不思議と思い出
そんなゴードンから渡された本を哀は知っていた
いや、正しくは知らない筈の本⋯なのに理解出来たと言うべきか、
読んだ事が無いその本は、懐かしさを感じさせる不思議な本だったのだ。
『これはいつから持っていたのですか?』
「それは先祖から受け継いできた本でな、ワシには読めなんだ本じゃよ」
つまりこれは私は知らない本⋯の筈⋯
そう思うも懐かしさから気になって本に手をかけ
ページをめくる⋯数ページめくると光が差した、
古時計の時と同じ感覚が体を襲う
(あの時は音だったけど⋯今度は光?⋯)
その光が哀の身体を包んだ途端、意識は攫われた。
~~~
(ここは⋯さっきまでゴードンさんの家に⋯)
目の前にはゴードンも居なければ場所は一変し
この世界に来た時に見たような草原の様だ⋯
《哀!大丈夫?!何ともない?》
瑠璃の声が聞こえ辺りを見渡すが姿が見えない
「瑠璃?!私は大丈夫だよ!瑠璃は何処に居るの?!」
《哀、時間が無いから聞いてね?其処は哀の思う通り異世界で◎△$♪×¥が居る、そのせいで
これからいっぱい怖い思いをすると思う。
だけど大丈夫だから!私と$○&が◎△$♪から!》
「え?瑠璃?!所々聞こえないよ!!瑠璃?瑠璃は無事なの?」
そんな問いかけも先程感じた温もりに掻き消され
声は聞こえ無くなった。
そして辺りを光が包み眩しくて目を瞑り次に開けた時
哀はゴードンの家に戻っていた、
目を覆うゴードンを見た哀は何処か見たアニメの某シーンを思い出し自然と笑ってしまった。
その笑い声を聞いて覆った手をのけ何度か目をパチパチさせたゴードンが哀に詰め寄る
「哀!大丈夫か!?今の光は⋯いやそれより何とも無いのか?!何故笑って⋯いや、とりあえず落ち着くのはワシか⋯」
ゴードンの焦りや早口に哀はまた自然に口角が上がり
落ち着いて答えた。
『大丈夫、私は大丈夫ですよ!ゴードンさん、
今の不思議な体験について少し聞いて貰ってもいいですか?』
「お、おぉ⋯大丈夫じゃよ、話を聞こう。
それより哀が無事で良かった、何かあったら後が怖いからのぉ⋯」
と、何かあったのか肩を竦めながら話を聞いてくれると話してくれた⋯一体何が?⋯と首を傾げるながらさっきの不思議な体験を説明した。
「成る程⋯つまり哀が急にこっちの言葉を真似たり、
今光に包まれたのも、その女子が関係している訳じゃな?⋯
ふむ⋯中々興味深い話じゃ」
『私の中ではこれは偶然じゃないと思ってて⋯というのも、
あの古時計実は祖父母の家にあった物と瓜二つだったんです。
そう思ったら体が勝手に動いてしまって、
触ったらああなった⋯って感じなんですよね⋯』
「何?祖父母じゃと?⋯元の世界にそう言った転送的な技術が?」
『いえ、申し訳ないですがそう言った話は⋯』
「そうか⋯」
『はい、なので謎なんです⋯何故これが此処に有るのかと』
私の住んでいた世界ではそういう話自体は沢山あった⋯
が、どれも漫画やアニメと言った次元の違う話だ。
現実では有り得ないとされる話⋯私が異例なだけで⋯
そもそも私自身そんな力もなければ、とんでも能力を持っている訳でもない⋯
肩を落とし悩んでいるゴードンさん⋯
その姿に少し申し訳なさを感じつつ本の話を切り出してみる。
『この本自体、私に身に覚えの無い代物でした、
それが手渡された途端懐かしさを感じて⋯
見た事も読んだことも無い本なのに⋯と思っていたら、先程話した不思議な体験になった訳です』
「それは⋯やはり昔何処かで此方側と繋がりか関わりがあったという事他無いじゃろうなぁ⋯」
『でも⋯私はごく普通の家庭出身ですよ?』
「うーん⋯じゃが、そうでも無いと話は繋がらんぞ?」
『そうです⋯ね⋯』
2人して頭を悩ませ考えたが答えが出ない以上仕方がない。
私はこの世の現代語を覚える為もう一度手元の分厚い本を開いてみる、
今度は違和感無く普通に戻ってしまった本となっている。




