第八幕 部屋の違和感と手がかり
はっと目を覚ました。
部屋の中はオレンジ色の光が広がっている。
窓の外を見ると日が落ちて夕方になっていることに気が付いた。
いつの間にか寝落ちてしまったっようだ。
のろのろと体を起こして、不意に周りを見る。
そういえば、この部屋の変化を話すのを忘れていた。
どうして、物が増えているのが謎で不気味に覚えてしまう。
「……………今度は桐たんす」
端っこにあたかも元々置いてあったように置かれた桐たんす。
真新しく、花々の装飾が施されてあり、素人目線でも分かるぐらい精巧に作り込まれている。
何故、今度は桐たんすなのだろうか。
どうして……………?
恐る恐るそれに近づく。
「……………?」
隙間から何かが出ている。
その場所をそっと引いてみるとその中には何やら書かれた紙がいくつか入っていた。
くしゃくしゃで所々黒いシミがついて字が滲んでいるが何とか読める。
『ああ、なんということだ。なんでこうなってしまったのだろうか。村の者達は皆、あの方の、妖の、ああ、ああ、どうして』
『なんで私はイきているのか?絵を描く上手いあいつも残されている。でも、いつ殺されるか分からない。ここは何処なのか。ああ、分からない。逃げるなんてできない』
『日ノ巫女はもう狂ってしまった。牢の中で何かを叫んで暴れるだけだ。我々では何もできない。助けることもしない。ああ、早く早くこの地獄から誰か助けてくれ』
これは村人が遺したものなのか。
しかし、なんでこんなところにしまってあった?
他にも何かあるのではと引き出しを引っ張り出して中を覗く。
空っぽが続く中、とある一か所の引き出しに違和感を覚えた。
他よりも中が狭い。底が厚い?
周りを観察していると引き出しの裏側を見ると丸く小さな穴があった。
これは何かを差し込めば何か起こるのでは?
荷物の中から何かないか探しているとボールペンに目を向けた。
芯を取り出して、穴に差し込む。すると、かたんと音がする。
引き出しを見れば底が開いて何やら本があった。
どうやら二重になっていて、ここに大切なモノを入れていたようだ。
隠してあった本を取り出す。
それは紙同様に古びておりボロボロであった。
ページをめくるとどうやら誰かの手記のようだ。
捲るとそこにはこの姫塚村ができた経緯や巫女の誕生に関することが書かれていた。
元々、村は飢えに喘いでいた。そんな中でとある夫婦から双子が誕生した。
吉凶の兆しがある子どもをどうするべきか皆が困り果てた際に住職が二人を見て驚く。それは彼らが神の加護が宿っていると。
その言葉を信じて双子を育てることにした。すると、今まで枯れ果てていた畑は生き返り、樹木にも実が実っていった。また、妖の呼ばれる魔も来ることが無くなり住職の言っていたことが本当になった。しかし、やはり双子ということもあり下の子には面を付けさせて災いを防ぐ役割を背負わせた。
天照大御神と月読尊を用いて日ノ巫子と月ノ巫子としてこの村に誕生した。
「……………名前が無かったのも双子だったから?」
時代によって双子に関する書物を読んだことがある。しかし、この村は巫女として双子を生かした。伝説に関する書物を見てもこのようなことは書かれていなかった。つまり、この書物はこの村の本当のことが書かれていると言うことになる。
ごくりと唾を飲み込む。
続きには村が繫栄して生活が豊かになったことが綴られている。
日ノ巫女は傲慢になっていった。しかし、誰一人として彼女を咎めることは無かった。もし、機嫌を損ねればまた貧しい生活に戻ってしまうと怯えていた。逆に月ノ巫女は誰もが恐れて近寄ることは無かった。妖たちに狙われるのが嫌がったからだ。
そんなある日。月ノ巫女が五匹の妖を式に下した。
余りにも唐突なことに皆が怯えたが日ノ巫女は違った。
人とは思えないほどの美貌を持った奴らを欲しがった。村の連中が止める中、ある日、命令が下った。
月ノ巫女を殺せ。さもなければ、災いが降りかかると。
日ノ巫女の加護が無くなるのが惜しい連中が人殺しをしてしまった。
暴れる巫女を拘束して包丁で何度も体を刺して……………、、
あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!
間違えた!間違えてしまった!!どうしてこなってしまったのか!!!
ああ、やはり双子は殺しておくべきだった!!!ああああ、死にたくない死にたくない!!
鐘が鳴る!!また、あいつらの玩具にされる!!
だ、れ、か、た、す、け、て、く、れ
最期の言葉は歪んでいた。
「…………………………これが真実?」
住職の話と矛盾している。もしかして、自分たちの都合がいいように作り替えたのではないだろうか。
こうなってくると伝説の内容も本当は違うのではないか。
だとしたら……………。
「おい、聞いたか?まだ見つかんねーて」
「ああ、聞いた聞いた。前みたいにいなくなったって村の年寄り連中が不安がっている」
ふと部屋の外から話声がしてくる。
「しかも五人っていうじゃねーか。前も男五人がいなくなった」
「村の奴らは妖たちに食われちまったって言っていたな」
祭りも近いのにどうしたものかと話しながら去っていく。
ぼんやりと扉を見ていたがはっと我に返り、自分では考えがまとまらないのでこの書物を深山と神田に見せた方がいい。
そう思い、立ち上がった時だ。
『第三幕!始まり始まり!!』




