救いたいの
この前初めて大根の煮物を作りました。食べれる物じゃありませんでした。
「ディスプさん!」
医務室のベッドで横になっていたのは、紅く染めた包帯を全身に巻いているディスプさんだった。寝息も荒く、額には脂汗が滲んでいる。
「一体何があったの?ただ魔物にやられたってわけじゃなさそうだよね」
キードさんはここまで私たちを連れてきてくれたキデンさんに、そう問いかけた。言葉を聞いたキデンさんは、そこで寝ているディスプさんの様にダラダラと汗をかいている。
「す、すみません。自分はその、ディスプさんの様子をリモコさんに伝えろとしか聞いていなくて。詳しいことは…」
それを聞いたキードさんは、「あぁ、ごめん」と一つ謝り、言葉を続ける。
「別に責めているつもりはないんだ。ただ、詳しい話が聞きたくてね。ところで、君をリモコちゃんのところに向かわせたっていうのは…」
「僕です」
振り向くと、そこにいたのはイオマさんだった。ディスプさんほどではないものの、彼も包帯を体の至る所に巻いており、痛々しい様子で私の隣まで歩いてくる。
「少なくとも、あなた方には伝えないといけない気がして」
「それってどういう」
「彼をここまで傷つけたのは、例の竜人です」
例の竜人…。ミズキコウさんのことか?
まさか、彼が?いや、彼は自分で『自分は人を食ったことがある』と言っていた。あの時協力できたことはたまたまで、このようなことをするのかもしれない。
「許せない…」
「ちょい待ち。てことはさ、あの竜人くんと交戦したわけ?」
「はい。ディスプさんだけは、ですけど」
「ディスプくんだけ?とういうことさ」
キードさんが問いかけると、イオマさんは悔しそうな表情を浮かべて、包帯だらけの右手をぐっと握った。
「…僕たちは竜人の手下にやられてしまったんです。その手下を倒した後に、竜人と交戦したのはディスプさんだけだった」
「手下って?」
「ゴースト、霊体ですよ。くそ、僕がもっと対策をしていれば…」
霊体。あまり聞かない種類の魔族だった。
人間が亡くなった場合、霊になって天国へ向かうというのは昔からよく聞いていた。ゴースト、いや霊体というのは、天国へ向かうことができないほど何かに恨みを持った人間が成る魔族だと聞いたことがある。大抵の人間はそこまで恨みを抱えないため、ゴーストにはならないとかなんとか。
といっても、魔族の出自なんて大体胡散臭いため、信用性などないに等しいのだが。
「手下だと思ってたってことは、そいつらに指示でも出してたの?」
「えぇ。僕たちを襲うように指示を出していました」
「何て言ってたか、覚えてる?」
「…そこまでは」
そこまで聞くと、キードさんは顎に指を当てて考え込み始めた。一体何を考えているのだろう。ここまで聞くということは、ミズキコウさんがやったことではないとでも考えているのだろうか。
「キードさん」
「あぁ、ごめん。でも、何だか竜人くんがディスプくんを襲ったって考えられなくってさ」
やっぱり、そうなんだ。でも何で?
「あはは、何でって顔してるね。自分でもわからないんだけどさ。何でだろうな。そんなに一緒にいたわけでもないけど、何かそう思えるんだ」
「何ですか、それ」
私にはさっぱりわからない。これが男同士の友情というものなのだろうか。いや、だったらイオマさんもミズキコウさんを信じているはずだ。
結局、話はそれ以上進まなかった。私はディスプさんが早く目覚めるように祈って眠りにつき、翌日の朝、祈りが通じたことを信じて医務室に向かった。




