第17魔:いざ決戦だにゃあああああ
「あっ、ギルセレ! よくぞ帰って来てくれたにゃ!」
「「?」」
クソボケキングオークを狩った私たちは、そのままギルドに帰って来たのだが、ギルドに入った途端、キャミィさんが大層慌てた様子で駆けて来た。
いつも冷静なキャミィさんがここまで慌てるとは、余程の事件が起きたみたいね……!
「にゃにゃ? 二人とも、なぁんか様子がおかしいにゃ? ――さては、遂にラブレボリューションが起きたんだにゃ!?」
「「――!!」」
あなたのような勘のいいお見合いオバサンは嫌いですよ!!!
「そ、そんなことより、何かあったんじゃないんですか!?」
「ああ、そうだったにゃ! 大変なのにゃ! 何でもざっと50体近くのエンペラーオークが、真っ直ぐこのギルドに向かってるそうなのにゃ!」
「「――!!!」」
――なっ!!?
そ、そんな……!!
1体ですらあんなに倒すのに苦労したエンペラーオークが、50体も……!?
それは最早、【最上級魔獣】クラスの脅威では――。
「これで今度こそ確信したにゃ。これは明らかに、闇ギルドの仕業だにゃ」
「そうですね……。ここまでくると、流石に偶然とは思えないですね。闇ギルドの真の目的は、こうしてエンペラーオークを量産して、世界を地獄に突き落とすことだったんですね……!」
「……」
「? キャミィさん?」
キャミィさんが考え込むように、暫し無言になった。
「いや、何でもないにゃ。多分それが正解だとは思うにゃ」
「はぁ」
若干含みのある言い方ですね……?
「いずれにせよ、これはこのギルド立ち上げ以来の大事件だにゃ。――只今より、ギルド内の全冒険者に、緊急要請を出すにゃ! どうかエンペラーオークの大群の討伐に、力を貸してほしいにゃッ!」
キャミィさんがギルド内の冒険者たちに、大声で呼び掛けた。
現在このギルドの幹部連中は、王都の冒険者ギルド本部に出張中なので、実質キャミィさんがこのギルドのリーダーなのだ。
「俺の力でよければ、いくらでもお貸ししますよ」
ギルが自分の胸をドンと叩きながら、一歩前に出た。
まあ、ギルならそう言うと思ったわ。
「ギルがやるなら、当然ギルのパートナーである、私も参加するわ」
「にゃふふ、流石嫁だにゃ」
まだ嫁じゃないです!!!!
「わあ! じゃあ私たちも参加しますよね、リーダー?」
「え?」
ぽやちゃんが屈託のない笑みで、負け犬リーダーを誘った。
負け犬リーダーは、「え? マジで言ってんの?」みたいな顔で、キョトンとしている。
最近の負け犬リーダーは、すっかり現実をわからせられちゃったから、前みたいな威勢がなくなっちゃったのよね。
これはこれで、何の味もしない、つまらない男になったものだわ。
「やろうぜレックス! 俺たちじゃ大した役には立てないかもしんないけど、今まで散々世話になったギルドを見捨てて、俺たちだけ逃げるわけにはいかねーもんな!」
「そうそう! 私たちだって、セレナが魔法を撃つまでの、時間稼ぎくらいにはなれるかもしれないものね!」
あらあら、負け犬リーダーよりも、テッドとドロシーのほうが余程覚悟が決まってるじゃない。
なんであんなまともな二人が負け犬リーダーについていってるのか、未だに謎だわ。
三人は幼馴染だって話は、聞いたことあるけど。
「あ……うん。――そうだな! それこそ時間稼ぎなんて言わず、俺たちでエンペラーオークの1匹や2匹、叩き斬ってやろうぜッ!」
「わあ! それでこそリーダーですぅ!」
おやおや、空気に流されて、久しぶりに負け犬リーダーが調子に乗ってるわ。
まあ、無味乾燥のつまらない男でいるよりは、こっちのほうがまだマシかもしれないわね。
とりあえず、肉壁くらいにはなるかもしれないし。
「お、俺たちもやるぜッ!」
「もちろん俺たちもだッ!」
「私たちもよッ!」
おお。
次々と冒険者たちが挙手していき、結局この場にいる連中は、全員が参加することになった。
フフ、意外と骨のあるやつらじゃない。
「ありがとにゃ! 恩に着るにゃ! では、いざ決戦だにゃあああああ」
「「「オー!!!」」」
さあて、一丁やりますか。




