少女と友人の祈り
昔ある所に産まれた少し小柄な赤子
産まれたその子には不思議な力があった。
<自身の思い出や記憶を物に宿す力>
それは本人には自覚が無い力だった。
両親は少し違和感を感じていた。
前日できていた事が出来なかったり、
覚えていたことが覚えていなかったり、
されどそれらは些細な事だと気にしていなかった。
されど幼い友人は違った。
幼少を過ごす2人はずっと一緒だった。
出会いは少し昔に遡り、
幼子達が産まれる前、両親がまだ幼少の時
幼子の先代はその地域を護る寺の住職だった。
だがある日住職に天啓が降りた
後の子孫に人ならざる力が宿り後の異なる世界を導く
それを知った住職は悩んだ、
それらはどう未来を変え、どんな力なのか⋯と
同じく寺を護って来た同胞も悩んだ
悩んだ末出した答えはそれぞれに役割を与えることだった。
土地を護る者と観測する者そうする事でこれからも護り支える事が出来る、そしてそれは他言無用であると。
それ故、天啓を受けた幼子と土地を護る幼子として2人は共に過ごしていく事になった。
ある日幼子は使ってしまった、
幼馴染と部屋に居た時聞こえた騒音
両親の些細な言い争いの声、
それに耐えれなかった幼子は幼馴染とお揃いのぬいぐるみを抱き寄せうずくまる。
幼馴染は違和感を感じ直ぐに声を掛けたが返事は無く
そのまま深い眠りについてしまった。
いつも笑顔を絶やさぬ幼馴染がこの時ばかりは笑えなくなっていた。
両親は帰そうとするが心配で傍を離れたがらない幼馴染それに根負けし、暫くそっとしておいた。
幼馴染は祈った、少しでも早く目が覚める事を⋯
祈りが通じたのか少しして気がついた幼子は、
幼馴染と話は出来るが両親の事は覚えて居ないかの様に
上の空だった。
傍で見守っていた幼馴染は悟った、
この事は他に話してはいけない類の物だと。
そしてそれは両親にもであった⋯
両親は不思議そうに幼子を見るが幼馴染が説得した。
それから少し時間が過ぎ2人は常に一緒に行動している、
だが少女は羨ましかった、いつも笑顔でそこに居るだけで周りを照らす太陽の様な幼馴染が
そんな時ある少年に出会う。
幼馴染と同じく明るくそこに居るだけで辺りを照らす太陽の様な存在の男の子。
幼馴染とよく言い争いをしている様に見える少年
それは負けず嫌い故か少女にも剥けられる様になった。
何時からか3人での行動も多くなり何時も一緒だったと思う。
そんなある日幼馴染の奇行を少年は目撃した、
真っ直ぐで勇敢な少年は黙って見てる事が出来ず、幼馴染に聞いてしまった、
それは少女に知られてはいけない秘密だったのだ。
少年は話を聞いて言葉を無くし、戸惑った、
だが、少女を救う方法が思い浮かばず幼馴染と同様に行動する他無かった。
少女が気に入った物大事な物を少しづつ隠していくという奇行。
また、あの日の悲劇が起きない様少年に協力して貰いながら過ごす日々、秘密さえ暴かれなければという一心だった。
奇行は少女にバレていたが少女は気にしていなかった、幼馴染が気に入ったなら別にそれでいいと思っていた。
そんなある日幼馴染達の努力は虚しく悲劇は再び起きてしまった。
少女は祖父母の家に遊びに行ってしまったのだ。
それを聞いた2人は背筋に汗を流しながら必死に少女の元に走った。
幼馴染は知っていた、少女は祖父母が大好きでよく両親の言い争いから逃げる為隠れ家にしていた事を、
そして迎えに行くのは幼馴染のいつもだったのだ。
ずっと一緒だと約束したペンダントも
産まれて暫くしてお揃いでつけている髪飾りも
3人の絆の証となったブレスレットも
肌身離さずいつも身に付けている筈のそれらを外して触れた古時計は思いに答える様に時の音を奏でる。
2人に伝えれない想い、それらを隠して意識は消える。
2人が祖父母の家に着いた頃には少女はあの時と同じ様に深い眠りについてしまっていた。
2人は悲しみ後悔し悔やんだ、
何故1人にしてしまったのか、何故ついて行かなかったのか⋯早く起きてくれと⋯
そして2人は疑問に思った何故いつも着けている物が無いのか⋯と
それから2人は通い続けた、昔の様にずっと傍にいる事が出来ないなら少しでも傍にいれる様にと
そしてある日少女は目覚めた
「いつか別れても再び繋がりまた会えるから、その日が来たら助けてあげて」
その言葉を残し少女は再び眠りについた
2人には意味が分からなかった
そんな2人を見兼ねたおばあちゃんは2人に話をしてくれた。
「この子には不思議な力があってね、その力ももう多くは残ってないの、それもきっと貴方達のおかげでしょうね。
でもこれから別の事で貴方達に苦労をかけると思う、その時は申し訳ないけど助けてあげて欲しいの」
そう言い2人にペンダントと髪飾りとブレスレットを渡した
「この子が倒れた時傍にあった物よ、貴方達なら預けても問題ないと思ったの」
少女の秘密を知る唯一の人物であり、何か知っている様子だった。
だが、2人にはそれらはどうでも良かった。
少女を助けたい一心で、気休めでも良いと2人は誓う
少年は何があっても少女を護るとペンダントに誓い
幼馴染はこの子の力になると髪飾りに誓い
そしてその日が来たら必ず助け、力になり共に生きると眠り続ける少女の手を握り2人は少女に誓いを立てた
それから少し月日が過ぎ季節が変わる頃少女は目覚めた。
目を覚ました少女は何時もの日常に戻り
2人は以前より過保護な日常になって行った。
それでも共に過ごす時間が合わ無くなるのが時と言うもの、
そんな3人は頻繁に集まっては飲み会や思い出の広場で集まり話し込んだり過ごしていた。
ある時2人と都合が合わず1人持て余した少女は思い出の広場に来ていた
目を閉じれば瞼越しに解る陽の光
昨日の雨が残した若草の匂い
裸足で駆け出したくなる青草
風に揺れて騒ぐ雑木
何も変わらないあの頃と同じ風景
それは幼子から少女へそして大人になった今も変わらず見える景色
懐かしいと思いながら何処か遠くから観ているような感覚だった
再び閉じた瞼には目が眩む様な光が指し
目を開けたそこは思い出の場所とそっくりな別の場所だった。




