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ゲームで全てが決まる社交界で、婚約破棄された令嬢は本気を出します。  作者: 羽羽樹 壱理


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2/3

【遊】

 社交界の動かしがたい序列(カースト)は、美醜で左右される価値ではなく、ましてや生まれや、八方円満の才ですらそれを決するものではなかった。


 すべては遊戯《ゲーム》で決定づけられる。


【王都《おうと》大遊宴《だいゆうえん》】、その宵《よい》の晩《ばん》で決まるは、社交界における絶対的な階級序列。僅かな上下にも隔絶を生み出す試《こころ》みの敷かれた、階級社会における位《くらい》を【社交階位】と呼び、その存続を賭けて戦う。全てが一夜で変動する晩餐会、カーストという表現は、そのような意味では誤りでしかないだろう。


 今宵の【王都《おうと》大遊宴《だいゆうえん》】でも、確実に言える、誰かが笑い、誰かが失する。


「今晩は久しぶりに、ゆっくりと衣装を選ぶ時間があったよ。実に気持ちのよい晩だな」


 今宵開かれる大遊宴、その遊戯者《アクター》の一人が姿を見せる。


 レオン2274は悠然とした余裕で遊戯宮《ソサエティ》の舞台袖に上がると、人の不幸を我が身の幸いとして味わうような笑みを湛えて、相まみえる遊戯者《アクター》を待った。



◇



「ミズコ032様」


 遊戯宮《ソサエティ》を一望する広大な観覧席のうち、全てを見下ろすように据えられたひときわ高き一席にて、小さな会話が交わされていた。


 発光の青色が一筋を描く、綺麗に髪の揃えられた女性は、どう見受けても退屈を露わにしていた。後ろから話しかける仮面の男にも、気もそぞろに興味を示していない。


 そんな女性へ、仮面の男は微笑んで語りかける。


「今宵は、面白きものが見られることと存じます」


 仮面の男がそのように言うことは珍しい事であったのか、高みに腰かける女性は僅かに興味を示したように、遊戯宮《ソサエティ》を見下ろした。


「今夜は誰が戦うのだったかしらぁ?」


「はい、社交階位は14位のレオン2274と、社交階位は137位、――――アコ5250による双人遊宴《デュエット》です」


「……アコ5250?」


 仮面の男は、表情深《ひょうじょうぶか》く、微笑んだ。


 その時、遊戯宮《ソサエティ》に、もう一人の主役である遊戯者《アクター》が現れた。


 どうにもその無表情が、どのようにも見える女だった。




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