【遊】
社交界の動かしがたい序列は、美醜で左右される価値ではなく、ましてや生まれや、八方円満の才ですらそれを決するものではなかった。
すべては遊戯で決定づけられる。
【王都大遊宴】、その宵の晩で決まるは、社交界における絶対的な階級序列。僅かな上下にも隔絶を生み出す試みの敷かれた、階級社会における位を【社交階位】と呼び、その存続を賭けて戦う。全てが一夜で変動する晩餐会、カーストという表現は、そのような意味では誤りでしかないだろう。
今宵の【王都大遊宴】でも、確実に言える、誰かが笑い、誰かが失する。
「今晩は久しぶりに、ゆっくりと衣装を選ぶ時間があったよ。実に気持ちのよい晩だな」
今宵開かれる大遊宴、その遊戯者の一人が姿を見せる。
レオン2274は悠然とした余裕で遊戯宮の舞台袖に上がると、人の不幸を我が身の幸いとして味わうような笑みを湛えて、相まみえる遊戯者を待った。
◇
「ミズコ032様」
遊戯宮を一望する広大な観覧席のうち、全てを見下ろすように据えられたひときわ高き一席にて、小さな会話が交わされていた。
発光の青色が一筋を描く、綺麗に髪の揃えられた女性は、どう見受けても退屈を露わにしていた。後ろから話しかける仮面の男にも、気もそぞろに興味を示していない。
そんな女性へ、仮面の男は微笑んで語りかける。
「今宵は、面白きものが見られることと存じます」
仮面の男がそのように言うことは珍しい事であったのか、高みに腰かける女性は僅かに興味を示したように、遊戯宮を見下ろした。
「今夜は誰が戦うのだったかしらぁ?」
「はい、社交階位は14位のレオン2274と、社交階位は137位、――――アコ5250による双人遊宴です」
「……アコ5250?」
仮面の男は、表情深く、微笑んだ。
その時、遊戯宮に、もう一人の主役である遊戯者が現れた。
どうにもその無表情が、どのようにも見える女だった。




