854.地下大河の先
それから数分、皆で川底を調べてみた。
しかし成果は小さな鱗が十数枚だけ。どれも小さく、稚魚の鱗だろう。
「これ以上の収穫はなさそうだな……」
「もぐ、もう少し進みますもぐ?」
「そうだな、あと一時間は進んでみるか」
ここまでじっくりと調査したことはなかったが、小さいが成果はあった。
俺たちはさらに先へと進んでいく。
ときおり川底を調べてみるが、小さな鱗しか見つからない。
これ以上のモノはないか……?
そろそろ帰ろうかとちらっと悩み始めた頃――。
「ちょっと待ってください……! 空気の流れが変わりました」
ステラがすっと腕を広げる。
「僕も感じました。広い空間になってそう……」
「村から二時間半か。かなりかかったな」
距離にして十キロメートルくらいか。
川底は浅いから、二回目は馬で来れるが……かなりの距離だ。
「魔物の気配ではありませんが……」
「よし、しっかり警戒しながら進もう」
地下大河が横にそれ、河の水が流れ込んでいるな。
どうやらその先が広い空間になっているようだ。
俺たちはゆっくりと流れにそって歩いているが……おかしい。
息が白くなり、急激に寒さを感じる。
「……気温が下がってないか?」
「ええ、河の水が曲がってから冷えましたね」
俺は皆のほうを見た。
「もぐ。あんまり感じないもぐ」
「これくらいなら、全然大丈夫です!」
「僕の着ぐるみは、ほかほか機能が付いてるから……」
「ぴよー?」(どうかしたー?)
……寒さを感じているのは、俺とステラくらいのようだ。
「どういうことだ? 明らかに異常な寒さだぞ」
この村で初めての寒さだ。
あの北のヴァンパイアの住居と同じくらい寒い。
今の季節に村で雨が降っても、息が白くなることはないのに。
「明らかに異常事態ですね。何かが、きっとこの先に……」
「ステラは大丈夫なのか、この寒さは」
「この姿で雪山を駆け回っても、まぁ大丈夫なので」
お、おう……凍えるのは俺だけのようだな。
この寒さだと、数十分でヤバいことになる。
「さすがに防寒の魔法を使うぞ」
俺は手のひらを自分に向け、【ツンドラのコート】を発動させる。
保温性の極めて高い、コケ類のコートを生み出す魔法だ。
前世のゲームでは耐氷性を付与する魔法で、今の状況にぴったりのはずだ。
緑色の魔力が弾けると、ふわっと重みが身体全体ににかかる。
腕を見てみると、緑色のもこもこコートがしっかり生まれていた。
うん、大丈夫……かなり温かい。一気に快適になった。
お読みいただき、ありがとうございます。







