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第三層

27 第三層



 明るい空間に出た。

 最深部と聞いて勝手に禍々しい場所を想像していたが全然違った。

 青い空は明るく輝き、一面の草原にはちらほらと花が咲いている。

 暖かい日差しと時々吹く風が何とも心地よい。


 「何だか思っていた所と違いますね」

 マリアさんも僕と同じ気持ちだったようだ。


 「これがメアの欲望って事?」

 「メアちゃん草好きやってんなー」

 「このエメラルドグリーンの瑞々しく育った葉っぱを見てると………………特に何も思わないぞ」

 メア本人もこの草原に対して特に思い入れがあるわけではないらしい。

 そうすると特にメアの欲望も反映していなさそうなこの場所は一体何なのだろうか。


 「あちらにいらっしゃるのはメアさんじゃないですか?」

 ラルカさんが指さした方を見ると百メートル程先にメアの姿があった。

 「メアちゃんだけじゃないわ、ウチもおるし明人君もラルカちゃんもおるで!」


 とりあえず、ラルカさんと千代が言う方向に歩を進める事にする。

 歩み寄りながらあちらを見ると、確かに千代の言うとおりメアだけではなく他の人(人と言っても妖怪、魔物の類だが)もたくさん居るようだ。

 千代や僕、ラルカさんの他にも茜や居酒屋の店長、小鳥さん、その他僕が見たことの無い人まで含めるとざっと三十人は居る様だ。


 近くまで歩いてくると彼女らの会話も聞こえてくる。

 皆の中心でメアが草原に寝転がっている。

 一層目、二層目のメアは今大きい姿だが、ここのメアは僕が見知った小さい姿だ。

 彼女は同じく寝転がった千代、僕と手を繋いでおり、楽しそうに会話している。

 「なぁなぁメアちゃん、ウチメアちゃんの事好きー」

 「アタシも千代ちゃんの事好きー」

 「僕もメアの事好き」

 「アッキーも好きー」

 何とも平和な会話だ。


 「何か………この頭の悪そうな会話すげー恥ずかしいぞ」

 大きなメア二人が顔を赤くして言った。

 僕らに気付いていないのか三層目のメア達は会話を続けている。

 「えへへー、千代ちゃん大好き」

 そう言って三層目のメアは千代の唇にキスをした。

 「「わーーー!!」」

 羞恥心に耐えられなくなったのか大きいメア二人が三層目のメアの元へと駆け寄った。


 「あれ?アタシがいっぱい居る」

 「おーメアちゃんが増えた!ウチら四人でカバディできるな!」

 三層目のメアはきょとんとした目で二人のメアを見つめ、三層目の千代は気にした様子もなく呑気な事を言っている。

 ちなみに、この千代、イントネーションが若干大阪弁からズレており何だか気持ち悪い。

 「カバディをやるには十人は要るぞ」

 (ウチあんなにアホとちゃうやんな)

 僕の横にいる本物の千代が小さな声で僕に言った。

 いつもあんな感じだと思うのだが本人としては不服らしい。


 「そんな事よりもっと面白い遊び知ってるぞ!」

 二人の大きいメアがそう言うとこの層のメアは興味津々といった様子になった。

 それからはとんとん拍子だ。

 一層目、ニ層目で繰り広げた激しい戦いがまるで嘘だったかのように事は進んだ。


 「スターーートゥインクルーーーアストラルーーーイートイル!!」

 マリアの掛け声と共に杖が振り下ろされ発光する。

 三層目のメアが閉じた目を再び開くのに合わせてこの空間全体が白い光に包まれた。

 白い光の中、僕の意識も光に飲み込まれていった。


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