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死んだと思ったら魔界で生まれ変わった  作者: 鳥羽こたつ
最終編
99/146

犠牲は勝利のために

今年もあと一ヶ月ですね、早いものです…

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「キード!」


竜人に首を掴まれたキードは、その手に持っていた狙撃銃を落とし、腕をだらんと垂らしていた。長くはもたないはずだ。早く、早く助けないと!

オレはキードの首を掴む竜もどきへと駆け寄り、その鱗だらけの腕をキードから離そうとした。だが、悔しいことに竜もどきはびくともしない。

悔しかった。目の前で仲間が弱まっていくのが見えて、それでいて自分が何も出来なくて、とても。自分に力が足りないと言うことがわかって、考える力が足りないとわかって。

それがわかってるならやることは一つだろ、ディスプ・レイアード。ここで仲間を見殺しにするつもりかよ。そんなんじゃこれから先、誰も救えなんてしないだろ!


「うぉぉぉっ!」


自分を鼓舞する叫びと共に、オレはしがみつくように竜もどきへと抱きついた。そしてそのまま、自分の顔の近くにあった背中を噛みつく。

硬い鱗を、歯で剥いでいく。そういえば昔、竜がこんな攻撃をしていたような気がする、とそんなことを思い出していた。

噛みちぎるように鱗を剥いだ箇所から竜もどきの血が流れ出した。流石の魔族でも血を流すほどの傷を負うと痛みを感じるようで、竜もどきは心なしか怒りの表情を浮かべているように見えた。その怒りの矛先は、オレに向かっている。

竜もどきはキードを掴んでいる手とは逆の腕をオレに向かって伸ばした。その手の伸び先はオレの首だ。怒りのせいか、その単純な攻撃は簡単に避けることができた。そのままキードを掴む腕へと抱きつき、何とかしてキードから手を離そうとするが、力の強さは未だ顕在だった。ならば、また鱗を噛みちぎってやる。そう思って腕に噛み付いた途端、竜もどきがどさっと倒れた。


「はぁっ、はぁっ…」


竜もどきの方を見ると、イフトが手にしていたでかい斧で背中に一撃を入れていた。


「ディスプコーチが気を逸らしてくれたおかげで、一撃、浴びせることができました…」


息も絶え絶え、途切れながら、そう呟いた。顔が汗でびしょびしょだ。初めての実戦で、余程張り詰めていたに違いない。その中で本当に…。


「あぁ、よくやってくれたよ。ありがとうな」


倒れたキードへと駆け寄り、心臓の動きを確認する。あぁ、大丈夫だ。まだ生きている。早く安静な場所へと連れて行けば問題ないだろう。

と、その時。

オレの背後で、大きな影がゆらりと動いた気がした。竜もどきがまだ生きていたのか。

尖らせた爪がギラリと光る。剥き出しの殺意が向けられ、久しぶりに死を意識した。抵抗する意思が弱くなり、思わず目を閉じてしまう。


「わぁぁぁーーっ!」


だが、その爪がオレに降りることはなかった。ゆっくりと目を開けると、テンドが棍でバシバシと竜もどきを叩いている。更にそれを援護するように、ソーニが弓矢を放ち、隙を作ろうとしていた。先程キードが教えていた戦法だろうか。

リーチが長い二人の攻撃は致命傷にはならなかったものの、竜もどきの標的はオレからその二人へと移っていった。


「ディスプさん!キデンさん!イフト!とどめを…!」


あぁ、そうだ。注意散漫になっている今の竜もどきなら、オレたちの攻撃が通じるはずだ。


「いくぞイフト、キデン!」


二人が元気よく応じたところで、いざ攻撃を仕掛ける。

矢の雨と、テンドの棍を掻い潜り、まずはキデンが竜もどきの足を払った。転んだところでオレが足を、キデンが両腕を抑えて動きを封じ込む。あとはこのガラ空きの背中に、全体重をかけたイフトの攻撃が放たれた。

耳をつんざくような絶叫のあと、とうとう竜もどきは動かなくなった。こういう言い方は悪いと思うが、キードが標的になったことで竜もどきを倒せたと思うと、何だか複雑な気分だ。

一先ずキードと隊長を連れて拠点に戻ろう。リモコには悪いが、一旦目の前の命を助けなくては。

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