13-2
『おい!日ノ巫女、聞いているか!?』
「!」
その声に聞き覚えがある。あの自分を日ノ巫女だと言い張った男の声だ
『お前の見つけたヒントを矢倉まで持ってこい!さもなければ、深山の命は無い!!!』
「……………誘き寄せるにしては酷いな」
「深山先生………………」
庇ってくれた先生の安否が気になる。
また、放送している自体、ただの脅しでは済ませないだろう。
どうすればいいのか。素直に言ってしまえば、殺される可能性もある。
「…………………………僕が行こう」
「!?」
その言葉に不意に彼の腕をつかんだ。
相手は自分が矢倉まで来るようにと言っているのにもし神田が行けば、逆上してどうなるか考えるだけで恐ろしい。
そんな私の考えていることが分かったようで彼は落ち着いた声音で話す。
「このまま、小野寺さんが行っても殺されるだけだ。そんなことさせたくない」
「で、でもっ、それは神田君もそうでしょっ?」
「なんとかしてみるよ。それに小野寺さんにこんなことさせくないんだ」
ぎゅうと手を握ってくれた。
大丈夫。僕が何とかするからとこちらを説得してくる。
「君はヒントを集めて遊戯に勝って」
「で、でも」
「小野寺さん。これは君にしかできないことだ」
そう言って、ポケットから何やらメモを取り出して、私の手の中に押し込む。
「深山先生と調べたことをまとめてある。もしかしたら、役に立つかもしれない」
「……………」
「こうしている間にも先生が酷い目にあっているかもしれないからね」
何も言えなくなってしまった。
私は自分が死ぬのが怖い臆病者だ。殺されるかもしれないのに彼が行くのを止められない。
「自分を責めないで。小野寺さんは誰よりも優しいんだよ。僕なら大丈夫。護身術ができるからもしもの時は逃げるし」
「…………………………うん」
「よし。じゃあ、またね」
「っ、うん」
そう言って私たちは分かれた。
また、森の中を探索する。村人に気を付けながら歩いていると。
「あった」
ヒントの木箱を見つけた。
まだ誰も見つけていないようで少し安堵する。
蓋を開けるとそこにはとある日記が置いてあった。
周囲を警戒しつつ、中身を見る。
そこにはこの村に住んでいた少女のもののようだ。
『○○年〇月▲日
今日は御子様が怪我をしていた。慌てて、手当てをしたが笑いながらそんなに慌てることないと言ってくださった。笑った顔も綺麗でかっこよかった。
○○年〇月☆日
村長が御子様と会うなと言ってきた。忌み子だからと言っていたけど御子様がいるから妖や魔に怯えることがないと言うのになんでそんな酷いことを言うのか。
:
:
○○年□月▲日
御子様から隣村に行かないかと誘われた。ただの村娘にここまで気を遣ってくれるいい人だ。甘えちゃダメ。この想いは心に秘めておこう
:
:
:
○○年▲▲月◆日
日ノ巫女様から彼の身代わりになれと言われた。死ぬのは怖い。でも、彼が死ぬのを見るのはもっと嫌だ。ああ、こうなるのであれば、彼に好きだと伝えればよかったのかな……。
お慕いしております、神薙様。
どうか、貴方様に幸せが訪れることを心から祈っております。
るい子より』
「――――――――――――――っ」
これこそが真実なのだろうか。
月ノ御子の代わりにるい子という少女が死んだことで伝説が生まれた。でも、月ノ御子が男性だったことを村人たちは知らなかったのか?この内容だと村長は知っていたようだが……………。
そして、月ノ御子の名前がここでやっと分かった。
『神薙』というようだが、本当の月ノ御子はこの後どうしたのだろうか。
るい子に対して恐らくだが彼も好意を向けていたに違いない。そんな彼の想いを恐らく気づいてはいたが自分の立場を考えてその想いを伝えなかった。死ぬ最期まで。
悲恋と片付けるには後味が悪い。
「……………………他にも探そう」
いつまでもここにいる訳にはいかない。
ヒントを繋いで遊戯に勝たなくては………。




