キセキと痛み
未だ言い争いをしている2人を他所に
絵で会話を続けていた私達だったが⋯
フードの人が此処は危ないと伝えてくれた。
腰が上がらないと伝えたら、また茂みからまた人が現れた。
体格に似合わない程大きな盾を持ったお姉さんだった⋯
フードの人が何か伝えた後頷き私を抱きかかえて起こしてくれた。
少しふらつくものの歩けそうなのでお姉さんに頭を下げ、
さて、どうしよう⋯と悩むと
大きな盾を持ったお姉さんが肩を支えてくれた
「?」
不思議に思いお姉さんを見上げると優しく微笑んでくれて、
フードの人を見ると言い争いをしている2人に話し掛けていた。
おじいさんは何かブツブツ言っている⋯やっぱり怖い。
(一体何が起きているんだろう⋯)
するとフードの人はこっちに戻ってきて
言い争いをしていた2人はこちらを観ながらまだ話をしている、
フードの人が此処から近い街に一緒に行ってくれるそうだ。
それは有り難い話で私はすぐに頷く。
するとフードの人は少し笑ったと思ったら頭を撫でて
すぐに背を向けてしまった⋯
(頭を撫でる癖でもあるなのかな?⋯でもなんだろう⋯懐かしい撫で方だからかな?安心してしまう⋯)
そしてこの奇妙な集団は近くの街を目指した。
道中相変わらず言い争いをしている2人だが、
妖艶なお姉さんは少しコチラを気に掛けている様でチラチラ見てくれている。
盾のお姉さんとフードの人が気にしない辺りこれは当たり前な風景なのだろうか?
盾のお姉さんは心配性なのか私の肩に手を置いたまま離れようとせず、フードの人も反対側から守るように立ってくれている⋯
おじいさんは後ろでブツブツ⋯
何か話を出来ればいいんだが、歩きながら絵は書けない⋯
キョロキョロ周りを見渡してもやはり普通の木々が並び何か特徴がある訳でもなく、少し不安に思っていると前の2人が止まった。
その隙に⋯と思ったらフードの人が、もうすぐ街に着くと教えてくれた。
みんな優しいな⋯と思い精一杯のお辞儀をした。
これで少しでも“ありがとう“が伝わればな⋯
するとリーダーらしき人は手を挙げ、妖艶なお姉さんは笑ってくれて、盾のお姉さんは笑って抱擁してくれた。
ふと横を見ると頭に手が乗りまた懐かしい撫で方をされる…
おじいさんはいつから見てたのか「ほっほっ」と笑っていた。
伝わった様だ⋯
(嬉しい…)
そう思ったら自然と不安は消え少し笑っている自分が居た。
元々この街はこの人達の目的地でもあった様で、
宿屋らしき所に着くとおじいさんが店番をしていたであろう女の人に話しかけ、少し話すとその女の人は泣いていた。
状況的に考えてあの時私を助けようとしてくれた男の人の奥さんなんだろうか⋯少し申し訳ない気持ちになり俯く。
そしてみんなでお辞儀をした後、店を出て
向かいにある大きな通りに出た。
その先にはおじいさんの家なのかお店なのか⋯
よく分からないが、”もの”で溢れかえっている所に来た。
みんなはものともせず各々座り始めたのでこれも当たり前の光景なんだと気にしない事にした。
みんなが色々話し込んでしまい、何を言っているか分からないので何もやることの無い私は辺りを見回し散策していた。
その時、ふと見知った物を見つけた、そう思った途端体が勝手に動いていた。
それは祖父母の家にあった古時計だった
(昔この音が怖くてよく泣いたなぁ⋯その度におばあちゃんが慰めてくれたなぁ)
なんて懐かしい思い出に浸りながらそっと触れると唐突に音が鳴った
みんなは聞いた事が無いのか、
驚いたり、警戒態勢を取ってたり様々である。
そこに興奮気味におじいさんが
『お主!!これをどう動かした!!』
驚いているのは分かるが意味は分からないので、紙を探すも見当たらず⋯
ゴーンゴーンと古時計の音が鳴る中、石を代わりにしたら絵を書けるかな?なんて考えていると頭に声が響いた
《哀! 哀ならわかる筈だよ! だから、真似してみて!!》
ふと頭に聞こえた声が消えた時、古時計の音も消えていた。
あれは間違い無く親友の1人瑠璃の声だった⋯
おじいさんが私に話掛けたことでみんなの警戒も溶け、
また話を初めた。
瑠璃の言う真似は何を示しているのか?
何故音が急に止んだのか⋯分からないまま考えてみる。
瑠璃と幼少期から一緒だった為、様々な遊びはしたが、それでは無いだろうと思う⋯ならば真似るとは?
今の所ココの人達⋯向こうで話をしてる言葉…
やれることはやってみよう!
「これ、は⋯ッぅ」
“これは時計“と言いたかったのだが、舌を噛んでしまった⋯痛い⋯
が、何か伝わった様でおじいさんが奥にある山と積まれた本の中から絵本を持ってきてくれた。
あるなら初めからそうして貰いたいものである⋯
お陰様で舌が痛い⋯
気を取り直して⋯絵本を読み、少し話もわかったので
拙い言葉を絵本で補いながらみんなと交流会という名の自己紹介を初めた。




