三度目の正直"個性派の二人"
向井先輩とはそこで別れ私は校長室を探した。
きっと、正輝もそこにいるはずだ。
すると運良く校長室にたどり着けた。
しかし、当の正輝がいない。
もしかすると私を探しているかもしれない。
私は正輝を探すために振り返ると、
〈ドンッ〉
と誰かにぶつかった。
「いたたたた…」
私がお尻をさすってぶつかった人物を見上げると思わず「ヒッ」となってしまった。
その男子はこちらを睨んでいたのだ。
見たことないような冷たい目で。
私は恐怖で尻餅ついたまま後ずさりした。
するとその男子は何事もなかったかのようにその場を立ち去ろうとした。
「待って!」
男子は振り返らずに止まった。
なぜ声をかけてしまったのかわからない。
どうしようか迷っていると「はぁ…」とため息をつかれた。
「俺は女子が嫌いなんだ。何も用事がないなら失礼する」
そう言うとまた歩き出した。
「えっと…その、ごめんなさい!」
「……」
「いきなり振り返って…その…」
私が謝罪の言葉を探していると突然男子が振り返って冷たい瞳で私を見つめた。
私はあまりの鋭さに動けなかった。
すると、突然男子は何かにびっくりし、驚きを隠せないでいた。
「あの…」
「三年C組、若武誠」
「は…?」
私は突然の自己紹介にどう反応すればいいのかわからなかった。
若武先輩はそれだけ言うと何処かへ行ってしまった。
「なんだったんだろう…」
私は考えながら歩いていた。
すると前から見覚えのある人影が走って来るのがわかった。
「正輝!」
「ねぇちゃん!何処に行ってたんだよ!」
「ごめんごめん」
「じゃあ、校長室入るよ」
私と正輝は校長室に入った。
校長室でいろいろした後各クラスに行くことになった。
私がA組で正輝がC組だった。
違うクラスになってしまったが別になんとも思わなかった。
正輝は少し心配そうだったけど私は人見知りとかしないタイプだ。
私は先生にドアの前で待っていろと言われたので待っていた。
きっと先生が私のことを話しているのだろう。
私が足でリズムを踏んでいると先生の「入って来なさい」という声が聞こえたので私は教室のドアを開け、教室に入った。
教壇に上がり黒板に〈野々原正凪〉と書き、背筋を伸ばして自己紹介をした。
自己紹介が一番大切だ。
「初めまして。アメリカから転校してきました、野々原正凪です。よろしくお願いします。」
私は深々と礼をした。
するとパチパチと拍手をしてくれた。
「野々原の席は…多岐と如月の間な!」
すると女子から批判の声が上がった。
私はなぜかわからないまま多岐という奴と如月という奴の間に座った。
「よろしくね?」
まず、多岐という奴ににっこり笑いかけた。
すると…
「なんで笑ってるの?気持ち悪いんだけど」
と無表情で言われた。
ムッカーっときた私は少し声を低くして尋ねた。
「どうしてそんな言い方するの?」
でも多岐くんは答えなかった。
仕方ないので如月くんに同じように話しかけると心底嬉しそうに私の手を握ってブンブン振った。
「うん!野々原さんだよね!?正凪ちゃんでいいかな!?」
「へっ?あっ、うん…」
「正凪ちゃん!よろしくね!」
「あっ、はぁ…」
こっちはこっちで明るすぎて調子が狂いそうだ。
まぁ、二人とも美形に入る顔だが…
なぜこんな個性派な二人に挟まれなきゃならないのか…
私は「はぁ…」とため息をついた。