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巫女塚伝説  作者: 由紀乃
3/12

第二幕 違和感


「ええ、実はこのお部屋だけ一人部屋にするようにと先代からの言われていることなのです。丁度、小野寺様がお一人ということでこちらのお部屋となりました」

にこにこと話をしてくれる女将に礼を言って荷物を持って部屋へと向かう。





部屋を開けるとそこに広がっているのは普通の部屋だった。

畳に木の飾り戸が付いた窓、床の間には松竹梅の掛け軸が飾られており、押し入れには布団が入っている。

別にどこか特別な物はなく、部屋の中に荷物を置き、部屋を出た。




―――――――ちりぃん。




「え?」




鈴の音が聴こえた。

振り返ると鈴が落ちている。

小さな鈴、赤と白の飾り紐で繋がれている。


「旅館の人のかな?」


しゃがみ込んで鈴を拾う。

じっと見ていると廊下から声がしてくる。


「小野寺さ―――ん、まだぁ?」


ゼミの子であろう。

ズボンのポケットの中に鈴を入れて部屋に鍵を閉めて急いで向かった。







図書館と言ってもそんなに大きい建物ではない。

設備は村の中では一番ハイテクだ。

本に関しては最新の書籍まで揃っている。


「ここには『巫女塚伝説』の原文もあり、保管にはかなり力を入れているのですよ」


機材等を降ろすのを手伝ってくれる本戸がそう説明してくれる。

そうなんですかぁと猫撫で声で話を聞いている女子学生たち。

そんな中、機材を運ぶ私と他のゼミ生たち。


「機材はこれでいいね。では研究を始めよう」


「はーい」


機材を運び終えて設置も完了したところで漸く研究を始めることができる。

まずは原文を写真でとり、また、その時代の人々の暮らし方や文化に関しての書籍を探してくる。


「……………巫女に関しての書籍がない」


書籍を探している中でふと気になることが出てきた。

『巫女塚伝説』や村の歴史などの書籍は多くあるのに二人の巫女に関しての本が無いのだ。

巫女に関しては他の書籍の中でも出てくるのは出てくるのだが、名前、誕生日、家系図等の詳細には記されていない。

これでは研究にならないのではと考えていると耳元に声が流れ込んでくる。


「おや、気づかれましたか?」


「!?」


ばっと振り返るとそこにはにこりと笑う本戸の姿があった。

ただ、その姿を見て一瞬寒気が走る。

それは無意識だろうか。今いる相手が怖くて仕方が無いのだ。


「ああ、すみません。驚かせてしまいましたか」


そんなに驚くとは思ってみませんでしたと謝ってくる彼に涙は我に返り、慌てて頭を下げた。


「い、いえ。こちらこそ、すみません」


「ふふっ、大丈夫ですよ。それよりも巫女に関する書物についてですが、かなり貴重な物ですので村長宅にあります」


「そう、なんですか……………」


「ああ、それと村の歴史や家系図も全部村長宅にあるんですよ」


ですが、個人情報もありますので内密でお願いしますねと言われて、ぎこちなく頷いた。

ありがとうございますと礼を言い、にっこりと笑う彼の顔に違和感を覚えてしまった。

どう変なのかが分からないが何だか変だ。


「本戸さぁん、今いいですかぁ」


そんな中、ゼミ生の一人が本戸のことを呼んでいる。

だが、一瞬彼の目が冷えたように見えた。


「今行きます」


「…………………………」





どうしてだろう。一刻も早くここを離れたいと思ってしまうのは。









そして、只今、一人で作業をしている。

何故一人なんだというと私以外のゼミ生がサボったからです。


「こんな地味で面倒な仕事は小野寺さんに任せるわぁ」


「一人でいいでしょ?」


「俺らはちょっと周りを調査してくるから」


と言った感じで全員がいなくなった。

まあ、周りがいないことが楽ではあるけど。

教授である深山や神田は用があると言ってこの場にはいない。

一人で書物の内容をデータ化しているのだが、量が多い。

今日中では終わらないなとはあと溜息を付いたその時だった。


「お姉ちゃん、だあれ?」


「!?」


ばっと勢いよく後ろを振り返るとそこには少年が一人立っていた。

灰色の髪、金色の瞳の色白で目立つような容姿。


「こら、神威(かむい)。駄目でしょ?」


本戸の声もしてくる。


「おや、小野寺さんお一人ですか?」


「え、ええ」


「なにしてるの?」


少年がとてとてと近付いて来て、パソコンの画面を覗く。

恐らく村では珍しいのだろう。


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