自分、自分のことが好きじゃないんです
記念すべき90話目です。100話じゃ収まらなさそうですね、この話。
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自分が情けない。
せっかく隊長が自らの身を差し出して助けた仲間を守れないだなんて。
黒い翼を持つ人間…、カラス人間とでも呼ぼうか、そのカラス人間が風の魔法を放った瞬間、リモコちゃんとミロは姿を消した。吹き飛ばされたのだ。
ついでにカラス人間もいなくなってるし、標的だったゴーストは見当たらなかったし、踏んだり蹴ったりだ。
そして助かった自分たちだけ一度基地に戻ろうとしている。もう日が暮れているし、装備や人員を整えてから捜索した方が効率良く二人を探せるとはわかっているが、そんな事実に甘える自分にも腹が立つ。隊長やディスプくんなら、そんなことお構いなしにこの森を探し続けるはずだ。
「キードさん。その、すみません」
自分が出しているイライラした感情を感じ取ったのか、助手席に座っているキデンくんが申し訳ない顔をしている。あぁ、こういうところだ。焦ると周りの思いを汲み取れないところ、自分本位になってしまうところに腹が立つ。
「キデンくんのせいじゃないよ。誰のせいでも、ない」
「でも、もっと自分が強ければ…!」
「そんなこと言ったらキリがないよ。次のことを考えよう」
「…すごいですね、キードさんは。すぐに切り替えることができるなんて」
「そんなことないって。とにかく一旦帰ろう」
…本当に、強くなんてない。本当に強い人間ならきっと、もっとみんなの心の支えになっているはずだ。自分にはそれができない。
発進した車の中には沈黙だけが流れていた。お互いに口が開かないまま時間だけが流れていく。しかし、早く二人を助け出さなきゃならないと思っていた自分は、その気まずい沈黙にも気がつかない。やがて基地に着くころには完全に夜になっていて、電灯が街を照らしていた。
「じゃあ、今日はお疲れ。これからのことは追って連絡するからさ。ゆっくり休みなよ」
「はい。…その、ありがとうございました」
そう言うとキデンくんは部屋に戻っていった。結局、何もフォローすることができず帰らせてしまった。…せめて明日はちゃんと声をかけてあげないと。
自分は帰る前に医務室に向かい、ディスプくんの様子を見に行った。担当医の話によると、後は回復するのを待つだけらしい。良かった、そうホッとするのと同時に、目覚めた彼になんと声をかけようかと悩んだのも、また事実だった。




