856.極寒の世界へ
「『氷雪の滝』か? あそこに似ているような……」
ザンザスのダンジョン、第4層は極寒の世界。
少し前に行ったばかりだ。どこまでも吹雪と氷原が続く。
あの寒さはこの辺りだとあり得ない超自然的なもの。
「ええ、あそこにも凍らない水がありましたしね。この大河に近いかも」
奥へ進むほど寒くなるのに、地下大河はやはり凍らない。
流れも急ではないと思うのだが……。
「共通点があるかももっぐ」
「第4層の魔力が流れ込んでいたり、とかもありうるか」
ダンジョンの構造は謎が多い。
特に巨大なダンジョンは周辺に影響を与えることもある。
ザンザスもダンジョンの入り口に向かって、頻繁に魔物が向かってくる。
「寒さは増すばかりだな……」
普通の人間なら、防寒着がないと確実にマズいことになるな。
地面も壁も天井も純白の世界だ。
うーむ、すでに氷点下まで気温は低下しているか……?
通路を歩き、広大な空間を目指す。
大気も白く、幻想的な光景になってきた。
「おおっ……」
一面が氷と霜で覆われた広大な空間。そこに俺たちは到着した。
「キラキラしてるですー!」
「もぐ! 冬の高山みたいもぐー!」
ララトマがいた広間と同じく、光る苔が生えているのだろうか。
天井にはツララが生え、プリズムのように広間を映し出している。
そこに地下コカトリスの目の光が組み合わさり、オーロラのようになっていた。
「ぴよー」(ふわー、凍ってるぅー)
「ぴっぴよー」(きれいだねー)
一方、ステラは静かに壁面を撫でていた。
「雰囲気が第4層そっくりになってきましたね……」
ナナも研究用に、羽でごりごりと壁を削っている。
「うん、魔力濃度も高いね」
それは俺も気が付いていた。首の裏がそぞわぞわする。
「魔物がいるかもしれません」
「精霊系統の魔物は形成されてもおかしくないな」
あの系統は魔力の凝集で生まれる。
俺たちは頷き合いながら、広間の奥へ足を踏み入れる。
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