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青年と少女コボルトの緩い自給自足生活  作者: 未羊


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第25話 さじは投げられた

 地面に大穴が開けられた三日後のこと、シスイは街へと服を引き取りに出かけていった。

 ところが、その間、ワムはまったく魔法を制御できるような状態ではなかった。


「まったく、どうしたら地面にこうも大穴を開けまわってくれるんだ?」


「ご、ごめんなさい……。これでも加減をしようとしているのですが、まったくうまくいかないんです」


 頭をかいているカインの隣で、ワムはひたすら謝り続けていた。

 シスイに魔法の使い方を教えてもらったのはいいのだが、ワムはまったく魔法が制御できないでいたのだ。

 その結果が、地面に開いた大量の大穴である。

 ワムの証言では、どうやら畑を耕そうとして魔法を使ったらしい。だというのに、どういうわけか大爆発を起こして、この惨状が広がっているのである。

 シスイもいい加減にお手上げのようで、今日は服を引き取ってくる日ということもあって、この場から逃げてしまったのだ。

 そんなわけで、目の前に開いた大穴を眺めながら、今日はカインが教えることになった。

 カイン自身も魔法は使うことはできる。物理攻撃を得意とするのであれば、身体強化は基本中の基本だからだ。

 それ以外にも、火起こしの魔法とその派生である火の魔法も使うことができる。そう、ミアズマフォレストバードに使ったあの火の魔法だ。


「しょうがねえな。今日は俺が魔法を見てやるからな」


「は、はい。ぜひともお願いします」


 ワムは内またになりながらも、カインをじっと見て気合いを入れていた。


 ワムが見守る中、カインが魔法を使うところを見せることにする。


「俺が使えるのは火の魔法ばっかりなんでな。参考になるかは分からねえ。ついでに言うと、俺の魔力はそんなに多くないからな」


「はい!」


 カインが声をかければ、ワムは元気よく返事をしている。

 分かりやすいくらいに真剣なまなざしを向けているので、カインはいっちょやってやるかという感じで気合いを入れていた。


「多分、魔力の調節がうまくいってないんだろうな。精霊なんかは感覚でやってるから、その点がうまくワムには伝わっていないんだろう」


 カインはそのように推測して、魔法の使い方を実演しようとしている。

 まずは、よくカインが使っている、火起こし程度の魔法を使ってみせる。


「火よ」


 地面に集めた枝などに向けて、カインは魔法を放つ。

 集められた枝などに火がついて、ぱちぱちと燃え始めていた。


「おおっ、火がつきました」


 ワムはコボルトではあるものの、この程度の日なら平気のようである。いつも食事の時などに見ているから、慣れたというのもあるだろう。むしろ、目を輝かせているといった感じだった。

 カインは土をかぶせて火を消すと、改めてワムへと顔を向けている。


「それじゃ、次はちょっと大きな火を出すからな。気をつけてくれよ」


「は、はい」


 ちょっと大きな火という言葉で、ワムは驚いた反応を見せていた。


「火よ!」


 宣言はしたからと、カインは遠慮なく少々ばかり力を入れて火の魔法を発動する。

 さっきの火種のような小さな火ではなく、人の頭ほどの大きさを持った火の玉を出現させていた。


「わっ、大きい!」


 さすがにワムもびっくりしているようだった。

 驚いている様子を見て満足したのか、カインは得意げに笑っている。

 そうかと思うと、今度は火を一瞬で消し去っていた。


「あっ、火が消えました」


 一瞬で消えてしまったので、目を丸くしてしまっている。


「ああ、俺が魔力の放出をやめたからな。ワムはまだ魔力を放つってことしかできてないんだ。しかも、加減ができないからおそらくは最大出力で放ってるんだろうな」


「むむむ……。あれが私の限界なんですかね」


「さぁ、それは分からないな」


 カインに言われたワムは、自分の両手を見ながら唸っているようだ。


「多分、今までに耕した畑のイメージがこびりついてるんだと思う。だから、それを一気に耕そうとして、地面に魔力をぶつけて、その結果が地面の大爆発ってわけだ」


「ええ……。そういうことなんですか?」


「あくまで推測だがな。あとは、イメージだろうなぁ……」


「イメージ……」


 シスイの話ではよく分からなかったが、自分で魔法を使ってみたことで、ワムの問題点に気が付いたようだ。


「ああ、地面を一気に掘り返そうと焦っているから、大爆発させているんだと思う。そうじゃなくて、うん、そうだな」


 カインはワムに断りを入れて、一度、小屋へと戻っていく。そして、以前に作った鍬を持って戻ってくる。


「こうやって鍬で地面を混ぜるだろ? このイメージをしっかり持って使ってみたらどうだろうか」


「むむむむ……。なんとなく分かった気がします」


 カインは実際に鍬で地面を掘り返す作業を、ワムの目の前で見せている。

 それをしっかりとイメージさせるために数回繰り返していくと、ワムは眉間にしわを寄せながら、何かつかんだような表情を浮かべている。

 地面を見つめるようにして、ワムはなにやらぶつぶつとつぶやき続けている。


「なら、ちょっとやってみるか?」


「そうですね。やってみます」


 カインがワムに声をかけると、やる気十分な顔をして元気な返事をしている。

 はてさて、ワムの魔法は、今度は成功するのだろうか。なんとも半信半疑な様子で、カインは見守ることにしたのである。

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