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なんで彼女がそんなことを知っているのかと言うと彼女の祖先は遊戯で生き残った村人だと言うのだ。巫女を喰った後の妖たちは村人の選別を最初に行ったと言う。絵を描ける者、字を書ける者、物作りが出来る者に分けたと言う。何故、そんな選別をしたのかは不明ではあるがその中の一人に祖先がいたと言う。
伝説を語り継ぐ中で歪みや虚偽が無いようにと本当のことを一族に話して覚えさせたとも語った。
「もしかしたら、日ノ巫女の呪いかもしれないって言っていたよ。自分の地下に閉じ込めた村人たちへの復讐で妖たちを唆して遊戯をしているんじゃないかって」
「そ、そんな」
「そして、小野寺さんが月ノ巫女の生まれ変わりで理由は不明だけど遊戯に巻き込んだ」
「で、でも、それだってたまたま似ているだけで。それにタイミングが良すぎるよ」
ここに来るのもたまたまゼミ研究で選ばれただけ。それも含めると余りにも漠然とした話である。
「まあ、そうなんだけど深山先生はもしかしたら、伝説自体がおかしいんじゃないかって話、もしているんだ」
そもそも祠に何故、巫女を祀る必要があったのか。
死者を弔うのであれば墓にするのが自然だ。ましてや、木彫りの人形を備えていたと言うのはそれが依り代として封印されていたのではないかと推測がたった。そもそも、伝説の中に巫女に関する最期が無かったこと、日ノ巫女の名前と自画像しかなかったことも引っ掛かった。そして、住職やババ様の話を照らし合わせるともしかして、封印をされていたのは日ノ巫女であり、村を呪おうとしているのではないか。
「あくまでこれは先生の推測だ。どうにも決定的なものが無いから本当のところ分からないけど」
「………………………」
そんな捻じ曲がった推測があっているはずがない。………だけど、否定もできない。
こんな非科学的なことが起きていて、伝説も村人たちの話の食い違いが発生しているから有り得ない話でもないと感じ取ってしまう。
「あの、さ。私、また遊戯に巻き込まれたの」
「え?」
「そこでその、ゼミの子にこ、殺されかけて……………っ」
あの衝撃を思い出してしまい体が震えとともに涙が溢れてしまった。
「もう、いやだ。わ、わたし、み、み、みこじゃないのにっ。なんでっ」
自分はただの人間だ。
小説で出てくるような主人公ではない。
臆病で愚かで弱虫で……………、もうこの状況が自分の限界に達していた。
助けたつもりだったのに殺されかけた。
もう、誰か代わってほしい。
何で私がこんな目に合わないといけないのか。
もう、いやだっ。
嗚咽とともに顔を手で覆うと不意に神田が抱きしめてきた。
「かん、だくん?」
「急にごめんね。でも、こうでもしないと小野寺さんが壊れそうで怖いんだ」
とんとんと優しく背中を叩いてくれる。
「僕にできるのはこれぐらいしかできないから。君を逃がすこともできない」
ごめんと謝ってくる彼に謝らないでとも気にしないでとも言えなくて、ぎゅとしがみついた。




