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巫女塚伝説  作者: 由紀乃
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31/32

15-2





「あんたがあいつの代わりになればいいのよ!」


「そ、それって」


村はずれまで日ノ巫女が涙子の元へやってきた。

一方的に話をしてきて、内容としては彼が村人たちから命を狙われていてその身代わりとして自分になれというものだ。

つまり、生贄だ。

ぶるぶると恐怖で体が震える。

しかし、そんなのお構いなしに彼女は続ける。


「そうすれば、あいつは生き延びることが出来る!身売りに出されるよりマシでしょ?」


「っ!!!」


「あーあー、あんたの命一つで助かるっていうのに」


身売りという言葉よりも、彼が、好きな人が、命を落とすことが何よりも衝撃を受けた。

ただの村娘な私に優しく、誰よりも愛おしそうに接してくれた方。

そんな人が死んでいいはずがない。



「――――――――――分かりました」


それが悲劇の始まりに過ぎなかった。






「……………るい、こ?涙子?涙子!?」

日ノ巫女からとある場所に来るようにと言われて、来てみたら……………。

村人たちは血まみれで中心には妖たちが集っており、そこから見える顔は……………。


目を閉じた涙子だった。


「~~~~~~~~~~~~っ!やめろ!その子を食べるな!!!」


彼女に駆け寄ろうとしたが村人たち拘束されて、解こうと暴れている中。



「それ、食べちゃっていいわよ」


「わーい」


「ああ、ようやくですか」


「血だけでもうまいな」


「ふふ、どこから食べようか」


「すみません。我が主」


「やめろ!彼女を食べるな!命令き……………!」


そこで村人の一人に猿ぐつわされる。そこからは目を背けたくなる光景が広がった。

彼女の血肉を喰らっていく妖たち。



烏は涙子の脳を。

狐は涙子の(はらわた)を。

狼は涙子の四肢を。

蛇は涙子の両目を。

鬼は涙子の心臓を。




そして、最後には血だまりしか残ってない。

彼女の体は全て妖たちに喰われた。



好きだった。


愛していた。


ここから出て、一緒に暮らそうって言ったのに。



なのに……………、なのにっ!!!


「あはは!これで邪魔者はいなくなったわ!あんたは一生、私の物よ!」

愉快そうに笑う日ノ巫女を呆然と見つめる。




この女のせいで、



愚かな村人のせいで、



欲望に囚われた妖のせいで、





カノジョハコロサレタ。




ああ、あああああ、ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!




そして、僕は人ならざるモノへと堕ちた。

妖たちを喰らい、村人を遊戯で殺し尽くし、あの女を一番惨めな死に方をさせた。でも、涙子を無くした胸の穴は埋まらないまま、法師に力の半分を奪われ、生と死の狭間に囚われた。

その中で幽楽の世(ゆうらくのよ)を作り、亡者の成り果てた村人を嬲り殺し続け、何年も何十年も何百年も待って待って……………、機会が来た。

愚かな村人の生き残りが封印の一部を解いてくれた。

おかげで再び、村人たちを遊戯に招き入れて、()()()()()、それからは涙子が再び生まれてきてもいいように準備を進めた。




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