第十四幕 法具と遊戯の仕舞い
烏に連れられてやってきたのは神社であった。
鳥居は黒く染まり、灯篭は青白い光が灯って、石畳みの道には赤く輝く彼岸花が咲き誇っており、不気味に感じてしまう。
「やっと、来たわね!!この疫病神!!」
そこには何故か巫女服を纏った女子生徒が立っていた。
茶髪のショートヘア、小柄な体格で確かあのゼミ生たちの中心的な存在であったはずだ。
名前は確か、飛草燕。
「あんたがいなければ、こんなことにはならなかったのに!」
此方を敵視してくるが、周囲を見ても彼女一人だけで、他の村人たちがいるのかと思ったがそうではないようだ。
「ぎゃあぎゃあ、うるさいなぁ」
私の横から声がした。見るといつの間にか狼が立っていた。
「本当に。このお嬢さんのように大人しくできないのかな?」
「ひぃ!」
するりと後ろから抱き着かれ、見ればそこには狐がいて、嬉しそうにニコニコしている。
「はいはい。それでは蛇。遊戯はそこのが勝ちという訳でよろしいのですね」
こほんと話を戻すために咳を一つ付く烏に前に佇んでいた蛇がうんと頷いて口を開く。
「遊戯の通りに持ってきたよ」
「これね!これで私の勝ちよ!!」
懐から出したのは深緑色の勾玉であった。
あれが住職の言っていた法具……………、でも何故だろう。
嫌な胸騒ぎがする……。
それは直ぐに的中することになる。
「これを壊せばいいのね!」
「…………………………え?」
その言葉に声が出せなかった。
「ええ、そうですよ」
蛇がこくりと頷く。
「分かったわ!!」
「ちょっ、ちょっと、待って!」
話が違う!遊戯は宝探しだった。
だから、彼女は宝である法具を持ってきたことでこちらが負けたのだ。
なのに、なんで壊す必要がある!?
明らかにおかしいことに声を上げるが、そんなのお構いなしに彼女はそれを振り上げる。
「何言ってんのよ?これが正解よ!器を壊すことがこの遊戯なんだから!!!」
「……………………………………………………え?」
何を言っている?
ガチャン!!
止める間もなく、勢いのまま振り下ろされた勾玉は粉々になってしまった。
月ノ御子が封じられている可能性があったものが破壊された。
現実を信じられなくて、ふらっと崩れ落ちてしまうが狐が受け止めて抱き上げる。
「はは!これで私の勝ちよ!!!さあ、願いを叶えてよ!」
「うんうん。そうだねー」
じゃあ、我が主に訊いてみよう。
「本当に愚かだね。まあ、あの女の子孫だからかも」
その声に聞き覚えがある。
蛇の後ろ。暗がりからこちらに歩いてくる何者か。
それは……………、それには覚えがある。
「か、神田君?」
そう。深山を助けに行った彼の姿があった。
「うん、そうだよ。涙」
にっこりとこちらを嬉しそうに微笑みかけてくる。
「どういう事よ!?なんで、神田君が」
「鬼」
「ぐぎゃ!?」
鬼を呼ぶとそれは飛草の後ろに現れて彼女を羽交い絞めにした。
「五月蠅い。本当にぎゃあぎゃあと騒がしいな」
「ど、どういうこと?」
一体、どうなっているんだ?なんで、なんで、彼が……………。
しかも、我が主と蛇は言った。ということは彼が月ノ御子?
「うん、訳が分からないよね。そうだな」
ここは一つ、昔話をしよう。
これは町娘と忌み子と呼ばれた少年の悲しくも美しい物語。




