決め所
そろそろポケモンの発売日ですね。次回更新時には現状報告をしてみたいものです。
「つぅ…」
殴られた箇所を押さえる隊長。だが先ほどとは異なり、その目は自分たちがよく知る隊長の目に戻っていた。
「だ、大丈夫ですか」
「あぁ。気にするな…」
「それにしても、よくここまで来れたな。魔界は今どうなってんだよ」
「そのことについても話すつもりだ。先に言うとすれば、今が魔界の攻め時だ」
攻め時?まさか統率者がいなくなったのだろうか。いや、あの魔王に限ってそんなことはないか。
「攻め時ってどういうこったよ」
ディスプくんが自分が思っていたことと同じ疑問を口にする。すると隊長は少し深刻そうな表情を浮かべ、重々しい雰囲気を出しながら話を切り出した。
「魔族たちの士気が下がっているんだ。ミズキコウが暴れてる」
「竜が?」
「あぁ。奴は今、魔族を喰い殺している」
「はぁっ!?」
それを聞いて一番驚いていたのはディスプくんだった。確かに魔族が共食いをするという事実は聞いたことがない。それに、その行動で士気が下がっているというのだから、魔族たちにとって余程脅威となっているのだろう。
「何でそんなことになってるんですか?」
「…さぁな。恐らく、何かしら変な影響を受けたんだろうとしか」
「変な影響って?」
「おれが被っていた仮面があったろ。あれは洗脳器具みたいなもんなんだ。恐らくだが、似たような道具を使用されたんじゃないかと思ってる」
確かに、仮面を被っている時の隊長は様子が変だった。廃人のようにふらふらとしていたし、言葉も発していない。仮面を割った時には自分たちのことを認識していたし、あれを洗脳と言うのならば納得がいく。
「ちょっと待てよ。そんな道具があるってのに、どうして今が攻め時なんだ?指揮が下がってるとしても危険だろ」
「すまない。確かに攻め時という言い方は悪かった。正確に言うと、今攻めなくてはほぼ確実に不利になる」
なるほど。確かにそんな道具が量産されたりしたら、向こうの指揮も高まるだろう。それにその道具が人間にも有効だとしたら、こちらの戦力の低下にも繋がる。それは避けたいところだ。そういうことだろう。
自分の推測を伝えると、隊長は半分だけ納得したかのような、微妙な頷きを返してくれた。
「確かにキドの言うことも合っている。でもな、それだけじゃないんだ。このままだと魔族は延々と増え続けることになる」
「…何か、さっきから遠回しな言い方ばっかりですね。何が起きてるんですか?」
「悪ぃ。結構最悪な方向に進んでてな、どうも直接伝えることに躊躇してしまう」
頭を押さえ、目線を下に下げながら隊長はそう言った。そんなに言いにくいほど、状況が悪化しているのだろうか。隊長がこの様子だと、こちらも不安になってしまう。
「…もう一つ、魔界で起きている最悪な事態がある。それは」
隊長は一つ息を吐き、目に力を込めながらこう言った。
「魔族が、クローンを作り出しているんだ」




