11-4
遊戯がまた始まる。でも、おかしい。
なんで今までは私だけだったのに神田も遊戯に入っているの?
どうして?
そんな中、どこからか声がする。
「やあやあ、久しぶりだね。お嬢さん方」
後ろからだ。ばっと振り返るとそこには一人の男性……、いや、妖の一人である蛇が立っていた。
鮮やかな緑色の長い髪は三つ編みでひとまとめに結んであり、金色の瞳には縦細い瞳孔が見える。昔の中国の官吏が来ていた服を纏っていて、足元には巨大な白蛇が此方を見ていた。
「ふふっ。そんなに怖がらずともいいのに」
面白そうにくすくすと笑う彼に神田が前に立ってくれる。
「…………………お前が蛇か?」
「はーい、そうですよー。私が蛇です。今回でなんと最後の遊戯となり、特別にキャストを増やすことにしました」
わー、パチパチと一人で拍手をしている様子を見ていたがその言葉に引っ掛かった。
「キャストを増やした?」
「はい。今回は遊戯から抜け出したのと他にも村人の何人かも参加してもらいました。しかし、お嬢さんを殺そうとしているようでして、烏とも話をした上で遊戯を終わらせて暇をしていた妖たちも参入することにしたんですよ」
その言葉にさあと血の気が引いた。だって、それはあの狼や狐、鬼たちがまた狙ってくると言うことだ。
「ああ、ただの凌辱は面白くないので奴らは邪魔をするだけで別に危害は加えないので安心してください」
「…………………………邪魔をするので命を狩られることは無いってことでいいのか?」
「ええ、そうです。ああ、遊戯の説明をしないとだね」
遊戯は宝物探し。この中で私たちの宝物を探してもらう。
制限時間は烏の終了の声が聞こえるまでに見つけること。ヒントはあちこちに散らばっているからそれを見つけて解いてみるといい。ああ、ヒントの在り処は蛇の目が目印だよ。
「……………………私たち?」
「うん。私たちの大切なモノなんだ」
だから、見つけてね?
「ほらほら、鐘が鳴ってしまうよ?早く逃げないと」
『さあさあ、間もなく鐘が鳴る!さあさあ、見つけろ!見つけろ!!』
烏の声とともに周りから狼の遠吠えが響き渡る。
「か、神田くん。ひとまず、ここから離れよう!」
「う、うん!」
「頑張ってねー」
蛇の言葉とともにまた森の中を入っていく。
「ひとまず、遊戯を勝つことだね。このままここにいても妖たちが考えを変える可能性があるから」
走りながら神田が今後の行動を話してくれる。
そんな中でもどこからか悲鳴が響き渡ってきて、ぞっと悪寒が走る。
妖たちが何かをしているのか?
「蛇の目の目印にヒントがあるって言っていたけど、他の人たちと遭遇したらどうする?」
「逃げるしかないね」
それしかない。こっちは命を狙われているから。
「……………あった」
「え?」
足を止めた先には木箱がぽつんと置いてあり、蓋には蛇の目が書かれていた。
これが言っていたヒントと言うモノか。
周囲を見回せば、私たちしかいなく誰もいない。
「開けてみる?」
「うん……………」
私がしゃがんでそっと蓋を開けるとそこには何やら地図のようだ。
筆で書かれたのか村人が住んでいる家の中に名前が書かれている。でも、その中でも気になるのが一つあった。
「……………村外れに家?」
そこには『かさま』とひらがなで書かれているだけだった。これがヒント?どういうこと?
「……………これ、もしかして昔の地図なんじゃないかな」
「昔……………、ってことはもしかして伝説の時の」
「うん。こんな村はずれに人がいるなんて調べているときには無かったし。もしかしたら、そこにもヒントがあるかも」
丁度、蛇の目が書かれており目印となる花などが描かれている。
これを辿っていけばと思った時だ。
「こっちだ!こっちから声がした!」
「探せ!日ノ巫女を探せ!」
村人の声が近くから聞こえる。急いで草むらに隠れると違う方向から村人二人が出てくる。
どちらも切り傷で血が流れていて、目が血走っており、武器なのか鍬や鎌を持っていた。
「何処だ?」
「隠れているはずだ!」
息を殺して、そんな話声が聞こえる中、歩く足音が聞こえてくる。
「あれぇ。おじさんたちだけ?」
「な、なんだ。このガキ」
そこに現れたのは狼だ。
「お姉ちゃんの匂いがしたと思って来たのにがっかりだよ」
はあと大きくため息をつく狼に苛立った様に怒鳴り散らす。
「てめぇ、あの日ノ巫女のこと知ってんのか」
「…………………………」
「おい、なんか……、いぎゃああああああああ!!」
草むらから狼が現れて村人の片方の肩に噛みついた。そのまま倒れ込み、なんとか狼をのけようと奮闘しているがそれが余計に狼の噛みつきを強くする。
「あっ、あっ」
急に狼がでてきて、しかも噛みつかれたことで出血を見た村人はがくがくと膝を震わせて立ち尽くしてしまう。
「あのさー。お姉ちゃんをあんな臭いのと一緒にしないでくれる」
不愉快だと言わんばかりに眉を顰めるそれはそっと手を上げる。すると、まるでそれが合図だったかのように数匹の狼がまた現れる。
「死なせなければ何してもいいって言われているからね……。甚振ってあげる」
お前たち、やっちゃいな。
その言葉とともに狼たちは二人の村人に襲い掛かった。
「――――――――――――っ」
あまりにも惨い光景に吐き気がする。
しかし、声を出してはいけないと咄嗟に口を手で塞ぐ。
「……………今のうちに離れよう」
隣では少し青ざめた顔をする神田が腕を引っ張ってその場から離れようと促してくる。
足音に気を付けながらゆっくりと逃げる。
「…………………………予定通りってところかな。ねえ?」
上空で旋回する烏を見上げて狼はそう呟いた。




