表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
解願師〜人の願いは呪いへと。最強の能力者に拾われた俺、同じ境遇の少女と世界のカラクリをぶち壊す~  作者: 一式鍵
第4章:ハルベーデラを討て

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/50

04-01: ソレティアの決意

 また夢を見た。顔を傷つけられたあの女、ソレティアの夢だった。


 俺は今、自分が夢の中にいるとはっきり認識していた。しかし、今の俺は何に対しても影響を与えることができない――いわばただの観測者だった。


 ソレティアは傷口を隠そうともせずに、薄暗い寝室に横たわるジェイスの遺体に(すが)っていた。その顔からはいまだ血が(したた)っていた。


「あなたの(かたき)は私が討ちます」


 仇――ユティハのことではない。ユティハに雇われた呪術師、あるいは外道師のことだろう。


「あなたから頂いたこの指輪に誓って、私は必ず」


 首からチェーンで下げられた銀の指輪に触れながら、ソレティアは視線を上げた。紫色の印象深い瞳には、何の感情もなかった。そして傷ついた左の眼は、白く濁っていた。


 そこに風が吹いた。窓も開いていないのに、だ。


「……!?」


 ソレティアは顔を上げ、素早く周囲を見回し、腰に下げたサーベルに手をかけた。


「何者だ!」

『傷も痛むだろうに、気丈な人ですね』


 それは女の声だった。女性にしては低めのソレティアの声よりも、さらに一段階低かった。だが、不思議と(つや)のある(なめ)らかな声だった。


「何者だと()いている」

『私は外道師のハルベーデラと申します。お見知りおきを』

「外道師……まさか、貴様……!」


 燭台の明かりが大きく揺らいだ。ソレティアの影が、床に、壁に、踊った。


 部屋の隅はすっかり暗黒に満ちていて、何も見えない。ハルベーデラと名乗った女――外道師が、どこにいるのかわからない。


 ソレティアはサーベルに手をかけたまま、油断なく周囲を見回していた。それを見ている俺は、そこはかとない居心地の悪さを覚え始めていた。他人のプライベートを(のぞ)き見しているようなものだからだ。


「貴様が()ったのか。ジェイス様を、貴様が……!」

『あなたが余計なことをしてくれたおかげで、後払い分の報酬を受け取り損ねてしまいました』

「貴様……ッ!」


 ソレティアはサーベルを抜いた。ユティハを刺殺した薄く輝く刃が、獲物を求めて彷徨(さまよ)い始める。


『私はユティハ様の(ガン)を叶えただけ。私はその対価に報酬を受け取った。ただそれだけの関係です』

「殺す……!」

『できるものならば。でも、あなたでは私を見つけることも困難でしょうね』

「どんな手段を使ってでも、私は貴様を殺す」


 ソレティアはサーベルを幾度か振るった。風を切る音が(ほの)暗い室内に響いた。


 肩で息をしながら、ソレティアは眠るジェイスの顔を見た。


「優しいあなたは望まないでしょうけれど、私はあの外道を殺します。あなたの指輪に誓って」


 ソレティア、何をする気なんだ――。


 俺はソレティアの紫色の瞳の鋭利な輝きを目にして、確かに怖気(おぞけ)を覚えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ