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巫女塚伝説  作者: 由紀乃
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第五幕 ウソツキはだあれ?




『ねえ、○○様。私って変なのかな?村の人たちが私はおかしいっていうの』

ぐすぐすと泣く私にそっと誰かが頭を撫でてくれる。


『…………………………』


『え?○○様のお屋敷に?でも、迷惑だよ』


『……………………』


『……いいの?本当に?』


これは誰の記憶?

私は見覚えがない。となると、これは誰かの記憶だと思うしかない。





「小野寺さん!」


「っ!?」

はっと目を開けるとそこには神田と深山が心配そうに見つめている。


「ああ、よかった!目を覚ましたのですね!!」


「……っ、わ、わたし。けほっ」


「ちょっと、待っててくださいね。お水を貰ってきます」


深山が立ち上がって、何処かへと行く。

天井を見て、ここが自分が泊っている部屋だとやっとわかった。


「良かった。小野寺さん」


ほっと安堵する彼の様子を見ながら、どうして自分が戻ってきたのかを聞いてみた。


「あの後、風が止んだら小野寺さんがいなくなっていて急いで教授と合流して探し回った

んだ。そしたら、山奥にある湖で意識を失った君が浮かんでいるのを見つけたと聞いてね」


丸一日寝ていたんだよと説明してくれた。


「命に別状は無いって本当に良かった」

そう彼は言ってくれた。


………………そうか。私はあの可笑しな空間から出れたのか。

ぼんやりと手のひらを見ると包帯を巻かれている。


「でも、服がボロボロで切り傷があちこちにあったんだ。まるでずっと走っていたみたいだって」

…………………………夢じゃない。


「……他のみんなは?」


「……………………残念だけど、見つかってないんだ」


そう言って、なにか言いづらそうにしている彼の様子に違和感を覚える。


「………………落ち着いて聞いてほしい。君を見つけたあとなんだけど、男性の体の一部が見つかったんだ」


「!?」


「恐らく、野生の動物に襲われたようだって村の人たちは言っていてね。今も、探してもらっているんだ」


そう話してくれた。


もしかして、あの遊戯に取り残されているの?


でも、確証がない。


そんな中、ノックする音がする。


「教授が戻ってきたようだね」


戸が開いて、中に入ってくる深山ともう一人の男性。


「初めまして、ここで医者をしている錦織翠(にしきおりみどり)と言います。君の意識が戻ったということで診に来たんだ」


長身で黒髪のロングヘアは三つ編みにして一纏めに結ばれており、緑色の瞳はこちらを見ている。白衣姿に診察用の鞄を持っている。

穏やかな表情と声音でそっと私の寝ている横に座る。

深山が持ってきた水を飲むために神田に補助してもらい起き上がる。


「熱は無いようだね。他に痛みはあるかい?」


「いえ」


「そうかい。とりあえず、痛み止めと塗り薬、包帯を処方するね」


他に何か違和感があったら言うんだよと言われて、こくりと頷く。


「骨折もしていないからゆっくりと休んで治すように」


「はい。ありがとうございます」


にこっと笑って、錦織は立ち上がる。


「処方箋は後で届けよう」


お大事にと言って出ていった。




「………………小野寺君。一体、何があったんだい?」


三人になり、深山が静かに聞いてくる。


「……………信じられないと思いますが、その」


神田とはぐれたあの時のことを話し出す。


遊戯と言われるのに巻き込まれたこと。少年と狼のこと。そして、四人がまだあの空間にいる可能性があること。

この世では考えられない現象に信じてもらえないだろうと思っていたが、二人は。


「……………それなら、五人が見つからないのも納得がいく」


「でも、そんなの有り得るんですか?」

深山が腕を組んで、何かを考えだす。


「……………彼らは祠を壊してしまった。そして、小野寺君が見たという狼を従えた少年」


「もしかして、伝承(あれ)のことを言っているんですか?」


「ええ、あの伝承に書かれているのと一致しているんです」

まさか、ありえない。


「狼……………。まさに少年の姿をして人間を誘い込み、嬲り殺す」


「……………じゃあ」


「本当に封印を解いてしまったのかもしれません。彼らは」


ああ、どうしてこうなってしまったのだろうか。


何とも言えない空気が漂う中、コンコンとまたノック音が聞こえてくる。


「すみません、本戸です。お見舞いに来たのですが、入ってもよろしいですか?」


その声にはっと我に返り、深山から先程の話はしないようにと釘を刺されて頷いてからどうぞと返事をする。

すると、本戸と花を持った小井木が入ってきた。



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