853.小さな収穫
俺はポケットから懐中時計を出し、コカトリスの目の光に当てる。
ザンザス経由で仕入れた逸品だ。
明るいのでよく読めるな……。
「ぴよ? ぴよ?」(見える? 見える?)
いや、ものすごい見える。
むしろガラスの反射がまぶしいくらいだ。
「うーむ、かなりの時間進んだな」
ララトマがコカトリスを撫でながら声を上げる。
「こんなにこの河は長く続いていたんですね。そこに驚きかもです!」
帰り道に警戒はいらないだろうが、そこそこの時間はかかる。
「あと一時間、奥を調べて何もなければ帰ろう」
「わかりました。仕方ありませんね」
そのままさらに河を下ると、イスカミナが急に立ち止まった。
何か見つけたのだろうか?
「もっぐ、もぐぐ……」
イスカミナは川底を少し見つめると、身体を屈めて砂をすくい取った。
「……何かありましたか?」
イスカミナの手に、きらきらと光る砂がある。
「もっぐ。レインボーフィッシュの鱗もっぐ」
「むっ? まさか……その小さな砂粒みたいなのが?」
俺はイスカミナの手元をじっと見た。
小さな砂と砂の間、普通に見落としそうなほど小さい鱗があった。
「本当ですね……。レインボーフィッシュの小さな鱗です」
「こんなに小さな鱗は初めて見たな」
「ほわー。本当です! 小さいです!」
鱗をぽりぽり、おやつにしているララトマも驚いている。
「よし、これは貴重な収穫だな。持って帰ろう」
まさかここで発見があるとはな。
「ふむ、レインボーフィッシュの稚魚がここに来たのかな?」
ナナも器用に屈んで川底を漁る。
そしてすくい取った砂に、着ぐるみの顔をじーっと近付けた。
「……小さな鱗が数枚あるくらい、ですね」
「偶然ですー? 迷い込んだだけとか?」
「魚がいれば、さすがにわたしは気が付くと思いますが……」
ただ、レインボーフィッシュは警戒心が強い。
ここまで俺たちは普通に会話して、魔法を使いながら歩いてきた。
仮にいたとしても、遠くへ逃げてしまった可能性もある。
「ぴよー」(ぺかぺかー)
うむ、地下コカトリスの光も強烈だ。これは逃げるな……。
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