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巫女塚伝説  作者: 由紀乃
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第十一幕 ネズミの法螺吹き



「ご、ごめん。神田君」


かあと頬が熱くなる。

泣き疲れてやっと落ち着いたときにはっと我に返った。


「うんん、気にしないで。小野寺さんが落ち着いてよかった」


にこっと笑って安心したように言ってくれる。

しかし、彼のおかげで頭もすっきりしたことで色々と整理することにした。

妖の遊戯、住職とババ様の話の矛盾点、伝説の違和感、巫女の謎、そして、自分が泊まっているこの部屋の変化。

メモに書いていると部屋の変化に関して彼に話をしていないことに気づいた。


「部屋の物とかが変わっていたり、増えている?」


「う、うん。遊戯の前と後で天井に飾りがついて、屏風の絵が変わって、そして、桐たんすが増えたの」


隅に置かれた桐たんすを指さし、彼に棚に隠されていた書物のことも話す。

手にあったはずなのに無くなっていることも伝えるともしかしたら、予想外の物が出てきて誰かが回収したのではないかと考えを話してくれた。


「隠していたと言うことは本当のことを書いてあった。でも、それがバレると都合が悪い事実が明るみになってしまう」


「……………だから、回収した?」


「うん。狐の遊戯のように小野寺さんの体は部屋に残っていて、こっそり部屋に入って回収することもできるよね?」


「で、でも、なんで、そんなこと」


「…………………………実は村の人たちが僕たちを見張っているんだよ」


「え?」

見張っている?そんなこと気付かなかった。

でも、どうして?


「ゼミ生の行方が分からないままで、しかも、伝説のことを嗅ぎまわっているから怪しいって思われているんだと思う」


「だ、だとしても、なんで回収なんて」


「まあ、これはあくまでも僕の考えだから妖の誰かが回収したのかもしれない」

これに関しては推測でしか考えられない。


「まずは部屋に関して女将さんに確認してみようか。不安かもしれないけど」

そう提案されて、部屋にこのままいても埒が明かないので頷いて部屋を出た。






「部屋ですか?いいえ、そんな模様替えなんてしていません」

一階に降りて女将が受付にいたので部屋の件を訪ねると否定された。


「では、誰かが入ったりは?」


「いえいえ、そんなことしません。小野寺様が持っている鍵もそれ一つですし、女性の部屋に勝手に入る奴なんて見つけたら叩き出していますよ」


それもそうだ。あまり不審だと変に思われるので彼女との会話はそこで終わった。

外に出て、深山と合流するために歩いている間に話をする。


「誰かが意図的に変えているとしか考えられないね。これは」


「そうだね。もしかして、妖の誰かが?」


「恐らく、そうだと思う。小野寺さんの話的に烏の仕業かもしれない。ゲームマスターであるなら多少の自由行動はできると思うし。……まあ、にしても、趣味が悪い」


まあ、否定はしない。

もうあの部屋に戻りたくないなと思いつつ、道を進んでいると。


「お姉ちゃんだ!!」

小井木が前から走ってきてぽすっと抱き着いてくる。


「小井木くん」


「お姉ちゃん、どうしたの?もしかして、僕と遊んでくれるの!?」

目をキラキラさせる彼に少し困ったように笑みを浮かべる。

どうしたものか悩んでいると隣にいた神田がしゃがんで彼に話しかけてくる。


「ごめんね。お兄ちゃんたちは本戸さんのおうちに行くんだ」


「お兄ちゃんのおうち?」


「うん」


「なら、案内する!こっちだよ!」


ぎゅっと手を握られて引っ張られる。

そのまま、彼に連れられて町長宅に辿り着いた。


「神威がすみません。祭りが近づいているので忙しくて構ってあげられなかったもので」

にこにこと嬉しそうに笑いながら私の膝の上に座っている。


「ほら、神威。お姉ちゃんたちは今から大事なお話があるのだからあっちの部屋で遊んでいなさい」


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