850.村人の一日④
「……そのまんまにゃ」
「見てみますー?」
テテトカがさらに塔の上階を指差した。
「面白そうですね、いいですか?」
「もちろんですー」
アナリアたちはさらに塔の上へと歩いていく。
たまにドリアードの鉢植えが窓際に置いてある……。
上階は広々した空間になっていた。
フロアの真ん中に、華やかなフラワースタンドが鎮座している。
「おおお……!」
「すごい、すごいにゃ……!」
二人は食い入るようにそのフラワースタンドを見つめた。
フラワースタンドの高さは3メートル、幅は1メートルほど。
白百合にかすみ草、桔梗、赤い薔薇が散りばめられていた。
はしごと作業台が横に置かれ、まだセットされていない花も多い。
鮮やかな花の色と香りが空間を優しく包む。
そのフラワースタンドの前でテテトカが誇らしげになった。
「これが『花飾り』ですー」
「かなりの手間がかかりそうですね。これを毎年作っているんですか?」
「いえー。仲間が増えたり、住処を変えたり……。記念の年だけですー」
「なるほどにゃ。お祝いということにゃ」
「そですー。今年はおっきくしないと……」
「ふぅむ、なるほど……」
アナリアはじぃっと制作途中の花飾りに近寄った。
色鮮やかな中にも、変化と気品が漂う。人の目を吸い寄せる魅力にあふれていた。
「いいにゃ、これは実にいいにゃ……」
ナールも花飾りに近寄り、瑞々しい香りを吸い込む。
さらに横に回ってみるが、そこもきちっと作りこまれていた。
花とツタが絡まり、変化を出している。
葉の大きさや形も良い味だ。
見ていて飽きない、というのはこういうことだろう。
「……これにしますか」
アナリアがナールに向けて静かに言った。
ナールもアナリアの言葉を受け、力強く頷いた。
「にゃ! いいアイデアだと思うにゃ」
「ほえー?」
わかっていないテテトカは、ひとり首を傾げるのであった。
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