最後の思い出
ポケモン剣盾クリアしました。マホイップ可愛いっすね…。
「あれが竜人くんのクローン?」
木々を潜り抜けてやって来たその竜人は、自分の知るミズキコウと同じ姿をしていた。確かにあれが襲って来たとなれば、イオマくんのようになるかもしれない。
「さぁな、戦えばわかるだろうよ。行くぞ、キデン!」
「はい!」
キデンくんのその返事とともに各々が武器を構え、先ほどの戦いと同様に四人が竜人を囲む。その間、竜人は一歩も動かなかった。まるで相手が何をするのかわかってたかのように。
自分は竜人の隙を作ろうとし、狙撃銃を発砲した。しかし銃弾は竜人に当たることはなく、奴の顔の横を通過しただけだった。隙も何もない。彼は自分に着弾するその瞬間、その一瞬だけ動いたのだ。
囲んだ四人のうち、最初に攻撃を仕掛けたのはディスプくんだった。一気に距離を詰め、顔を目掛けて数発のパンチを入れようとする。だが竜人はすれすれのところでその拳を避け、やっと当たったかと思ったら拳を手で受け止めていたりと、全然こちらの攻撃が通じていないようだった。
「うおっ!?」
そして竜人はそのままディスプくんの腕を掴み、背負い投げをして遠くへと投げ飛ばす。樹木に当たる寸前で体勢を取り直して大怪我には至らなかったものの、その表情には焦りが見えた。
竜人はまたジッとしている。今までの動きを見ると、どうやらカウンターを主体とした戦い方をしているようだ。ならば、自分とソーニちゃんがメインで戦った方が効率よく倒せるのではないのだろうか。そう思った自分は、ソーニちゃんにその旨を伝えてスコープを覗く。
照準が竜人の頭に合わさり、ヘッドショットを狙う。しかし今度はその銃弾を、スウェーイングで避けた。本当にわずかな動きだ。これは隙を作るのに一苦労しそうだな。
続いてソーニちゃんの矢が弧を描きながら竜人を襲う。連続して矢を放ち、まるで雨のように降り落ちた。だが、竜人はその雨に濡れることなく、未来でも見えているかのように攻撃を避ける。
少しでいい、ほんの一瞬でいいんだ。頼むから隙を見せてくれ。祈るような気持ちでトリガーに指をかけ、自分も攻撃に加わる。
竜人の動きは鈍らない。それどころかウォーミングアップは済んだとでも言いたいかのように、より俊敏になっていく。このままじゃダメなのか?ダメだとしたら、どうすればいい?
考えろ、頭を使え。何が最善だ。
攻撃をやめて相手の出方を待つ?いや、今までの相手の動きを見ると奴の攻撃を許すのは良くないだろう。
煙幕を使って相手の視界を遮る?いや、こっちの視界も遮らてしまうのは良くないだろう。推測だが、奴は視界がなくても普通に動けそうな気がする。
考え込み、手が止まる。隙を生んだのは竜人ではなく、自分の方だった。
「危ない、キードさん!」
ソーニちゃんの声で現実に戻ると、いつの間にか目の前に竜人が立っていた。
竜人は鼻で笑うかのように頭を動かすと、自分の首を鷲掴みにした。掴まれた自分はそのまま持ち上げられ、徐々にその首を掴む力が強くなっていく。酸素がうまく回っていないのだろう。段々と意識が弱くなっていった。
「─────!──!────!」
ソーニちゃんが何かを叫んでいる。だが、自分には何も聞こえなかった。
視界がぼやけ、体中から力が抜けていくことがわかった。自分はここで死ぬのだろうか。嫌な筈なのに、抗えない。
意外と走馬灯なんて見えないもんなんだな。そう思い込んだところで、自分の意識は途切れた。




