思い出巡り
平成まだあるじゃねーか!とあれから知りました。なんとも情けない。
これからは平成カウントダウンですね。令和になっても頑張ります。
──あの日はうざったいくらいに快晴だった。
雲ひとつない空の中で、何かを祝福するように太陽がサンサンと輝いている。今日祝い事をやる奴らにとっては、きっと気分が良いんだろうな。これから出動するおれ達にとっては苦痛でしかないが。
一人で愚痴をこぼしていると、運転席にいる先輩が何やらキャンキャン騒いでいた。話半分に聞いてみると、どうやら綺麗な花が咲いていたらしい。そんなことで一喜一憂できる感性が羨ましいと思った。それ以上にちゃんと前見て運転しろと思ったが。
出動先のセコンドタウンは小さな町だ。守護隊の基地と比較しても住人は半分以下らしいし、周りには大きな店も、ビルもないらしい。だが、その風景が良くて移住する人もいるだとか。おれにはよくわからない話だった。
「おいティーブ。聞いていたか?」
運転手と同じように外の景色を眺めていたおれに、もう一人の先輩が声をかけてきた。一体何なんだ。何も聞いてなかったおれがつい不満げな表情を浮かべていると、先輩も不満そうな顔をしておれを見ている。
「なんすか」
「聞いていなかったのか。全く。相変わらず態度の悪い男だな、お前は」
──うるせーな。一々戦いの前に説教するな。やる気がなくなるだろーが。
「はぁ、すんません」
「まぁいい。それよりも、これから向かうセコンドタウンでの戦いについてだが…」
──いいならわざわざ怒るなよ。
脳内で反論を済ませ、また話半分に作戦を聞いていた。作戦の内容は町を手分けして各々魔族を撃破しろという内容だったからだ。そんなのに策もへったくれもあるもんか。結局自分のことは自分でなんとかしろってことだろ?
大きな溜息を吐きたかったが、そんなことをするとまたとやかく言われそうだったので仕方なく自分で飲み込んだ。幸福がこれで少しは溜まるといいんだが。
「…いたぞ。話に聞いていた通り、スケルトンの群れだ」
セコンドタウンについたおれたちは、そこにいた魔族の群れと対峙しようとしていた。事前の報告以上に数が多く、両手の指を使っても数えきれないほどの群れだ。これを各々で倒せというのか、ハードワークもいいところだな。
「オレは中心を、マヤとティーブはそれぞれ民家を当たってくれ。シバドは住人の安全確保を」
「了解」
リーダーの指示に従い、おれたちは散らばって魔族達と戦うこととなった。おれはクルクルと指で銃を回し、ようやくお硬い年長者から解放されたことで安堵の息を盛大に漏らすと、ひとまず一番近くにあった民家の入り口を蹴り破って突入した。
…いる、スケルトンだ。
落ち着いて間合いを取り、ひたいに向かって二発ほど弾丸をぶち込んだ。周りを見渡してみると、人の姿は見えないものの血の色も匂いもしない。恐らくこの家の人たちは無事逃げることができたのだろう。これなら安心して銃をぶっ放せるってもんだ。
額にかすり傷がついたスケルトンは、壊れた人形のように首を180度回転させておれを見つけると、手にしていたカトラスをぶんぶんと振りながらケタケタと笑い出した。一体何が面白いんだか、教えて欲しいところだ。
首があらぬ方向に向いているスケルトンは視認したおれを標的と認識すると、そのスカスカな体を大きく跳躍させておれに飛びかかってきた。スケルトンのカトラスはおれの胸をえぐるように軌跡を描く。
──動きは早い、だが単調だ。
バックステップでスケルトンの攻撃を避け、そのまま頭蓋骨に直接拳銃を当ててからゼロ距離で三、四発発砲すると、スケルトンの頭を破壊することができた。
「四発か」
四発あればこいつに勝てる。次に現れたスケルトンも、同じ方法で討伐することができた。なんだ、意外といけるんじゃねーか。
勢いに乗ってきたおれは次々とスケルトンを破壊していく。この分だと無事相手全てを討伐することができそうだ。そう思いながら引き続きスケルトンを打ち抜くおれは、やがて町の中で一番大きな家の前にたどり着いた。
ここまで来たらどんな奴が来ても生き残れる、そんな気がしていた。高揚した気持ちを保ちながらいつものように扉を蹴破ると、鼻がもげるような匂いが漂っていた。
血の匂いだ。それも、かなり濃い。
血の気が引く感覚がおれを襲った。さっきまでの高揚した気分は恐怖へと移り変わっていく、だが止まるわけには行かない。生き残っている人がいたとしたら、助けなければならない。
恐怖を押し殺し、赤色に染まった屋敷の廊下を歩いていくと、何やらガスッガスッと何かを殴る音が聞こ始めた。奥の部屋だ、奥の部屋から聞こえるみたいだ。覚悟を決めて不気味な音がする部屋を蹴破ると、そこには一組の家族とたくさんの使用人がいた。
まるで血の湖の中に沈むように。




