857.氷の広間
大気も白く、幻想的な光景になってきた。
「おおっ……」
一面が氷と霜で覆われた広大な空間。そこに俺たちは到着した。
「キラキラしてるですー!」
「もぐ! 冬の高山みたいもぐー!」
ララトマがいた広間と同じく、光る苔が生えているのだろうか。
天井にはツララが生え、プリズムのように広間を映し出している。
そこに地下コカトリスの目の光が組み合わさり、オーロラのようになっていた。
「ぴよー」(ふわー、凍ってるぅー)
「ぴっぴよー」(きれいだねー)
一方、ステラは静かに壁面を撫でていた。
「雰囲気が第四層そっくりになってきましたね……」
ナナも研究用に、羽でごりごりと壁を削っている。
「うん、魔力濃度も高いね」
それは俺も気が付いていた。首の裏がそぞわぞわする。
「魔物がいるかもしれません」
俺たちは頷き合いながら、広間の奥へ足を踏み入れる。
そこで俺はつるっと滑りそうになった。
「うおっ、足元に注意しないとヤバそうだ」
ここの地面はよく滑る。一面の氷で遠近感も掴みづらい。
意外と危ないな……。他のみんなは大丈夫だろうか?
「もぐ! しっかり足元を踏みしめるもぐ!」
「慎重にです!」
おお、イスカミナとララトマの足取りはしっかりしている。
そういえば、ドリアードが転んだ場面とか見たことない。
体幹がしっかりしているのか。
ステラやナナ、コカトリスもちゃんと歩いている。
もしかしてここでも俺が一番、足取りが危ない……!?
「段差があるみたいですね。数段階に渡っていますので、気を付けましょう!」
ステラが広間の奥を指差す。数十センチほどの氷の段差だ。
段差ごとに徐々に下がっているようで、それが数メートル間隔で連続している。
映画館やスタジアムの座席みたいな段々だな。
「ぴよっ!」(ぴょん!)
「ぴよよーっ!」(ジャーンプ!)
地下コカトリスたちは躊躇なく段差を飛び越える。
「「ぴよっーー!!」」(着地ーー!!)
すちゃっとうまくポーズを取る。すごいバランス感覚だな。
「よいせっと……」
俺はゆっくり段差を越える。
「ふうふう……」
ナナは苦労しているな。その着ぐるみはどう考えても、段差に向いていない。
大丈夫……か? まぁ、いざとなったら誰かが担げるか……。
挫けることなく、俺たちは段差を進んでいく。
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