きなひとは こういう小説は受け入れられない部分もあるとおもいますが、大目に見てください。
私も気持分かりますので。
そしてこの作品が少しでも心にのこることを祈ります。
 




